悪魔の思い出
ガブリエルはウリエルの為にも…
ここで終わりにしようと思った。
彼の意思は剣となり,悪を貫くだろう。
その横を飛ぶミカエルはガブリエルの意思に気付いていた。
(ガブリエル…私も同じ気持ちですよ,必ず勝ちましょう)
ミカエルが何故ルイスの血族者を守るのかそれは少し過去の話に遡る。
「ウリエル!またお前はルイスの血族者を殺したのか!」
ガブリエルはウリエルに掴みかかる。
「なんだい?久しぶりに会ったのにいきなり掴みかかるなんて」
ウリエルはそう言う。
そこに一人の少女の声がする。
「2人とも,何してるの?」
声の主はまだ幼いミカエルだった。
「いや…なんでもない…」
ガブリエルはウリエルから手を離す。
「喧嘩しちゃだめだよ,ガブリエル」
ミカエルはそう言った。
ウリエルはどこかへ行ってしまう。
それから数ヶ月後。
ミカエルの両親が行方不明になった。
親がいなくなり,不安になるミカエル。
そんなミカエルの心の支えになっていたのが一人の少女だった。
名はマイナ,町外れの村に住む少女だ。
ある日,その村がウリエルに襲われる。
「やめて!やめてよ!」
ミカエルは村に日をつけるウリエルを止めようとするが無力な少女には何も出来なかった。
その時,マイナは体を焼かれ殺された。
しかしウリエルは罪に問われなかった。
何故ならあの村に住んでいたのは血筋を隠し暮らしていたルイスの血族者だから。
ミカエルは泣いた。
この残酷な世界に
親と友を無くした悲しみが彼女の心を蝕んだ。
泣いているミカエルにガブリエルが近寄る。
「ガブリエル…どうして…どうしてマイナは殺されたの…?」
ミカエルは掠れた声でそう聞く。
ガブリエルは答えられなかった。
いったいなんと言えばいいのだろうか…
「ミカエルは…彼らに罪があると思うか…」
ガブリエルはそう聞いた。
彼らというのはウリエル達ののことだろう。
「ある…だって人を殺したんだよ…」
ミカエルはそう答えた。
「俺もそう思う…」
ガブリエルはそう言った。
「血筋なんて…関係ない,俺はそう思う」
「…私もそう思う」
ミカエルは涙を拭い,そう言う。
「私…頑張る…この世界を…変えてみせる…」
ミカエルは決意の意志を示した。
その2年後,
ミカエルは九魂神のうちのひとつ,
「ガイアの魔人」の力を継承した。
私はあの時,友を失ったあの時…
世界を変えると誓った。
これで終わりにする…
争いの根源を…
消し去って見せる。