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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第2章 魔王襲来
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序列



 序列第二位の正体について知っている人は、ほとんどいないと言われている。



 魔法省が序列を割り振っているために、第二位の事について知っているか問い合わせてみたところ、返って来た答えは分からないと言ってきたそうだ。



 その結果、魔法省の上層部が作った架空の人物ではないかと噂されていた。




「正体不明の存在、それが一番気になります。玲夏さんは何か知ってますか?」



「知らないよ⁉︎ 一桁の上位者にあったことすらないのに!」



「学園長は?」



「あぁ、おじいちゃんは例外だよ」




 尊敬できる人物だが、わざわざサインを貰いに行ったり握手を求めに行くだろうか。なにせ私の祖父にあたる人だ。



 出来る事なら他の上位者に会いたいと思うだろう。



 私が何も知らないと分かった事を確認したのか、詩音はエリスへと向き直って言った。




「エリスさんは何か知ってますか?」



「ん〜、あたしが知ってるのは相当な化け物だってゆうことぐらいか………」



「………一体どんな人物なの?」



「あたしは人から聞いたから、本当にそうかは知らないが。火と氷属性の魔法をまるで手足のように使えるらしい………」



「なに、それ?」



 ある意味驚いてしまった。私自身も火と氷の魔法を同時に行使することが出来るが難しい、それもなんとか数年がかりで物にした程度だ。




「確か後は………魔王種に匹敵する魔物を数体ほど使役して、召喚獣として呼び出しているとか?」



「化け物だね、顔を見てみたいよ」




 魔王種、通常の魔物から進化や変異を繰り返す事で生まれる存在だ。



 普通の魔物と違うのは幾つかあるが、異能、魔眼、そして魔法、私たち人類も魔法を使える以上魔物が使えないとゆう事はあり得なかった。



 異能や魔眼ならまだしも、魔法は触媒を通す事で行使出来るが魔物は違った。



 知恵のついた魔物は触媒なしで、魔力を魔法へと変換して使うことが出来る。



 魔王種には二通りの進化方法があった。



 通常の進化であれば、長い年月と共に知恵が備わって魔法を使える存在に進化した。



 変異からの進化はなんらかの要因により、急激に進化、成長した個体に生まれ変わっては、異能や魔眼を持って暴れ回る存在と化していた。



 そのような魔王種は、発生が確認され次第すぐに討伐される。街に到着すれば甚大な被害を受けてしまうためだ。




「あっ!わたし、序列第二位の異名知ってるよ!」




 突如言い出した女子生徒に、全員が目を向けた。



 異名、もしくは二つ名を付けられた者たちは有名人になっている。



 その人物の活躍、戦闘、特徴などから異名が与えられ、魔法省からではなく多くの国民が認めた結果が反映されていた。




 「双剋(そうこく)魔王(まおう)って呼ばれてるらしいよ!」




 女子生徒はドヤ顔を決めていた。確かに、数少ない情報を知っていれば自慢出来る上に、相手と会話が弾むはずだ。



 人によっては、その人物をよく知ろうとする者達もいて、仲間同士集まってはファンクラブを結成して情報を交換しているらしい。



 序列第一位は、再臨(さいりん)英雄(えいゆう)、第三位は森樹(しんじゅ)御子(みこ)等と呼ばれていた。



 一桁にいる者たちは人類の護りてである存在とされ、魔王種に単独で相手をすることが出来ると言われているほどの集団だ。



 だが個人の都合により、そう簡単に動けない事が多いため、魔王種が発生したとしても。二桁や三桁の人物たちがパーティを組んで倒そうとするが、時間稼ぎくらいにしかならないと言われていた。



 それだけ魔王種は厄介であり、上位者たちは重宝されていた。




「あっ………わ、わたし戻るね」



「………私も」




 周りにいた女子生徒たちは、蜘蛛の子を散らす様に去っていった。あまり親しく話さない為にもう少しいてほしい気持ちだが、そんな事は言ってられなかった。




「に、ニア先生………」




 女子生徒たちが逃げていった原因は、魔法工学を担当しているニア・マグネット先生だった。



 美人と言える女性の先生で、パンツスーツの出で立ちをしているそのせいか、服の上からでも綺麗なスタイルをしていると分かる。



 さらに端正な顔立ちに加え、つりあがった瞳がキツイ印象を表していた。



 そんな、美女であるニア先生が私を見下ろす形で腕を組んでいた。



 下から見上げたせいか、そうとう不機嫌そうに見えた。このままでは怒ってしまうと思った私はすぐさま謝まったが。




「す、すいません先生。すぐに片付けますので………」



「いえ、必要ありません」



「えっ?」




 ニア先生が言った言葉を理解できなかった。



 てっきり、いつの間にか始業チャイムが鳴ったのに、雑誌を見ていたせいで怒っていたと思ったが、違ったようだ。



 雑誌に視線を落としては、まじまじと見ていた先生が唇の端を歪めた。次第に恍惚とした表情に変わっていく様に私は驚いた。




「小鳥遊さん。序列第八位について、どう思いますか?」



「えっ⁉︎ そ、それは………どういう意味で?………」



「もちろん、憧れたりカッコイイと思ったり!」



「………そ、そうですね、非常にそう思います」



「でしょ!分かってますね!」




 わかりません、と内心思ったが、口に出してしまったら後が怖いので心の内に秘めておいた。



 ニア先生は第八位にご執心のようだ。



 分からなくはない、なにせ第八位は魔道具を制作しては世に送り出している存在なのだ。



 魔法工学は、魔道具を作り出すための知識を教える授業だ。生活を支える魔道具は数が多く、二種類に分かれている。



 生活用に特化した魔道具は、その為だけの専用になっていることで、魔法を使う触媒にはならなかった。



 魔力を送っても単一の効果しか発動はしない。



 それに比べて、戦闘用の魔道具は、武器の形をした触媒であり汎用性が高かった。




「第八位は、魔道具を制作する者にとって神のような御方です………」




 私は思った。エリスも相当あれだったが、ニア先生もだいぶ入れ込んでいた事が分かった。



 だがここで思わぬ伏兵が現れた。




「先生もそう思っていたでありますか? 拙者もであります!」



「あなたは確か、山下君でしたね?」



 ニア先生と山下君はお互い、固い握手を行なった。




「「同士!」」



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