表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/342

ケーキを考える

もうすぐクリスマスとはいえこの世界にそんなものはない。

だがせめて料理ぐらいは作ろうと考えている理津子。

そんな中やはりメインはケーキにしようとも考えている。

アノットから教わり洋菓子も作れるようにはなったのだが。


「りっちんなんか考えてんね」


「あいつの世界のクリスマスっていう行事の料理の事だろ」


「主に肉とかケーキって言ってたけど」


そんな中理津子がケーキの候補をまとめたらしく、相談してくる。


どのケーキにしてもいいのでどれがいいか教えてくれとのこと。


「ケーキをどれにするかねぇ」


「うん、普通のケーキかザッハトルテかブッシュドノエルのどれがいい」


「ブッシュドノエルってなんだ?」


「あー、そっか、丸太みたいな横に長いケーキの事だよ」


「そういうケーキがあるんだ、理津子の世界には」


候補は普通の白いケーキとザッハトルテ、それとブッシュドノエル。

こっちの世界にはクリスマスもないのでブッシュドノエルはない。


そんなケーキのチョイスはどれにするのか。


「せっかくだしブッシュドノエルっての食ってみたい」


「少年とセルベーラは?」


「僕もせっかくだからそのブッシュドノエルっていうのを食べてみたい」


「だって」


「なら私もそれでいいよ、リツコの世界のケーキも食べてみたいし」


そんなわけでケーキはブッシュドノエルに決まる。

洋菓子は計量さえきっちりすればなんとかなるというのも理津子は覚えている。


こっちに来る前に料理の本で見たレシピだけは頭に入っているようで。


「でも丸太みたいなケーキなんてもんがあんのね」


「うん、本当は砂糖菓子の人形とかも作りたいけど、それは諦める」


「砂糖菓子の人形?お前の世界だとそんなものがあるのか」


「うん、あとチョコレートのネームプレートみたいなのもあるよ」


「なんか面白いね、リツコの世界のケーキって」


流石にそこまでは作れないので諦める。

ただチョコレートのネームプレートぐらいは作れなくはないと思っている。


なので砂糖菓子の人形だけは諦める事に。


「洋菓子は覚えたけど器用なもんはまだ難しいかね」


「うん、ケーキとかお菓子なんかは作れるようになったけど」


「あのアノットがきちんと人に教えられるって意外だよな」


「スキルだけは高いからね、要所さえ教えてくれればあとはなんとでもなるから」


「料理が得意なリツコらしいよね」


理津子も親に和菓子こそ教わったが、元々お菓子作りは得意ではなかった。

その理由としてはきっちりと計量するのが苦手だったというのがある。


ただそれでも勉強はしてクッキーやビスケット程度なら焼けるようにはなったという。


「りっちんって料理の調味料とか完全に目分量で入れてるもんねぇ」


「感覚として覚えちゃってるんだよ、だからお菓子のきっちり計量は苦手なの」


「料理はレシピさえ守れば不味くならないっていうのに、目分量で入れるなよ」


「あたしにとって美味しいって感じる分量があるのは確かなんだけどね」


「確かに美味しいんだけど、目分量で入れるのはどうかと思うよ」


理津子も父親の背中を見て育った人ではある。

だからこそ感覚的に分量が分かってしまうのかもしれない。


きっちり計量が苦手なのはそんな野生の勘にも似たものなのかもしれない。


「でも目分量で不味くならないって事は体でその感覚を覚えてるって事よね」


「かもしれない、これぐらいなら平気っていうのが感覚的に分かるし」


「お前、実は野生児か何かなんじゃないのか」


「少年、女の人に凄く失礼な事を言ってるよね」


「お父さんが料理人って言ってたし親譲りなのかな」


なんにせよケーキの話はまとまった。

クリスマスにはブッシュドノエルで決まりだ。


ただクリスマスそのものはないので、作るのは少し早くなるかもしれないが。


「んじゃ期待してるぜぇ、そのクリスマスっての」


「うん、美味しい料理をたっぷり作るから」


「慣れた身で言うのもあれだけど、量は加減してくれよ」


「それはどうかな」


「これはたくさん作る予感がする」


そんなクリスマスの料理の予定。

ケーキはブッシュドノエルで決まりという事になる。


ただ量は加減しない予感しかしない。


「とりあえずお肉屋さんに肉をその日に確保出来るように頼んでおこう」


「普段から肉々しい料理を作るのにねぇ」


「こいつの作る料理は完全に体育会系だろ」


「美味しいけど量が多いのは環境のせいなのかもね」


ブッシュドノエルと肉料理を何点か。

七面鳥はたぶん手に入らないと思うので、他の鳥を探す。


丸焼きぐらいは作れてしまうのも理津子の凄さ。


鳥を絞めるぐらいはお手の物である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ