悪魔の著者
「お前が…アナスタシア…」
エースは息を呑む。
目の前にいるのはアナスタシアと言う男…「アクマトケイヤク」と書かれていた男だ。
「こんな所に何の用かな?」
アナスタシアはそう聞いてくる。
「本でお前の存在を知った…何か知らないか…天界禁忌法典について…」
エースは警戒しつつもそう聞く。
「あぁ,あれか…」
アナスタシアは顎に手を当て上を見る。
「あれは僕が書いたものだよ」
アナスタシアはそう答えた。
エースは目を大きく見開く。
「お前が…」
エースは剣を抜き,アナスタシアに向ける。
「何故だ…何故あんな本を作った!」
エースは怒りを露わにし,アナスタシアに聞く。
「何故って…民を…支配するためかな?」
アナスタシアは悪びれること無くそう答える。
「ふざけるな…!あの本に多くの民が苦しめられているんだぞ!」
エースはそう言う。
「長く寝ていたから…あまり外のことは分からないけど…この呪いが解けたら…」
アナスタシアは不気味な笑みを浮かべて…
「みんな殺してやろうと思っているよ」
そう言った。
異常だ。
何なんだこの男は…
「そんな事させない!」
エースはそう言い,アナスタシアに斬りかかる。
次の瞬間,アナスタシアの手から触手の様なものが飛び出して来てエースの腹を裂く。
「ぐぅ…」
エースは血飛沫を上げる。
「エース!」
ヘラクレスがそう叫ぶ。
「いきなり斬りかかるなんて…そんなにあの本が邪魔なのかい?」
エースはすぐに体を再生させ,アナスタシアに向けて雷を放つ。
雷はアナスタシアの出した触手とぶつかる。
煙が立ち,辺りの視界が悪くなる。
次にアナスタシアが目を開けた時,
エース達は姿を消していた。
「へぇ…エース…か面白いね,“道の支配者“は」
「ヘラクレス何するんだ!」
エースはヘラクレスに抱えられ,空を飛んでいた。
「あいつは危ねぇ,お前も分かっただろ」
ヘラクレスは一度口を止め,話し出す。
「あいつは恐らく…確認されていない九魂神の力の保有者だ…」
ヘラクレスはそう言う。
奴の触手の様な物を出す力…
確かにその可能性はある。
エース達は帰宅し,ガブリエル達に森であった事を全て話す。
「アナスタシア…!?本当に実在したのか…」
ガブリエルは驚き,そう言う。
「アナスタシアは民を皆殺しにすると…そう言ったのですか?」
ミカエルはそう聞く。
「あぁ,あいつは確かにそう言った」
「あいつは呪いにもかかっている様だった…それにもうすぐ奴の呪いが解けるかも知れない…」
エースはそう言う。
「すぐに奴を討伐するべき…なのか…」
ガブリエルが下を向き,そう言う。
「すぐに精鋭を集め奴の討伐に当たろう,準備は全て二ヶ月で終わらせる」
ガブリエルがそう言う。
「時間は掛かるが…秘策が有る」
ガブリエルはそう言い,地図を出す。
「ここに大きな池があるだろう」
ガブリエルは地図に指を刺してそう言う。
エースは頷く。
「ここでは『太陽の血』と呼ばれる金属が取れる」
「この金属はあらゆる天界人の力の発動を抑える力がある」
ガブリエルはそう説明する。
「しかし,取れる量は極めて少ない…剣が一本作れるかどうかだ…」
「それが有れば…それを奴に刺せばあの力も封じれる…のか」
エースの問いにガブリエルは頷く。
「時間はない…必ず奴を倒して民を守り,天界禁忌法典の改変権を得るのだ!」
ガブリエルの言葉に一同は頷く。