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MIB 1st contact  作者: 光輝
■第5話 カブル救出大作戦編 (4P)
18/42

2.テレマ研究施設

「その石が、カブルっていうエイリアンなのね。いいわ、一緒に行きましょ」

カブルの調査に、ジュリアはひとつ返事で快諾した。


駅で待ち合わせをしたものの、CMの影響で交通機関はすっかり麻痺していた。エレナはジュリアを自転車に乗せ、30分もかけて到着したセリオン博物館を見上げた。


セリオン博物館は、アストラルパークという自然公園の隅にある、森に包まれた大聖堂のような博物館だ。建物自体が歴史的価値のあるそこは、今やとんでもない人ごみに包まれていた。まるでデモか祭のようだ。

よく見れば、TV局がカメラを背負ってせわしなく走っている。

「さすが世紀の大発見ね」とジュリア。

「すっごい! あれって大手TV局、ワンダフルTVよ!」

エレナ達は言いもって行列に並んだ。10分、20分と経過したものの、列が動く気配はない。先を見れば入場制限がしかれていた。

「この調子じゃ、よくて夕方入場ね」

ジュリアの呟きに、エレナはフムと口をひんまげ腕を組んだ。

「……仕方ない、奥の手よ。ねえ! ちょっと、そこの警備員さん」

エレナは言って、懐からとあるカードを抜き、警備員に見せた。

「こういう者だけど、ちょっとカブルを見せてくださらない?」


警備員はカードに目をすぼめ、とたん大仰天に姿勢を正す。

「どうぞこちらへお越し下さい」

そういってご丁寧に案内されたのは、セリオン博物館の裏口だった。警備員が大慌てで従業員に説明し、従業員がさらに大慌てでエレナ達をご丁寧に奥へと案内する。

並ぶ観客を横目、博物館に難なく入場したエレナ達は、カブルが展示されているホールまでそれはもういたれりつくせりな案内を受けた。エレナ達はパンフレットをはじめ博物館グッズやらお茶やらお菓子やらのもてなしをうけ、展示ホール前に到着したのだった。

「警備員に何を見せたの」とジュリア。


「マリア叔母さんの名刺よ。ここのスポンサーなの。ズルいけど、カブルを救うための調査だもん」

小さく舌を出すエレナに、ジュリアは驚きに頷いたのだった。


「……う~ん。それでも、展示場入り口までが限界みたいね」

ごったがえす大人達の背で、展示物はまったく見えなかった。まるで満員電車のそれだ。エレナはひとつ唸り、ジュリアに向き直る。

「ねぇジュリア、肩車していい? 壁を背にしたら周りにも迷惑にならないし」

それにジュリアが無言でジュースを飲んで、蓋を閉めた。

「……別にいいけど」

エレナはすっかり調査に夢中だが、北条ジュリアをよく知る者は腰を抜かすであろう事態だった。ジュリアは自分の容姿が小学生ほどしかないのを気にしているのか、やれ軽々しく扱われたら即ギターで殴り飛ばすほどなのだ。

軽々と肩車されたジュリアは無言で先を見た。カメラのフラッシュもあって、やたら金色に輝く石がひとつ。TVで観たのと同じ、あれがマジックストーンこと、カブルだ。


「どう?ジュリア、見える?」とエレナ。

ジュリアはカブルを凝視し、力抜けに息を吐いた。

「……あれ、エイリアンじゃないわ」と。

「ええっ何かの見間違いじゃない?」

「いいえ、あれはエイリアンじゃないわ、わかるの。レンズで見てあげてもいいけど」

ジュリアは言って、手を下にやる。エレナが上にレンズを渡しもって言った。

「どうだろ、レンズは私にしか使えないってパンが言ってたの」

「そうなの?」

「うん、Aがそう決めたからなんだって。レンズはAのだからって……どう? 視える?」


ジュリアがレンズを受けとった瞬間、やんわり光る虹色がふと消え、レンズはただのガラスレンズになってしまった。

「不思議ね。これこそあそこの石よりレアなんじゃないの」

ジュリアがエレナに返した瞬間、レンズはまたやんわり虹色の輝きを取り戻す。なんとも不思議なレンズだ。

「ともかく、カブルはエイリアンじゃないわ。このままここにいても仕方ないから、一旦出ましょう」


やや押し出されるようにセリオン博物館の外へ出た2人は、大きく背伸びをした。すぐさまゴハンに電話したエレナは、先ほどの調査報告をする。ゴハンの捻ったような唸り声が返った。

『ん~OKわかった、サンキュ! 一応、念のため夜も調査してみよっか。こっちはまだ準備中だから、夕方まで適当にブラついといで』

「だって」とエレナ。


「別にいいけど」

ジュリアはまんざらでもない返事だ。結局2人は調査もそぞろに、ウキウキと街へくりだしたのだった。

……・……

賑やかなショッピングモールで、2人は可愛いアクセサリーや雑貨を見てまわった。

「ねぇねぇジュリア見て、猫型のアロマキャンドルがあるわよ!」


はしゃぐエレナの指先のキャンドルに、ジュリアが首を横に振る。

「……これ、頭から溶けていくデザインね。猫好きが作ったとは到底思えないわ」

「ええ、しかもキャンドルの中は赤色! ヴェッ」

「エレナって案外グロいの好きよね」


カラオケでは、まさかのジュリアの美声に大感激だった。

「すっごいジュリア……! お願い、もう1回、君が代を歌って!」

「5回目ループはキツいんだけど」


デザートカフェでは、ケーキやパフェの食べ放題を大いに楽しんだ。なんとフルーツ盛り放題の、大当たりの店だったからだ。

「バニラビーンズも入ってるし、アイスで生クリームをごまかしてもいないわ。100点ね」

そう言ってパフェをほおばるジュリアの目は、真剣そのものだ。

「ジュリアって甘いもの大好きよね、パフェ3つ目ってすごいわよ」


楽しい時間はあっというまに過ぎ、夕日が街を赤く染めていく。

あちこちで遊びつくした2人は、すっかりくたびれた足を近くのカフェで休ませていた。

「そういえば、渡す物があったの」

ジュリアはそう言って、鈍器にもなりそうなパンクな鞄から、1本の黒いライトを手渡した。受け取ったエレナは目を丸くした。小さくとも、なんだかとても頑丈そうなライトだ。

「軍用のタクティカルライトよ。大光量だから、レンズを通して遠くのエイリアンもやっつけることができると思うわ」


エレナはとても嬉しくなった。どんどん仲良くなっていく感じが嬉しかった。ジュリアは最初こそエレナを殺す勢いだったのに、今やすっかり友達なのだから。

「ありがとうジュリア! 大切に使わせてもらうわね。実はね、私もプレゼントがあるの」

エレナは言って、買い物袋から可愛い包みを手渡した。ジュリアは受け取って、エレナに促されるまま開けてみた。小さな黒い猫のキーホルダーだ。赤いリボンの首輪といい、まるでチビそのものだ。

「これ……」

ジュリアはそれが、最初の店に売ってあったものと気付いた。可愛すぎて自分には似合わないと思って諦めたものだ。

「チビみたいでしょ?」とエレナ。

それにジュリアは「ありがとう」と微笑み、即カバンにつけてみた。うん、やっぱり可愛い。ジュリアは何だかとても嬉しくなった。初めての友達エレナと、気兼ねなく遊べるのが嬉しかった。初めての友達がエレナでよかったと、ジュリアは心から思ったのだった。

「今夜、セリオン博物館に調査に行くのね。頑張って」

エレナが大いに頷いた。「ええ。ジュリアも行かない?」

それにジュリアは首を横に振った。

「行かないわ。だってアレ、絶対エイリアンじゃないもの。ただの石よ、何なら賭けてもいいわ」


2人はそのあと自転車で仲良くおしゃべりしながら、「また明日ね」と帰路についたのだった。

……・……

エレナは大当たりの店で買ったシュークリームを手に、揚々に玄関を開けた。


「ただいまゴハン、パン! お土産にシュークリームを買ってきたよ」

パソコンにかじりついていたゴハンが目覚めるように顔を上げ、嬉々に受け取る。

「サンキューエレナちゃん!」言うなり口に放り込んで「お! うっまーい!」

でしょ、とドヤ顔を返したエレナは、パンを見た。パソコンとにらみ合うパンは無反応だ。邪魔しないよう、お皿に乗せて脇に置いた。


さてとエレナはゴハンに向き直る。

「博物館、すっごい人だったわ。カブル見れなかったの、ごめんね」

「いーのいーの、気にすんなよ~。ただジュリアの報告が引っかかるな、エイリアンの見分けがつく子だから」


ゴハンがシュークリームを食べ終える頃、パンが弾けたように席を立つ。

「よし、見通しがついた。俺はカブルの出所の調査にかかる」

言いもってTV台の香水をつけ、ジャケットを羽織る。玄関を出がけにふと引き返し、お皿のシュークリームを手に取った。

「車で食べる。ありがとう」パンはエレナにそう言って、急ぎ足で出発した。


見送ったエレナはちらとゴハンを見た。ゴハンはクローゼットの段ボールを漁っている。

「パン、大急ぎね」

「そりゃな、情報は鮮度が命! スラムの時、エレナちゃんのアリバイを作ってた時はもっと大急ぎだったぜ」

「そうなの?」とエレナ。確かにパンはあの時、少し骨が折れたとは言っていた。

「そうそう、若干テンパってたしな。カッコつけててもまだまだヒヨッ子だよあいつは」

ゴハンは言って、クローゼットから出した布をエレナに手渡した。真っ黒く、とても滑らかな生地の服だ。

「これはチフソン・グリーマーっていう本部特製の服なんだ。あらゆる検知器を無効にするし、弾丸みたいな急激な衝撃には瞬時に硬化して身を守ってくれる。俺達も着替えて、セリオン博物館へ向かおうぜ」

エレナはひとつ頷き、寝室で袖を通した。

チフソン・グリーマーは薄いインナーのようで羽のように軽く、これまでにない不思議な着心地で、あつらえたかのようにぴったりだった。

姿鏡を見ると、装備も含めるといかにもスパイな格好で最高にクールだ。エレナは腰のホルスターにジュリアからもらったライトをポケットに差し込んだ。カムフラージュに上から普通の服を着て、髪を束ねる。

「準備OKよ!」


それに装着を終えたゴハンが頷いた。

「よし、じゃセリオン博物館へ、カブルの再確認だ!」


……・……


ゴハンのバイクはレース用のそれに似ていた。小回りがききそうだ。ヘルメットを受け取ったエレナはバイクに飛び乗り、ゴハンの腰に腕をまわした。とたんその腹筋に驚く。

「え、すごいね」

「だろ? 俺のお気に入りのバイク、超かっこいいの」

ゴハンは勘違いままにエンジンをふかした。バイクが大きく狐を描き、セリオン博物館へと走る。

めくるめく街並は、散りばめた宝石のようだった。夏夜ならではの生ぬるい風に、胸元のレンズが穏やかに揺れていた。

そして、セリオン博物館。

昼間の騒ぎはどこへやら、鬱蒼としたアストラルパークの中でセリオン博物館は静かに佇んでいた。ちらほら警備員の見回りのライトが見える。


自然溢れるアストラルパークは、カップル達のお決まりのデートコースでもある。ただ自然が多く死角もある分、ハメを外すカップルが問題視されていた。

ゴハンはそこを突いた。仲良く腕を組み、そそと博物館の影に入った2人は、そのまま服を脱いで潜入の服装へと代わる。


ゴハンが手首の腕輪をいじり、手の中に何かを転がした。そして、セリオン博物館の2階に素早く投げ込む。糸が軌道を描き、2階に吸い込まれていった。ゴハンが糸を数回引っ張る、どうやら何かに引っかかったようだ。

「よし、2階から侵入しよう。俺につかまって」

手を差し伸べるゴハンに、エレナは驚きに尻込みした。

「ええっ私重いよ……!」


そんな時、遠くで人の気配がした。ゴハンはかまわずエレナを抱き抱え、糸を引く。とたん2人は飛ぶように引き上げられ、屋上に転がった。ゴハンに抱きとめられたエレナが、あまりの一瞬に目を丸くする。

同時、1階でライトがちらりと光った。首をかしげた警備員が引き返すのを見る。危うく見つかるところだったのだ。


「ごめん」とエレナ。

「いいよいいよ、気にしないで」

ゴハンはそうかっこつけたものの、抱き込んだときの胸の圧力に〔うひょひょ、役得Gカップ~!〕と堪能したのは誰にも内緒だ。


ゴハンが窓から館内を覗く。うろつく警備員はそこそこの数だった。カブルの防犯対策で人員に力を入れているのだろうが、ゴハンからしたら素人の集団だ。

「潜入コースはバッチリ抑えてるから、俺の後に続いてねん」

ゴハンはコンパスのようなものを窓ガラスに廻す。窓ガラスは丸く綺麗に切りとられた。そこから鍵を開け、ゴハンの後に続く。まさにスパイ大作戦だ。


夜の博物館は寝静まったかのようで、非常口以外は夜明かりのみが頼りだった。展示物の恐竜の骨も、なかなかに不気味だ。

2人は警備員の目をかいくぐり、時には自販機、次にトイレ、そして遮光カーテンの裏や展示品の死角までを利用し、あっという間に難なくカブルの展示室前にたどり着いた。

「よーし、ここまで来れば安心だね」

ゴハンが小声でそう言って、静かに扉を開けたのだった。


闇を清めるかのように、月明かりがカーペットに光の梯子をつくっている。昼間は見ることの叶わなかったカブルは、ガラス張りの台座で静かに佇んでいた。びっくりするほど金ぴかで、触ればご利益がありそうな見た目だ。エレナは〔あれ?〕と思った。TVで観たカブルと印象が違ったからだ。


「しっかし妙だなー、警備が手薄すぎる」

ゴハンが声をひそめて言った。そのまま、エレナにレンズで見るよう手で促す。

エレナは意気込み、レンズをかかげカブルをみた。おだやかにゆらめく虹色の先……石は静かに佇んでいる。何の変哲もない、ただの石だ。エレナは首を振ってゴハンを見た。

「ジュリアの言った通りだわ、ただの石よコレ」


ゴハンが腕を組み、首をかしげる。

「やっぱ、偽者か~。どうりで警備が手薄なわけだ。本物はどこだ?」

ゴハンは言って、あたりを見渡した。「とりあえず、一旦引こう。バレたら事だ」


……・……


2人は展示室を出てすぐそばの窓から、バルコニーを通って非常梯子を登った。たどり着いた屋上で、手早くカムフラージュの服を着る。夜風が心地よかった。


ゴハンが屋根に何かを貼り付け、下に糸を落とす。

「じゃ、降りよっか」

言って両手を広げる。エレナは顔を赤くして、ゴハンの首に抱きついた。ゴハンも抱き返す。

「落ちたら危ないから、遠慮なくしがみついてね」とゴハンがウィンクする。


エレナは黙って力を込める。胸を押し付けているようで恥ずかしかった。かまわずエレナを抱きあげたゴハンは、静かに屋上の縁に足をかけた。糸を引き、壁に軽く足をつきもって降りる。そして、音もなく地面に着いた。まったく慣れたものだ、エレナはゴハンの手際のよさに感心したのだった。


糸を回収し、身を離した瞬間だった。ゴハンがふとエレナを見る。エレナもふとし、身を固くした。

すぐそこで足音が響いたのだ!

ゴハンはとっさにエレナを抱き、地面に組み伏せる。驚いたエレナが思わず声を漏らした瞬間だった。


「そこで何してる!!」

眩しいライトで世界が真っ白になった。


警備員は目の前のカップルに首を振った。まったく最近のガキは!

「ぁあもう……ここはラブホじゃないぞ! 早く立ちなさい!」

警備員のその声に、逆光のゴハンがウィンクし、気だるげに立ち上がる。

「ちぇ、せっかくいいとこだったのに~」

ゴハンは言いながら、いつの間にか緩めたベルトを締める。いかにも事に及ぶ直前のようだ。

警備員はちらりとエレナを見て、気まずそうに咳払いした。

「まったく最近の若い子は……親が泣いてるぞ」

ぶつくさ文句を垂れる警備員を刺激しないよう、ゴハンは素直に謝罪した。

「すみませんでした、家に帰ります。エマ、行こうぜー」

とっさの偽名エマことエレナは、顔を赤くしたまま頷き、ゴハンに続いたのだった。


背でぶちぶち不満をもらす警備員が遠くなり、アストラルパークを出る。セリオン博物館から遠く離れた道路沿いの駐輪場で、バイクに手を置いたゴハンが勢いよく振り返った。

「……ゴメン!」と。

エレナは少し驚いて、首を振った。

「ううん、ちょっとびっくりしたけど……気にしないで。バレなくてよかったわ」


正直、エレナの心臓はまだ激しい鼓動を打っていた。アストラルパークはカップルが多い分、さっきのような事もよくあるのだろう。それにあやかって上手く切り抜けたことよりも、おちゃらけた友達のようなゴハンを〔男〕と再認識した方がショックだった。

さっき組付された時の、驚くほどの力。それが少し怖くて、どんな顔をしたらいいかわからなかったのだ。


ゴハンはそんなエレナを察してか、こっぴどく叱られた犬のように凹んでいる。これがパンなら〔業務上、やむを得なかった事だ〕とか言って堂々としたものだろうに。

エレナはいたずらっぽく笑みをつくってみせた。

「あの警備員さん、うまく騙せたわね! さすが」と、お調子者のゴハンの男の子らしい優しさを傷つけないように。

ゴハンはちょっと苦笑し、一本とられたかのように頭を掻いたのだった。

   ★


子どもの頃から典型的ないい子だった。読書が好きで、勉強が得意だった。

女子大を出てから、今の研究所に就職した。両親はたいそう喜んだ。キャリアを積み、やりがいある仕事に毎日輝いていた。ふと気付けば同期は皆、結婚し家庭を築いていた。


ある日、両親は言った。

〔あなたもいい年なんだから、はやく身をかためなさい〕と。それはまるで、咎められたようだった。


上司のセクハラに耐え、若くて可愛い部下達の陰口に耐えた結果の、給料というお金。通帳の残高が、私の価値。ささやかな娯楽に消える金も、30を過ぎてからはただ虚しいだけだった。

これが、私の人生の結果なのか。……私はこんな毎日を、死ぬまで繰り返すのだろうか。


ヤスミンは残業を終え、研究室の電気を落とした。更衣室のロッカーに映る自分は、すっかりおばさんだ。くたびれた下着、たるんだお腹、全部が嫌だった。

子どもの頃は、絵本の王子様にあこがれたものだ。恥ずかしい話、今でも王子様が現れてくれないかと思う。こんな所から手をとって抜け出してくれるような、そんな王子様が。


ヤスミンは虚しいため息ひとつ。そしてふと、研究室にファイルを忘れたことを思い出した。

「ああやだ、あれは極秘なのに」

巷で話題のマジックストーンの関連書類だ。ヤスミンは慌てて研究室へと戻ったのだった。

研究室の暗証番号を通し、電気をつけたとたん、ヤスミンは息を飲んだ。

まるで王子様のような、とんでもなくハンサムな男性がそこにいたからだ。

〔泥棒〕と声を上げるのを忘れるほど、あまりに完成された正真正銘の美青年に、ヤスミンは時が止まったかのように見惚れた。


その美青年は、青味がかったきれいな白髪をしていた。長いまつ毛に薄い唇、セクシーな薄褐色の肌。長めの髪からのぞく顔は、まるで精巧な彫刻像……いやそれ以上に、ぞっとするほど美しい。


「やぁ」

王子様はそう言って、棒立ちのヤスミンに微笑む。魅力的でセクシーなその声に、ヤスミンは魔法がかかったように動けなかった。

心臓は早鐘のようで、顔は火事でもおこったかのよう。全細胞がぞくぞくと震えるのがわかる。

(こんなハンサムな男性がいるなんて、私はきっと幻覚でもみているんだわ……)


王子様の大きな手が、ヤスミンの頬にそっと触れる。

「綺麗な瞳をしているね」

ヤスミンは、その甘い囁きに頭がくらくらした。目蓋にそっとキスを落とされ、目を閉ざされる。目前の王子様とのひとときが、どうか夢ではありませんようにと願いながら。



気付けば、ヤスミンは仮眠室でまどろんでいた。

王子様の感触や香りはまだ体に残っている。甘い取引に、忘我の境でヤスミンは研究関連の情報を一つ残らず王子様にゆだねていた。それに後悔はしていない。人生が覆るほど、素晴らしく情熱的なひと時だった。生きた心地がした。まさに夢のようだったのだから。


遠くに走り去る車を愛しげに、窓ガラスを指でなぞる。ヤスミンは熱いため息を漏した。

この冷たく固い地球学研究センターで、自分がどれほどの時間を無駄にしていたんだろうとさえ思えた。こんな素晴らしいものが、この世にあっただなんて!

「王子様……ありがとう。私、これからは自分の人生を生きる。だってこんな素晴らしいひとときがあるって、知ってしまったから」

その夜を機にヤスミンはすっぱり綺麗に退職した。のちに、喫茶店で出会った警官と熱愛結婚したのはまだまだ先の話である。


地球学研究センターを出たパンは、研究員ヤスミンから聞き出した情報をゴハンに連絡した。

美青年の王子様こと、パン。彼の所属する情報管理科は、情報操作からハニートラップをも得意とする科だ。潜入のさいドッキングするというトラブルはあったものの、情報収集ではむしろかなり手間が省けた。

こういった利点があるからこそ、肉体関係をもつことは業務上、やむを得ないのである。


パンは先ほどまでの情事を事ともせず、すっかり溶けたシュークリームを律儀に食べきる。指を舐め、遠ざかる地球学研究センターを背に車を走らせたのだった。



「カブルの居場所が判明した、荒野のテレマ研究施設だ」

帰るなりパンはそう告げ、薄い黄色のファイルをゴハン達に広げる。「テレマ研究所はここから遠い。車でも数日かかるだろう」


エレナが首を振る。

「そんな! その間にカブルが分解されちゃったらもとのもくあみだわ、急がないと」


ゴハンはいつものダークスーツ姿で、パンの肩に手をやった。

「お疲れ~。さっき飛行盤(ひこうばん)を手配したから、すぐ行こうぜ! 数十分で着くから」


飛行盤(ひこうばん)?」とエレナ。

ゴハンとパンの後に続き、エレナは屋上へと出た。屋上の風がビュウと髪を流す。いつもの屋上と違う光景に、エレナはあんぐりと口を開けた。

屋上では、いかにもなUFOが静かに佇んでいた。丸い車のようにも見えるが、真っ黒でメタリックでSFチックだ。

「これは飛行盤という乗り物だ」とパン。「一定の距離以外は見えない仕様だ」

「すごい! UFO……ううん、飛行盤って初めて見た!」


ゴハンが車のキーのようなものを押す。

「地球産だから、中身を見たらショックかもよ」

すると、飛行盤は滑らかにその口を開けた。

飛行盤の中は、大きなキャンピングカーのようだった。棚にインスタントのカップ麺があるし、冷蔵庫やオーブン付きキッチンまである。

「これはこれで素敵!」

エレナは両手を広げて言って、ベッドに腰掛ける。ふとベッドの隙間から出た避妊具をつまみ上げ、目を丸くした。

「なにこれ? 変なパッケージ」

変なパッケージのそれは真っ黒で四角く、中は丸くて柔らかい輪ッカが入っているようだ。

「イボつき立体リングXXL??」

エレナがパッケージを読む。


それに静かに見合うゴハンとパンが、声を潜ませ肘でつつき合う。

「手配の際、片付けなかったのか?」「知ってたら片付けたっての。お前のだろっ」「いや、あんな安物は使わない」「俺が知るかよッ」

2人はふと、エレナの視線に姿勢を正す。ゴハンの肘をパンが叩いて言った。

「……それは銃に被せる防水カバーだ。いいから早く座りなさい」と。


「そうなんだ。あ、シートベルト! 車みたいね」

まるでピクニックに向かうかのように、エレナは意気揚々に座席に座り、ベルトを締める。操縦席にはパンが座った。飛行機の操縦席のようなパネルをいじっている。

ゴハンが横目、笑いをこらえ震えていた。

「銃に被せる防水カバーって……近いんだか遠いんだか……」

パンがゴハンをひと睨み、目で物を言った。お前ならどんな素敵な回答をするのかと。

「俺?」とゴハン。「ナイトフォーマル」自分で言って、猿のように手を叩いて笑う。

その時、飛行盤がブーンという音と共に、ゆっくりと上昇し始めた。エレナは外の景色に釘付けだ。パンはゴハンを鼻で笑い、操縦機を握ったのだった。


やがて窓の景色が夜空一色になった頃。

エレナは避妊具をまじまじとみていた。シューティングゲームで、弾丸の火薬は水に濡れてダメになってしまうシーンがあったことを思い出す。それでも銃の防水カバーなんて初めて見たのだ。一体どんな風につけるのだろうと、エレナはさっきの避妊具を手で振ってみせる。

「ねぇねぇ、コレつけるとこ見せて?」

「「ダメ!」」

振り向きざまのゴハンとパンの意気投合に、エレナは面食らった顔で頷いたのだった。

景色が矢のように飛び、やがて飛行盤は荒野の上空に碇泊した。

安物のクッキーを敷き詰めたような荒野はどこまでも続いている。その真ん中に、シリアルのオマケのような灰色の建物があった。

「あれがテレマ研究施設……あの地下にカブルがいるのね。壊される前に、回収しましょ!」


静かに降り立った一同は、双眼鏡で中から様子をうかがった。

テレマ研究施設は、研究施設というよりは町工場のような建物だった。やたら大きいが、やけに簡素だ。しかし、うろつく作業員は銃をかまえているし、建物から時折現れるのは、白衣を着た人や怪しげな防護服をまとった者ばかりだ。

「潜入できそうにないね……どうしよう?」

「枝は森に隠せってな」

ゴハンが立ち上がり、おおきなタブレットを打ちはじめる。それとなく画面を覗き込めば、服の通販サイトだった。しかし、価格は「P」という単価が表示されてある。よくみれば通販内容も怪しげなものばかりだ。ゴハンが服を選ぶたび、Pは増えた。最終合計は〔6P〕と記載された。

ゴハンはそのまま決定ボタンを押す。するとすぐに、クローゼットから電子レンジの呼び出し音が響いた。中にはさっきゴハンがチョイスした衣類が入ってあった。

「わぁ便利!」とエレナ。

「はい、これ着て潜入するぜ! これがパン、これがエレナちゃんの分ね」

手渡されたのは、黄色の防護服だった。テレマ研究施設でうろつくそれと同じものだ。マシュマロのようにむっちりしていて、中のワイヤーを見る限り、どうも服を着た状態で着る仕様ではないようだった。やむなく服を脱いで、ワイヤーを体に固定する。

顔もとは反射板のような素材でできていて、表情はおろか性別すらわからない。エレナは防護服に袖を通し、鏡を見てみた。……ずんぐりむっくりした安物のオモチャみたいだ。


警備員姿のパンが襟を正す。研究員姿のゴハンがエレナにウィンクした。

「よく似合ってるぜ、エレナちゃん!」

エレナがえっちらおっちら回転する。

「もう! これが似合っても全然うれしくないー!」

ゴハンは笑って、ファイルを取り出し広げて見せた。テレマ研究施設の見取り図だ。

「よし、これから作戦会議だ。耳かっぽじってよ~く聞いてくれよ」

  ★

飛行盤を出た一行は、夜闇に紛れ、密やかに死角に飛び込んだ。途中、2~3人をパンが軽く締め落とし、死角に詰め込んで布を被せる。

「潜入成功。じゃ、あとは作戦通りで」

ゴハンの指示にパンが頷き、それとなく警備に混ざる。エレナも頷き、エアーシャッターから侵入した。

カブル回収作戦開始だ。


テレマ研究施設は思いのほか巨大だった。運動場ほどの大きさの建物の真ん中には大きな穴が開いていて、その穴付近にエレベーターが設置してある。この地下にカブルがいるのだ。

あたりは鉄の骨組みもあれば、大きなガラス製のプレハブもある。床は大小様々な色とりどりのコードまみれで、あちこちで機械音がせわしなく響いていた。色んな研究員や防護服がせせとうろつき作業をする中、エレナは心臓をどきどきさせながらエレベーターに向かった。

〔ちょっと急ぎ足だと逆にバレにくい〕というパンのアドバイスは的確だった。誰も声をかけてこないのだ。


その時だった。

「おい!」

突如の声にエレナは心臓が掴まれたかのように驚き、声の先をみた。くせっ毛の目立つ白衣がこっちに手招きしている……。エレナが急ぎ足に近付き、用件を待った。


白衣の男、ロレンツォは頭からつま先まで、防護服の作業員を見た。作業員の管轄も務める彼は、こんな小さい作業員はいただろうか? と首をかしげる。

「……お前、どこの所属だ?」


エレナはとっさに手首にトントン指をつき、親指でエレベーター先を指差した。時間が押してるんだ、かまうなよ。

それにロレンツォが頷き返す。

「ああ、急いでるのか。声をかけて悪かった」


防護服はそのままエレベータへ向かった。その歩き方が妙に女っぽいというか、やけに気になる。作業員は皆、男のはずだ。あの防護服の奴は……なんだか可愛いのだ。

「……いや、やっぱおかしいよなぁ」

ロレンツォは怪訝にひとりごち、作業を止めて防護服の後を追ったのだった。


エレナは落ち着きなくエレベーターを待っていた。地下7階まであるのだ、無駄に長い。B6……B5……B4………どれだけ深いかは知らないが、エレベータはやたらゆっくり上がってくる。


エレナはふと現れた人に息を呑んだ。先ほどのくせっ毛の目立つ白衣が、エレナの隣に立ったのだ。何するわけでもなく、白衣も一緒にエレベーターを待った。エレナは内心めちゃくちゃ動揺したが、悟られないよう隣を見もしなかった。


やっと到着したエレベーターが、大きく口を開く。先に乗り込んだ白衣が扉を手で押さえてくれた。おや、いい人なのかも知れない。エレナが乗り込んだのを確認し、白衣が階層ボタン前で言った。

「何階だ?」

エレナが黙ってボタンを押そうにも、白衣を押しのける形になってしまう。かといって手で指示するのも怪しい。

エレナはできる限りのドス低い声で「……7……」と言った。

ロレンツォはその声に一瞬固まった。なんだ今の、年頃の娘が男の声マネをして搾り出したような低い声はと。

「え? 何階だって?」

「……7……」


その声にロレンツォがちょっとふきだす。

「いやいや、お前女だろ」言って、懐から銃を抜き、エレナに向けた。

「両手を頭に挙げろ、侵入者!」

エレナ、絶体絶命の大ピンチである。

   ★

「いやあどうも、どうも~すみません」

白衣のゴハンは腰低く、作業員に連れられていた。銃を持った作業員が、野暮ったい丸眼鏡をつけた白衣のゴハンにふる。

「それにしても、地球学研究センターの先生が一体何の用で?」


「いやね、昨日いただいた書類に、そちらの記入漏れがあったと受けまして」とゴハン。

それに作業員が「あ~」と納得した。

不備は始末書ものだ。野暮ったい丸眼鏡はこうしてわざわざ内密に来てくれたのだ。

「それはそれはどうもお疲れ様です。エレベーターはこの先ですので」

それにゴハンが笑顔で「どうも」と見送った。

ゴハンは、ザルな警備だと内心思いつつ、エレベーターのボタンを押したのだった。

   ★

銃口を向けられたエレナは、大人しく両手を頭に挙げていた。

ミリアムに脅しで銃口を向けられたときとはわけがちがう。あの時はゴハンがいてくれたが、今は誰も助けてくれないのだ。ばれたら殺されるかもしれない……恐怖に震え、涙が頬を伝った。


「どんな面かおがませてもらうぜ」

ロレンツォは警戒しつつも静かに近付き、エレナの防護服の股下のチャックを一気に引き上げた。


純白の可愛いショーツに、ロレンツォは一瞬固まった。小さなピンクのリボンと可愛いフリルがあしらわれてある。綺麗な縦ヘソのお腹に、透き通るように滑らかな肌。そして、おどろくほどたわわな胸。ショーツの可愛らしさとは裏腹の、艶かしく汗ばむ胸元にロレンツォが生唾を飲む。

「……えっ……ええ? 嘘だろ……?!」

ロレンツォは思わず、片手を頭にやった。汗と石鹸の香りの混ざった甘い芳香に頭がくらみ、ロレンツォは大赤面に1歩たじろぐ。

そして、おずおずと侵入者のフェイスカバーを外した。

フェイスカバーの下では、金髪の可愛らしい女の子が、ぽろぽろと涙を落としていた。

こんないたいけな乙女が侵入者? ロレンツォは我が目を疑った。

「……おいおいなんてこった……俺は幻覚でもみてるのか……?」


ロレンツォは思わず指先で少女の頬に触れ、伝う涙を指で拭った。指が水晶のような滴に濡れる。……本物だ。そのまま手を下にやって、女の子の唇に触れる。しっとりぷにぷにと柔らかい唇だ。指が白い歯に当たる。それに心臓が痛いほど熱くなった。

職場にカンヅメのせいで久しく女の体を見ていないのに、いきなりこれは刺激が強すぎる。ロレンツォは熱い息をゆっくり吐き、女の子の口に親指を無理やり突っ込んだ。

「……見逃してやってもいいけど、」

言いかけたその時。いつの間にか動き出していたエレベーターが止まった。扉が静かに開く。現れた野暮ったい丸眼鏡の男が1人、腰の低そうな声で言った。


「ああ、ちょうど良かったです~! この書類なんですが~……」

後ろ手にエレベーターを閉めた野暮ったい丸眼鏡のゴハンが、ファイルを開きつつ大股で歩み寄る。そして、びっくりままのロレンツォに間髪入れず、みぞおちを殴り上げた。ロレンツォはうめき、前のめりに倒れこむ。

ゴハンはかまわずもう1発、今度は背中に肘鉄を落とす。エレベーターが静かに揺れた。


「ゴハン……ッ!!」

エレナの声に振り返ったゴハンの顔は静かな怒りに満ちていた。エレナは思わず言葉を失う。ゴハンはそのままエレナに歩み寄り、防護服のカバーとチャックを戻し、そのままきつく抱きすくめた。

「怪我はないか?」

低い声にエレナは驚きつつ、小刻みに頷き返す。ゴハンはそれに息を吐き、エレナの頭部分をなでて身を離した。

「……お~し、とっとと終わらせようぜ!」

ゴハンのいつもの笑みに、エレナが涙をこらえ頷き返す。そうだ、泣いてる場合ではないのだ。カブルを回収しないと!


やがて、エレベーターは地下7階に止まった。ロレンツォを担いだゴハンは、そのままそばのトイレの個室に押し込む。エレベーターでの状況を思い出し、吐き潰すように呟いた。

「……おっ勃ててんじゃねぇよ、クソ野郎」

ムカついたのでもう1発殴ってから、トイレのドアを接着剤で固めつくし、エレナの元へ戻ったのだった。

……・……

地下7階は、いかにも地下施設といった風情だった。青暗い岩壁に鉄骨やパイプが這うように伝っている。大きな照明が宇宙の太陽のようにあたりを照らしていた。

(なんだか発掘現場みたい……)

まるで大穴の要塞だ。そして思いのほか、ひんやりしていた。湿度の高い澄んだ空気は、大自然の滝のような匂いがした。エレナは1歩前に出る。足元の歩道橋のような橋が、上にも下にも伸びて次なる大穴へと続いていた。

その先にふと下に目をこらす。……何かあるのだ。よくみればそれは、いかにもな保育器だった。ずらりと下にひしめくガラスの容器には、見たことのないほど大きな蜘蛛が静かに詰まっている。

(うわっ気持悪!)

エレナは1歩引いた。


「パンの情報だと、この奥にカブルがあるからチャチャッと回収しちゃって。俺はパンの加勢にいくから」

その耳打ちに頷いたエレナはゴハンと別れ、薄暗い橋の先へと進んでいったのだった。


一方、パン。

外にいる警備員達を夢の世界に送ったパンは、外のトラックに彼らを詰め込み鍵をかけた。そろそろエレナがカブルを回収する頃合いだ。一通り終えたパンは帽子を深くかぶり直し、テレマ研究施設に堂々と足を踏み入れる。入って早々、目の前を通った作業員に刃の峰を振り下ろした。手前の数人がそれに声をあげる。パンは刃の峰を構えた。あくまで峰打ちだ。


「侵入者だ!!」

その言葉と銃声に怯むことなく、峰打ち無双に叩き潰していく。返すように、雨のように銃声が響いた。

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