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お酒は好かない

以前見つけた屋敷の地下のワインセラー。

ロザリオの父親のものだが、アノットがありがたくいただいている。

その一方で理津子は飲める年齢ではあるが、ほとんど手を付けない。

理津子はお酒はそもそも好かないと本人は言うのだが。


「はぁ、ワインに合う肴を作ってくれるりっちん様々だねぇ」


「アノットは酒にも詳しかったりするし、メイド隊出身も伊達じゃないよな」


「お酒もエネルギーには出来るけど、私はそんな好きじゃないかな」


そんなアノットに酒の肴を作っている理津子。


お酒は飲めないのではなく好かないと本人は言うが。


「地下のワインはお高いのも多いし、一気に飲みまくるのはもったいないよね」


「追加の肴出来たよ」


「酒の肴って酒を飲まないけど美味しいから僕は嫌いじゃないぞ」


「少年、分かってるね、酒の肴ってお酒を飲まない人でも好きな人は多いよ」


「それにしてもスナック菓子みたいなのまで作るんだね、リツコって」


理津子は本格的な洋菓子なんかは苦手だが、お菓子そのものはそれなりに作れる。

スナック菓子のようなものも作れるので、酒の肴によく要求されるらしい。


とはいえ工場生産のように大量に作るのは無理だが。


「今回はここで止めるから、もういいよ、サンクス」


「うん、分かった」


「それにしてもこの煎りピーナツ美味しいな、こういうのも作れる辺り株が高いぞ」


「スナック菓子系は本格的な洋菓子とかに比べれば簡単だからね」


「ただ煎って塩を振りかけただけなのに美味しいね」


こういう酒の肴を作るのも得意な理津子だが、酒はほとんど飲まない。

家でも理津子だけでなく家族もほとんど飲まないという。


基本的に家族揃って宴会の席など、特別な場でもない限り飲まないのだとか。


「でもりっちんってお酒飲まないよね、弱いってわけじゃないんだよね?」


「たぶん弱くはないかな、飲み会で一度だけ周りがみんな潰れた事はあるから」


「飲まないくせに酒豪なのか、お前」


「でも基本的に飲まないよ、飲み会で料理頼みまくって呼ばれなくなったから」


「お酒には強いんだね、なのに飲まないのも意外な気がする」


理津子曰く家族で一番酒に強いのは母親だという。

ちなみに理津子は瓶ビールを8本ぐらい空にしても平気だとか。


その一方で母親は凄い時には一升瓶を5本ぐらい空けてもケロッとしていたとか。


「もしかして飲まない理由って、強すぎるから飲まないんかね」


「うん、あたしもお母さんも勧められれば飲むけど、気づくと周りがみんな死んでる」


「弱いから飲まないんじゃなくて、強いから飲まないのか、お前の家族はどうなってんだ」


「お父さんは弱いんだよね、瓶ビール半分でも寝ちゃうぐらいだし」


「リツコってもしかして両親の血を完璧に受け継いだハイブリッド?」


弱いから飲まないのではなく強いから飲まないというのが理津子の真実だとか。

過去に飲み会で勧められたから飲んだものの、気づいたら周りが全滅していたという。


本人もそれを分かっているからなのか、酒の席でも基本的に料理ばかり頼むらしい。


「しっかし、そんだけ飲んでもケロッとしてるとか肝臓はどうなってんのよ」


「そう言われてもね、人間ドックに行った時も健康体って言われたし」


「人体の神秘すぎると思うぞ、お前の体は」


「お酒には強いし、食欲に関してもかなりあるしね」


「たくさん食べるのにお酒は飲まないって理想的な人だよね」


ちなみにその飲み会で周りの潰れた人達は見事に記憶が飛んでいたらしい。

その一方で理津子は平然としていたようで、飲み会に呼ばれなくなるのも必然である。


酒にはやたら強く、料理ばかり頼むとなると飲み会の会計が馬鹿にならないからだ。


「ドカ盛り飯は家の影響なのは理解するけど、酒にも強いとは、恐ろしい子」


「子供の頃からたくさん食べてたし、家もたくさん食べる人向きのお店だからね」


「大衆食堂だもんな、メインターゲットは工事関係とか営業職とかだろ」


「うん、あとは近所の学校の運動部の学生とかね」


「お酒を飲まない理由が真逆だったっていうのは意外だったかも」


なんにせよ理津子のお酒に対する姿勢はそんなものらしい。

強いから飲まないというのは、一種の配慮ではあるのだろう。


気づいたら周りが全滅していたというのはなかなかのエピソードではある。


「はぁ、美味かったぜぇ、またお願いね」


「はいはい、それじゃお皿洗ってくるから」


「あいつ酒にめっぽう強かったのな」


「エピソードが強すぎるよね」


そんなお酒に関する思い出。

そこに関しては母親譲りという事は確定だろう。


弱いから飲まないのではなく強いから飲まないというお酒との付き合い。


この若さでエピソードが強すぎるものである。

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