出会い
桜並木、桃色の絨毯と化した道を歩いていた。私はふと空を見上げた、巨大な建築物がそびえ立ち視界を遮っているのだ。
目の前にある建物こそが"第一魔法学園"の本校舎だ。
学園都市、私が今いる街はそのように呼ばれ栄えていた。元々の街の由来としては、様々な学園が沢山あるだの研究所が乱立しているからではなかった。
ただ単純に、魔法学園を中心に発展したとされる都市だからだ。
そのおかげか魔法に関係する施設は充実しており、どれも盛況だった。
闘技場、演習場、公共図書館、さらには飲食店や小売店といった魔法に関わらなさそうな店まで充実しているのだった。それもそのはず、それだけこの都市には人が集まっているということだ。
今日が第一魔法学園の入学式だ。
前日に列車に乗り遅れていた私は、一本遅れの列車によってこの学園都市に来ていた。
両親はあらかじめ、間に合うことを見越した上で限界まで引き留め送り出してくれたのだ。とんだ策士であった。
魔法学園の制服を身に纏い、片目には眼帯を着けていた。もちろん私がヘテロクロミアだと分かると後々、面倒くさくなるので出来るだけ隠しているつもりだ。
ほかにも右耳にはピアスをつけているが、そのせいで不良に見られることはなかった。
なにせそういった装飾品などは魔法を行使する上で必要になる為だ。
いわゆる触媒であり魔道具と呼ばれる物に魔力を送ることによって、魔法を発動させることが出来た。
その為によっぽどの格好をしない限りは、学園の方から怒られることはないし注目されることはないのだ。
それが入学する生徒からの人気の一つであるとされていた。
掲示板前、自分自身の名を探していた所そうそうに見つけることが出来た。
「あぁ、あった、一年B組か」
二番目のクラスの上位に名前が書かれていた。千人程の人数がいた為に名前を見つけるのに苦労すると思っていたが。
ある意味、幸運だったので足早にその場を去ろうとしたが………
「すいません、少し良いですか?」
「えっ!?」
突如、聞こえてきた声に振り向いた。今まで声を掛けてきた人がいなかった為に驚いてしまった。
呼ばれて振り返った先にいたのは、美少女だった。
艶やかな黒髪に紫の色彩を持った瞳、そして少しばかり幼さが残る可愛い顔立ちをした少女がそこにいた。
彼女は私に近づいて来ると、首を傾げつつ聞いて来た。
「えっと、貴女も一年B組の生徒さんですよね?実は私もそうなんです!」
「そうなの?」
「はい!」
どうやら私に声を掛けてきたのは、さっき呟いた言葉を聴いていたからみたいだった。
話し掛けてきた目の前の少女は、自身の間違いがないことが分かると微笑みを浮かべて片手を差し出してきた。
「私は雨宮詩音って言います、貴女の名は?」
「私は………小鳥遊玲夏、気軽に玲夏って呼んで」
「はい!よろしくお願いします玲夏さん!」
これが私と彼女との初めての出会いだった。