新しくなりました
ロザリオの家政婦になってある程度が経過した。
家の家具も新しくなり、キッチンのリフォームも完了した。
理津子もその間にこっちの世界について何かと勉強していた。
家の中も多くが一新され、本格的にこっちでの生活が始まる事になる。
「さてっと、何かする事あるかな」
「それにしてもあれだけの間に、これだけ揃えるとか」
「お金は好きに使えるって事なら一気にやっちゃおうって事だよ」
それはそうと理津子はロザリオの事も気になっていた。
家からはほとんど出ないで、魔法の研究ばかりしているのは変わらないようだ。
「それにしてもさ、少しは外に出ようよ、日光浴びないと駄目だよ」
「なんでだよ、別に外に出なくても死にはしないでしょ」
「典型的な引きこもりだねぇ」
「なら何か楽しいものとかあるのか?」
屁理屈もこねつつ外には出たがらないロザリオ。
せめて日光ぐらいは浴びさせようという事で少し強引に出る。
「はぁ、なら別に何かしなくてもいいから外に行くよ」
「ちょっ、放して、放せったら!」
半ば強引にロザリオを連れ出す理津子。
とりあえずどこか行く事にするが。
「眩しいな…」
「本当にどれだけ日光を浴びてなかったの」
「うるさいな」
「とりあえず公園でも行こうか」
とりあえずは公園に行ってみる。
この世界は様々な世界との交流がある。
なので多様な種族がその生活に溶け込んでいる。
公園を見渡しても亜人やアンドロイド、妖怪っぽい種族など様々が見られる。
「そういえばさ、この世界っていろんな種族がいるよね」
「そうだよ、いろんな世界との交流があるから、向こうからこっちに来るのも多いし」
「やっぱりなんだ」
「種族には興味はあるけど、話しかけにくいし」
そういうところは引きこもりらしいというのか。
ロザリオも種族自体には興味がある様子。
とはいえ話しかける勇気がないとの事だが。
「うーん、せっかくだし知り合いぐらいは作りたいよね」
「そんなのいらないよ」
「また強がっちゃって」
「強がってなんか…」
するとどこか派手な感じのする巫女さんが声をかけてきた。
歳の差のある理津子とロザリオに興味を示したのか。
「あのー、お二人は何をしているのデスか」
「おや、可愛い巫女さん…獣の耳と尻尾があるから獣人?」
「ノンノン、私は亜人デス」
「な、何か用なの」
「お二人が兄妹にも見えなかったので、少し気になったのデス」
金髪の狐の巫女さんだ。
喋り方がどこか洋風な感じはする。
せっかくなので交流を持てないかと考える。
「巫女さんは何をしてたの」
「ノンノン、私はエミールといいマス、仕事の合間の休憩デスよ」
「仕事?」
「ハイ、神様のお世話デスね」
「神様、巫女さんだもんね」
だがここは異世界、神様というのも理津子の世界とは違う様子。
エミールは本当に神様に仕えていると言うが。
「そうだ、なら今からご主人様のところに来まセンか」
「いいの?神様なんでしょ」
「実はご主人様はお友達が欲しいと言っているのデス、お二人ならいいかなと」
「友達って、そんなの別に…」
「よし、なら会いに行こうか」
理津子は即決だった様子。
ロザリオは少し困り顔をしていた。
エミールはそのご主人様の友達になってくれそうな人も探していたらしい。
ロザリオはすっかり理津子に振り回されてしまう側になっているようで。
「そうだ、エミールは巫女さんなんだよね?」
「一応そうなりマス、この服はただの趣味デスが」
「趣味なのかよ」
「私は亜人デスが、ご主人様は世話をしてくれる人を探していたとかで」
「エミールがそれに立候補したと」
どうやらそのご主人様も外にはあまり出ないらしい。
神様というが、実際はどんな人なのか。
理津子の世界とはその価値観も当然違うわけで。
「そういえばお二人はこの街の人では見た事がないデスね」
「この子は引きこもり、あたしは家政婦として召喚されたから」
「それで見た事がなかったのデスね」
「悪かったな」
「なんにしてもご主人様のお友達になってくれると嬉しいデス、ここデスね」
エミールのご主人様がいるという神社に到着する。
異世界にも神社がある事に理津子は驚いていた。
多様な種族がいる世界なら納得なのか。
エミールのご主人様とはどんな人なのか。