表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/343

牛乳は粉ものと共に

新年も明けてすっかりいつもの日常に戻った港町。

そんな中アノットに教わった事もあり理津子のお菓子の腕前はかなり上がった。

和菓子が作れたという事もあり、飲み込み自体はよかったようで。

ティータイムなんかも今ではするようになったそうな。


「りっちんの奴、洋菓子もすっかり上手くなったね」


「元々料理は上手いみたいだし、飲み込みは早いんだろうな」


「お菓子作ってるみたいだけど、すっかりハマっちゃってるね」


そんな話をしていると甘い匂いと共にお菓子が運ばれてくる。


作ったのはビスケットのようで。


「いい匂いだねぇ、すっかり上達しおって、もう教える事ないやん」


「大がかりなものとかはこれからだけどね」


「でもビスケットか、これハードビスケットだろ」


「うん、まあ定義で言うなら世間一般のクッキーもビスケットの仲間だけどね」


「それより食べようよ」


とりあえず理津子の焼いたビスケットをいただく事に。

そんな中飲み物に目が行く。


そこにあったのは冷たい牛乳だ。


「ねえ、飲み物がなんで冷たい牛乳なん?」


「粉っぽいものを食べる時は牛乳がいいんだよ、これ豆ね」


「そうなのか?それは意外な感じだな」


「お母さんから教わったんだけどね、粉っぽいお菓子には牛乳がいいって」


「そうなんだ、なんでなんだろう」


粉っぽいお菓子には牛乳がいい。

その理由については理津子も詳しい知っているわけではない。


ただ牛乳は粉をまとめてくれるみたいな感じはするとのこと。


「うん、美味いね、チョコビスケットなんてシャレてるし」


「こっちの世界だと牛乳って基本的には缶か瓶なんだね」


「お前の世界では違うのか?」


「あたしの世界だと牛乳は紙パックだよ、瓶のやつもあるにはあるけどね」


「紙パック?」


こっちの世界だと紙パックは基本的には見ない。

ジュースなどは瓶か缶が基本で、牛乳やお茶なども瓶が多い。


ペットボトルもこっちの世界には存在しないようだ。


「飲み物を紙の容器に入れて平気なもんなんかね」


「あたしの世界ではそれが当たり前だけど、技術の発展なんじゃないかな」


「そこは世界の違いを感じるよな、紙容器に飲み物を入れたりするのは」


「お茶なんかも紙容器に入ってるのとかあるよ」


「理津子の世界って紙の技術も発展してるんだね」


そこはやはり世界の違いである。

実際理津子の世界には耐水性に優れた紙も存在する。


理津子の世界でも昔は瓶や缶が使われていた事が多かった事からもそうなのだろう。


「耐水性に優れる紙があるなんてりっちんの世界って凄いんね」


「それも先人の知恵だし、技術の進化だと思ってるよ」


「液体に強い紙、お前の世界は便利なものも多そうだな」


「あぶらとり紙とかもあるしね、油を吸収するのも紙でやってたりするし」


「紙の技術凄すぎない?」


世界によって優れる技術は違う。

この世界は様々な世界同士による交流があるからこそだ。


やはりそこは得意なものがその世界によってあるというのは大きいのか。


「ん、確かにビスケットを食ってから牛乳を飲むとくっついたのが取れる感じがするわ」


「でしょ?あたしも詳しくは知らないけど、牛乳は粉ものと相性がいいの」


「おばあちゃんの知恵袋的なものなのかな」


「だと思う、お母さんのお母さんから教わったみたいな知恵は割と聞いてるし」


「リツコのお母さんってそういうのに詳しいのかな」


理津子の母親のその母親から聞いたであろう不思議な感じのする知恵。

そういうのはおばあちゃんの知恵袋的なものなのだろう。


理津子の母親もそういう事をきちんと受け継いだのかもしれない。


「うん、確かに粉ものと牛乳って一緒に食べると食べやすくなる気がする」


「あたしもビスケットとかクッキーを食べる時は必ず牛乳なんだよね」


「不思議な感じはするけど、そういう不思議な知恵ってあるもんな」


「そうなんだよね、なんでなのかはあたしにもよく分からないんだけど」


「人間だからこその知恵なのかもね」


機界人のセルベーラにはそういうのはよく分からないのだろう。

だがそういった知恵は理津子にもきちんと受け継がれている。


それはその知恵が地味ながらも役に立つ事は確実なのかもしれない。


「うん、美味かったぜぇ」


「それはよかった、今度美味しい牛乳でも探してみようかな」


「またそういう」


「リツコらしいよね」


そんなティータイムならぬニュータイムである。

粉ものの食べ物を食べる時は牛乳がいい。


それは実際牛乳ならスムーズに粉ものの食べ物を流し込めるから。


一般的な知識なのかどうかはよく分からない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ