再会と後始末
その後、犯罪者を全員打ち倒した私は、警察から事情聴取を受けていた。きっと時間がかかるのだろうと思っていたが………
「………そうか、帰っていいよ」
「えっ⁉︎帰っていいの?」
「あぁ、なにせもう夕方だ、じきに日が暮れる、それに君は女の子だ早く帰ると良い」
「ありがとうございます、失礼します」
その言葉を残して、今いた場所から遠ざかるように走り去った。
端末を取り出しては詩音の安否を確認しようとしたがその必要はなかった。目の前から本人が走って来たからだ。
「玲夏さん!よかったです、無事なんですよね?どこか怪我でもしてたらと思うと怖くて」
「分かった、詩音、離して」
私の首をこれでもかと締め付けていた。もしも私じゃなかったら気を失っていただろう。
ゆっくりと離してくれた詩音は、申し訳なさそうに顔を伏せた。そうとう今回の事を気にしていたんだろう、心配させてしまったという点は私自身、反省しなければならなかった。
「ありがとう、心配してくれて、一緒に帰ろうか?」
「はい!そうしましょう!」
詩音と帰る時、手を繋いで帰りの道を歩いていたが思いっきり握ってきてとても痛かった。
日は完全に落ちて夜空の下でタバコを蒸していた男がいた。
今もなお後始末を行なっている者達を尻目に見ていたが本人は何かを考えているかのようにボーッとしている。
「先輩!買ってきましたよ!」
「ん?あぁ、サンキュー」
男は食べ物等が入った袋を受け取り中身を確かめる、その隣にいた部下らしき男も、パンに包装された袋を破り早速とばかりに口に咥えた。
この二人は魔法省から特別に配置された魔法捜査官だ。様々な魔法の知識を持って警察等に協力するのが目的であり、いわばフリーの探偵のような存在と化していた。
「それで今回の件ですが、廃魔教団が関わっているとか?」
「あぁ、廃魔教団らしいが、奴等は自分たちでやったと言っていた。」
廃魔教団、この世界には数百もの宗教組織が存在しているその中で、最も犯罪を起こしてしまっている宗教だった。
本来であれば冠婚葬祭などの行事に最も関わってくるのが宗教の在り方だった。
例えば結婚の式を挙げるのであれば、それに関わる宗教にお願いし会場や神父を用意してもらう形になっていた。
もちろん無償ではなく、しっかりと金銭を受け取る形になっている。なにせ彼らはボランティア団体ではないからだ。
それぞれの宗教が様々な神を崇めては、結婚をつかさどる神や、死後の世界にいる冥界の神といった存在を崇めて宗教は成り立っていた。
その神の下で、それぞれの役割を担って活動していた。大抵は集まった金銭をもとに、活動費に当てたり信仰している人達の生活費にしていた。
これが世界にある宗教の形だった。
「廃魔教団の目的は?」
「ん?目的か?どうやら、この世界から魔力をなくそうとしているらしい、迷惑な話しだよ」
「ぶっ飛んでいるっすね、そいつらは」
「あぁ、その為の第一歩として、魔物を世界から根絶してやろうって事らしい。無理なのにな!」
街の外側には多くの自然が残されている。森や川、海はたまた山といった場所まで自然が残されている、なぜならそういった土地は魔物たちの住処だ。
遥か昔から人類は、危険な魔物から身を守るために平原や魔物がいない土地を中心に生活していった。
それが功を制したのか、縄張りにさえ入らなければ襲ってくることはなかった。それからというもの人類は自然を残しつつ発展していった。
もちろん宗教の中には魔物の保護団体もいた。魔物の観察を行い、自然を壊さないように手をいれ環境を整えたり、絶滅しないように保護を行なったりと様々だ。
「全くですね!」
「廃魔教団は世界を敵に回すかもな、本当に、危険な魔物もいれば穏やかで優しい魔物もいるんだがな」
「ところで、先輩はさっき美少女を見てましたが?」
「ん?」
部下の男の発言に顔をしかめた。
美少女、その言葉に先程の学園の制服を着た女子生徒を思い出す男。白髪を持ち片目を怪我でもしているのか眼帯で覆った少女のことを思い出した。
「それがどうした」
「惚れたんですか?」
「………はぁっ!?バッカじゃねぇーの!お前は!大体、娘ほど年齢が離れてる相手に惚れるか?普通!」
勢いよくすごい剣幕でまくし立てる男に、その部下は首を傾げていた。何か思うところがあるのだろう、
黙って見守っていると男は………
「白猫に会う」
「はぁ?」
男は口元にタバコを持っていき、一度だけ蒸してからその事に関して話しはじめた。
「白猫に会った者は救われる。そういった都市伝説の類いが世に出回っているんだよ」
「へ〜、おもしろいっすね!」
「………」
その言葉に男は呆れた様子を見せたが、それでも構わないとばかりにタバコの火を消してから続きを話した。
「お前はあの、二年前の事件を知っているか?」
部下の男は自身の顎に手を添えて考え出した。二年前にあったことについて思い出そうとしているが、時間が経つ度に顔が少しずつ険しくなっていった。
そして思い出したのか、目を見開いた部下の男はいままで以上に自身満々といった表情で言ったのだ。
「記憶にないっす!」
「だよな〜、記憶にないよな〜、だってお前が配属されたのは一年前の話しだし知ってる訳ないもんな〜、聞いた俺がバカだったよ………」
二年前の事を、知っていないことを思い出し男は赤面すると同時に落胆した。その感情を知ってか知らずか部下は男に先程の続きを聞いてきた。
「それで、先輩は二年前の事についてなにをしっているんすか?」
「あぁ、二年前とある犯罪者がいたんだ、それも凶悪な奴で何人かはそいつに殺されたんだよ、そうとう名の知れた二桁そうとうの魔法師も入っていたんだが、よくて大怪我、最悪な時は精神を壊したんだよ」
「そうとう危ない奴じゃないっすか?」
「だが、そいつは簡単に捕まったんだよ、いとも簡単にな、そして捕まった後になんて言ったと思う?」
「………えっ?」
その男の問いに対して、部下は先程と同様に考えはじめたが答えは出なかった。
凶悪な犯罪者が簡単に捕まった事を、加味したとしても自分ならなんていうか考えたが難しすぎた。
「白猫。あいつの持つ瞳はヤバイ、といったんだ」




