プロローグ
もしも、私を生き物に例えるとするならば誰しもがこのように思うだろう。
“白猫"と
さらさらとした絹のような白髪に、左右で異なる紅と蒼の瞳を持ち、まるで神の手によって造り出された端正な顔立ちをした少女。
そして視線を下げていけば、たわわに実った豊満な双丘、腰元は女性らしく括れており、手足はまるでモデルのようなスタイルだ。
そんな見た目をしているせいか、よくそのように例えられるが一番影響を与えているのはただ一つだけ。
虹彩異色症と呼ばれる左右で異なる瞳だ。
一般的に知られている中ではオッドアイが有名なのではないだろか?それもそのはず、元々は虹彩異色症と呼ばれていたが時が経つにつれてオッドアイなどと呼ばれるようになった。
オッドアイには、奇数や不揃いなどの意味が存在し特に生物の中でも白猫に見られることが多いとされている。
また、それらとの違い自体はあまり少ないとされているが虹彩異色症は医学用語と言われ、オッドアイは生物に対して言われることが多いとされている。
この生まれながらにして持ってしまった瞳には、尊敬と同時に畏怖を齎してしまう効果が存在した。
だがそのせいで、不幸になるなんて事はなかった。
なにせそれは全て、家族のおかげだからだ。今の両親の手によって育てられた私は性格が歪むことも非行に走ることもなかった。
見た目が変わっている、そういった影響を受けたのか。私はまるで壊れやすい、すぐに傷がついてしまう様な宝石同然の扱いで育てられた。
もちろん、悪い意味ではなく、良い意味でだ。
その結果私は、家族がかけがえのない大切な存在だと思っている。出来る事ならば、これからも家族として一緒にいたいと思っているし、支えていきたいとも考えている。
だがしかし、将来の事を考えていくのであれば難しい話になってくる………
私は先程まで読んでいた本を閉じる、分厚く一日では読みきれないほどのページ数がある本だ。
読書、数少ない趣味の一つであり娯楽だ。街中にある書店を巡っては様々な本を買い漁り、一日中は読み耽っていたほどだ。
そのせいか、目の前にそびえ立つ本棚には入りきらないぐらいにぎっしりと、本が詰まっている様に見えている。
しかし、一冊分空いた隙間に持っていた本を挿し込む。まるで足りなかったピースを嵌め込んだような気分だ。
改めて見上げた天井にまで届きそうな本棚には、様々なタイトルが付けられておりそれぞれジャンル毎に本がまとめられていた。絵本、漫画、小説などなど簡単な物から難しそうな物まである。
その中でも一際、異彩を放つジャンルがあった。それは“魔法"だ。
奇跡とも呼ばれる代物でもあり、火や水を生み出すことは当たり前であると同時に、手を使わずに物を動かすことも出来てしまう。それこそが魔法でありこの世の奇跡であるのだ。
魔法、そして科学、何故かその二つが存在し両立している世界。高度な文明レベルであり、現代と遜色のない世界へと発展している。
私はそんな世界、時代に生まれ魔法というものに憧れ魅入られしまった。その結果この世界に生まれてからの約十六年間は魔法を追い求め、ありとあらゆることを調べ尽くした。
魔法に人生を費やし出来る限り無駄な時間をソレに当ててきた、もちろん後悔はしていないつもりだ。
なにせ新たな魔法を発見し、それを行使することは楽しく生きがいとなっていたからだ。
だが、私が一つだけ後悔している点を挙げるとするならば家族にすら、ひた隠しにしてきた秘密がある。自分自身が抱える悩み………
それは、前世の記憶を持って生まれてきた"転生者"であると言う事だ。