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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第1章 少女と魔法
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機会



「………さて、交渉は決裂した。その分こいつらに払ってもらおうか?」




 どうやら端末によって交渉していたらしい、その相手は警察だろう。警察に無茶な要求をしなければ交渉が決裂するわけがなかった。



 犯罪者の男は私達を見て口元をニヤリとさせて言った。




「こっちの本気を見せてやる………どうなるか分かってるんだろ?お前達?」



「何が目的だ⁉︎」




 人質となった私達の中から、一人の男性が犯人にどんな目的かを聞き出そうとしているが、その男は笑いながら質問に答えた。




「ハハハッ!目的か?そんなのは決まっているだろ、お前達は俺たち、廃魔教団(はいまきょうだん)の資金源にするんだよ」



「廃魔教団?………資金源か、なるほど、それで私達を捕まえて警察と交渉していたんだな?いくらだ!………」



「知りたいか?一人につき一億だ!」



「一億⁉︎」




 私達はその言葉に動揺する、それだけの額を要求するなんて相当に無茶だ。



 警察と交渉してからそれほど時間は経っていない、一時間も経っていないどころか、交渉はまだ一回きりだ。



 此処にいる者達は犯人たちを除いて、三十人程いるそれだけの人数を助けるだけの額を、そう簡単に用意できないはずだ。



 合計で約三十億だ、そう思いたった一人が口にした言葉が周りに派生していった。




「相当に無茶だ!」 



「有り得ないわ!」



「バカじゃない?」



「バカでしょ!」



「なにも考えてないんじゃ………」



「そうとしか思えないだけど?」



「どうかしてるぜ!」



「「「全くだ!(ね!)」」」



「………お、お前達。そうとう余裕があるじゃないか?えぇ!」




 確かに男の言い分は一理あるが、犯人の要求は無茶すぎたせいで多くの人が呆れていた。



 それに対して犯罪者の男は額に青筋を浮かべていきどおりを感じているのだろうが、隠しきれていなかった。



 だがそれよりも気になることが一つあった。自分自身の状態を見ると他の人等と違っていた。



 周りの人達は後ろ手に縛られているだけ、それに対して私は両手に両足を縛られて、そして何故か胸を強調するかのように縛られているのだ。



 苦しくてしょうがないので、近くで見張っている男に私は言った。




「あの、どうして私だけこのように縛られているんですか?おかしくない?」



「趣味だ!」



「趣味じゃねーよ⁉︎」




 とんでもない事を聞いてしまった。男の性癖を聞かされるなんて後悔してしまった。



 どうせならすぐ近くにいる、美人なお姉さんにすれば良かったのにと思ってしまったが遅いだろう。もしかしたら学園の制服を着ていたせいで警戒したんだと思った。



 なにせ魔道具の類いは没収されてしまった。現在、私の右耳にはピアスがない、精錬石と呼ばれる宝石に似た触媒だ。



 魔石は魔力が凝縮された石であり、宝石は魔力を貯めることは出来るが、許容量を超えると爆発してしまうので注意が必要だ。



 その為、宝石は触媒に向かず魔道具に使えないが、精錬という技術によって魔石と宝石を混ぜ合わせることで触媒に向いた精錬石を生み出すことが出来た。



 精錬石で作られたピアスが無ければ魔法が使えないが私には関係なかった。



 魔法を使えずとも秘密兵器がある、それに反撃の機会があれば文句はないが人質が近くにいるのが、とても厄介だった。



 どうにかして人質を遠ざけ、充分に戦える場所さえあれば………



 その時ふと思ったことがある、魔道具の没収は私だけではない、もしそうならこのお姉さんもそうだ。



 気になった私は彼女に聞いてみた。




「すいません、お姉さんは身体検査されました?」



「………えっ?どうして?」



「特に意味はないんですけど、胸は揉まれました?」



「も、揉まれてませんよ!………」



「………あ〜そうですか」



「えっ?なんで残念そうなの?」




 大変な時で暇だっただけ他意はない、そのせいか犯罪者のリーダーらしき男はこちらを見ていた。その目は思った以上に下卑た視線で私達を見て、笑みを浮かべていたのだった。



 その男はすぐ近くにいた部下に命令を飛ばした。




「お前………白髪の女をここに連れて来い」



「へい!」



 命令によって部下の男、鉱人族(ドワーフ)らしき男は私の側に駆け寄りリーダーの男の前へと連れていった。



 目の前へと連れて行かれた私は、男を睨みつけて言ってやった。




「言いたいことがあるのだけど………」



「ん〜?………そうか命乞いか?だが残念ながらもう遅いぞ、お前がこれからどうなるかは?………分かってるんだろ?」




 私の周りによってくる男たち、これで分からない人はなかなかいないだろう。実際に連れて行かれた時、人質になっている人達は私を見ないように目を伏せて

やり過ごしていた。



 魔法も使えない、対処すら出来ないのであればそうするしか出来ないはずだ。




「もうやめにしない?意味ないでしょ?」



「………減らず口を!お前には絶望を味わせてやる!」




 魔道具を構えだす男たちに私は溜息を吐いた。




「………そう、残念」




 ゆっくりと立ち上がった私を見て男たちは少しずつ後退あとずさり始めた。縛られていたはずの人物

が急に立ち上がれば誰でもそうなるはずだ。




「どういうことだ⁉︎縛られていたんじゃ?」



「………あっ⁉︎縄が」




 私の身体に巻き付いていた縄は切れられていた、スルスルと縄が解け、なにもなかった状態になっていた。



 魔法を触媒なしで使うのは常識的にあり得なかったがこういった時の対処法はある程度していた。




「………来い、死月の蒼槍(サリエル)







 

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