昨日の疑惑
翌日
学園に登校した後、教室に入ると同時にクラス全員が私のことを見てくる。
それも学園長による、昨日の出来事に遡る事が原因だろう。やましいことなどしていないので無視を決め込んでいると………
視線を送る者たちの中から、一人の女子生徒が歩いて来た。どうやら生徒たちの代表としてあることを聞きに来たようだと内心、私は悟った。
「すいません小鳥遊さん、すこし聞きたいことがあるんですけどお時間よろしいですか。」
「えっと、確か………宝泉滴さんでしたよね」
「覚えて下さったんですね。ありがとうございます」
宝泉滴、彼女は小柄で詩音とは違った可愛さがあった。
彼女は、存在を記憶していた事が分かると笑顔で喜びだした。喜んでる最中に悪いが、私が覚えていたのはとても印象的だった為に過ぎなかったからだ。
なにせ私のヘテロクロミアは魔眼だ。魔眼は見るだけで、ほぼ代償を支払わなくても能力を発動させることができてしまうからだ。
世間からは、強力な力を持っていると同時に恐怖の対象として見られた。眼帯を身につけて片目を隠しているのはそれだけのためだ。
魔眼の持つ能力によって、彼女が所有している魔力量は多いと分かっていた。それも通常の人達の十倍以上もの魔力を彼女はその身に内包していたからだ。
その彼女が持つ魔力量によって記憶していただけに過ぎなかったし、後もう一つ彼女はこのクラスの委員長だったからだ。
「それなら話が早いです。わたしが声をかけたのはただ一つだけ、昨日の事なんですけど?」
「昨日?………」
「えぇ、学園長室にどのような用事で呼ばれたんですか?」
「………えっと、それは」
「それは?」
なんて言えば良いか分からない。
それもそのはず、ただパーティー同然な事をして談笑していただけだ。
どのような言い訳をしようか考えていると、彼女は思ってもいない言葉を口にした。
「学園長に会ったんですよね?羨ましい………」
「えっ⁉︎、羨ましい⁉︎」
「そうですけど?どこかおかしいですか?」
「………」
確かによくよく考えてみると彼女の言う通りだった。序列第六位に座した実力者にして、学園長を務める人物だ。
憧れの対象になっていてもおかしくはない、その上で羨ましいといったのだ。
実際に学園の生徒たちの何人かに聞いて見れば、憧れて入学したといっても過言ではないはずだ。
「そろそろ昨日なにがあったのか、教えてくれませんか?」
「特にはなにもなかったよ?」
「そうですか………」
聞かれた通りなにもなかったと、返してみたが納得していない様子だ。彼女は「は〜」と溜息を吐いて言った。
「分かりました、もうひとりに聞きます」
「もうひとり?………まさかっ⁉︎」
ちょうど教室の扉が開き、中へと入って来たのは詩音だった。いつもと変わらない笑顔を振り撒きながら私達の前まで来ると………
「おはようございます、玲夏さん、委員長?」
委員長と話していたせいか疑問を浮かべていたが、とりあえず挨拶を返そうと思い口を開くことにした。
「………おはよう、詩音」
「おはようございます、雨宮さん、一つ聞きたいんですけど昨日なにがあったんですか?教えて下さい」
早速とばかりに尋ねた委員長。それに対しての詩音の答えは………
「楽しかったですよ、みんなでパーティーしましたけど………」
「はぁっ!?」
委員長は驚き目を剥いた後、口を池の鯉の如くパクパクと開いていた。さらにそこに詩音は思いもよらない言葉を口にしてしまった。
「学園長と玲夏さんは祖父と孫の関係なんですよ………あっ、これ言っちゃいけなかったんでしたっけ?」
「「「えええぇぇぇぇーーー⁉︎」」」
教室内にいた生徒たち委員長を含めた全員はその言葉に驚いた。
隠してもいなかった事実の為言っても問題なかったが、混乱をまねくことくらい容易に想像できた。
私は内心、もう遅すぎるよと言ってみたが詩音が気付くことはなかった。




