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少し珍しい肉

こっちの世界にもすっかり馴染んでいる様子の理津子。

とはいえ自分の世界との違いはたまにやらかす事もあるようではある。

そんな今日は雨の間の晴れ間なので買い物とかもまとめて済ませる事に。

そこで少し珍しいものを買ってきたようだ。


「りっちん、今日の昼飯は何作るんかね」


「お前もメイドなら少しは働け」


「アノットは重労働は本当にやりたがらないよね」


そんな話をしているとキッチンからいい匂いが漂ってくる。


運ばれてきた料理は肉料理のようだが。


「ずいぶん買い込んだと思ってたら肉だったんか」


「うん、森の国フェアをやってたからつい買ってきちゃった」


「つまりこれは森の国からの輸入品の肉なのか」


「そう、これは仔ウサギのロースト、こっちはイノシシの生姜焼きね」


「森の国ってそういえば熊とか鹿とかそういうのも食べるんだっけ」


以前観光で行った森の国。

スーパーマーケットで森の国フェアをやっていて、それで買ったジビエである。


臭みなどは加工段階で抜かれているのですぐに調理が出来る。


「でも森の国ねぇ、あの国は珍しい肉の宝庫だよ」


「そうなんだよね、観光で行った時は美味しかったから」


「とりあえず食べるぞ」


「だね、冷めないうちに食べよう」


「いただきまーす」


ちなみに森の国は野生動物の肉が豊富でこの国は魚がよく捕れる国でもある。

ここは港町で国の港でもあり玄関口にもなっている。


定期的に他国からの連絡船が入港したりもしている海の玄関口なのだ。


「ん、美味いじゃん、肉に加工されてたものを使ったとはいえ流石はりっちん」


「お父さんに仕込まれてるからね、一応解体も出来るんだけど」


「そういえばこの前農業高校の畜産科に通ってたって言ってたもんな」


「うん、それもあるから野生動物の解体ぐらいは軽いかな」


「食べ物に対する執着心が凄すぎだよね、リツコ」


料理は無理矢理叩き込まれたのではなく見てて楽しそうだったから覚えたもの。

父親がキッチンを預かっていた理津子の家でその背中はしっかりと見ていた。


そこからどんどん覚えていったという事なのだろう。


「しっかしりっちんさ、毎回作る量が多いのだけはなんとかならんの」


「我が家だとこれぐらいが普通だよ?あたしもお父さんもこれが標準」


「それなのになんでそこまで太る様子もないんだ、お前の体どうなってんだ」


「うーん、でもお母さんも見た目に反して食べる人だったから」


「お母さんも意外と食べる人だったの?」


どうやら理津子の家族がそもそもたくさん食べる家だったようだ。

理津子と父親は大盛りが基本、母親も見た目に反して食べるようで中盛りが基本らしい。


理津子が飲み会で料理を大量に頼んで呼ばれなくなった話も納得である。


「むぅ~、りっちんって代謝が相当にいい人なんかね?」


「運動はそこそこするけど、間食はそこまでしないかな」


「お前、体重計に乗った事あるか?風呂場にあっただろ」


「うん、身長は多分変わってない、体重は60キロぐらいだったかな」


「それ軽いのかな?それとも重いの?」


理津子が言うには平均より少しだけ軽い感じらしい。

細かく言うと60キロに限りなく近い59キロらしい。


理津子の世界だと大体の平均体重らしいが。


「りっちんの身長って割と高い気がするけど、何センチか聞いていい」


「あたしの身長?この前測ったら変わってなかったから166だけど」


「お前、思ったよりも背が高いんだな、というか僕より10センチは高いのか」


「体重はさっき言ったようにほぼ60ね、大体この身長の平均値近いかな」


「だとしたらデブとかぽっちゃりじゃないんだね、それで平均なんだ」


理津子曰く大学では痩せたいとよく言っていた人もいたらしい。

その理津子は平均体重を知っていたので、危険だとも分かっていた。


俗に言うプリンセス体重やモデル体重はその仕事の人以外はおすすめしないとも。


「でもこんだけの飯が普通に食べられるならそりゃ健康体ですわな、りっちん」


「これが我が家の平均的な食事だからね、意外と太らないよ」


「女で60キロとかデブだと思ってたけど、身長に平均体重ならそうでもないんだな」


「お父さんもお母さんもたくさん食べるけど、太ってる感じはなかったしね」


「リツコのスタイルの秘密は食事にあるのかな?」


そんな大盛りの食事にも慣れてしまったのか、完食してくれた様子。

ロザリオやアノットも理津子のドカ盛り飯を普通に食べてくれている。


セルベーラは燃費の事もあって元々たくさん食べるが。


「ごっそさん」


「肉はまだあるから夜も別の料理で肉だからね」


「目移りするのだけはお前の悪い癖だな」


「美味しいから私は構わないよ」


そんな森の国フェアのジビエな食事。

その一方で理津子の家庭の凄さの全貌はまだ見えてこない。


とはいえそんな家で育ったからこその感覚は確実に見えている。


料理が好き、それだけは決してブレないのが理津子でもある。

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