道の声
最高神が武器を取り出す。
大きな歓声が湧く。
その中にはゼウス様と叫ぶ声もあった。
奴はゼウスというのか…
ゼウスの武具は雷を纏っている。
「どうかな,私の神器『ヘラの剣念』は?」
(こいつも神器か…)
俺はガブリエルから託された『ユグドラシルの聖剣』を抜刀する。
俺は剣を構える。
(俺はみんなを守るんだ…!)
すると剣が黒い霧を纏い出す。
「なっなんだこれは…」
すると剣が黒に染まり,重さが増した。
会場がざわつく。
「あれは…噂に聞いた黒い剣…」
観客席の男がそう言う。
「てことはあいつは…」
男がそう言った時,ゼウスが喋り出す。
「まさかな,お前に『王の資格』があるとはな…」
声援が上がる。
最高神と王の資格を持った者の対決となれば前例のないことだ。
エースにはさっぱりわからなかったが会場はエースとゼウスの声援に分かれだした。
「よくわからないけど…」
エースはそう呟き,背中に羽を生やす。
「俺はお前を倒す!」
エースは地を蹴り,斬りかかる。
エースの斬撃をゼウスは雷で返す。
エースはすぐに体制を戻し,もう一度斬りかかる。
ゼウスの斬撃が肩に落ちるがそれを間一髪で防ぐ。
そしてゼウスの腹に斬りかかるも,僅かに防がれる。
「エース…」
メアリーが2人の激闘を見て呟く。
一進一退の戦いが続き,ついにゼウスに隙が生まれる。
エースはゼウスを斬りつけ,ゼウスの右耳を切り落とす。
「ぐぅ…」
エースは叫びを上げ,ゼウスの胸を狙う。
「私を…舐めるな!」
その叫びと共にエースは雷に撃たれる。
エースの体は焼け,足は吹き飛ぶもすぐに再生が開始される。
しかしエースは気を失っている。
その隙をつきゼウスは剣をエースの腹に刺し,持ち上げる。
「終わりだ,罪人よ」
ゼウスはエースの胸に手を掛ける。
歓声が一気に上がる。
その中にはメアリー達の悲痛な叫び声もあった。
でも俺は動けなかった。
意識が遠のいていく。
俺は暗い場所に居た。
何も見えない。
その闇の中から声がする。
掠れた声ででも聞いたことのある声で。
「何をしている」
そう聞こえた。
「みんなを守るんだ」
「失ってからでは何もできない」
エースは動揺する。
「何を言って…お前は誰なんだ…?」
「過去は変えられない,俺たちは敷かれた道を歩かされ続けるだけだから」
意味がわからない。
「何を言っているんだ…お前は…それにここはどこなんだ…俺はゼウスと戦っていたんだぞ…」
エースがそう聞くと,
「ここはお前の『道』だ。」
男はそう答える。
「道…?何を言って…」
「これ以上は答えられない」
男はそう言うだけだった。
「それよりも,お前は戦わなくていけない」
男がそう言うとエースは,
「戦うって,どうやって…どうやって闘技場に戻るんだよ…」
そう聞くが男は,
「それは答えられない」
としか言わない。
「なんでだよ…!なんなんだよお前…!」
「答えられない答えられないって…お前は誰なんだよ!」
そう言うと男の舌打ちが聞こえた。
「え?」
顔を何かが覆う。
男の手だ。
「ちょっ…何して…」
戦え
男がそう言った瞬間,男の背後から薄青色の光の線の様なものが現れ,世界を飲み込んでいく。
ものすごい衝撃波と音が響く。
その時,光る世界の中で男の顔を見た。
でもそれは俺の知らない男だった。
瞬きをして,次に目を覚ました時,俺の腹には剣が刺さっていた。
戻ってきた。
闘技場に…
ゼウスは俺の胸に手を伸ばしている。
俺は雷を放ち,ゼウスの腕を吹き飛ばす。
ゼウスの腕は血飛沫を上げる。
俺の腹から剣が抜け,地面に落ちる。
その時,3人の声が聞こえた。
その叫び声を聞いて,さっきの男の言葉を思い出す。
(そうだ…過去は変えられない…俺は負けちゃいけない)
ゼウスは立ち上がり,吹き飛ばされた腕を押さえる。
「くそ…!」
ゼウスは叫びを上げ,剣を握り,エースに斬りかかる。
しかしエースは弱っていたゼウスの腹を裂き斬る。
その時,ゼウスは絶命した。
俺はゼウスの魂を吸収し,拳を空に掲げる。
歓声が巻き上がった。
俺は民に認められた。
それはきっと新たな王としてではない。
お読みいただきありがとうございます♪
遂にエースがゼウスに勝ちました!
この先一体どうなるのか?!
お楽しみに〜