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試し焼き

先日キッチンにピザ窯を増設した。

そこで使えるようになってから試しにピザを焼いてみる事に。

理津子も焼いた経験はあるのでなんとかなると思っている。

とりあえず試し焼きをする事が決まる。


「いい匂いがしてきたね」


「ピザ窯を増設するとか、うちがどんどん改造されていくな」


「リツコが料理好きなんだから、いろいろやりたいんでしょ」


そんな話をしているとピザ窯で焼いたピザが運ばれてくる。


試し焼きという事もあり、シンプルにマルゲリータだ。


「おー、美味そうじゃん」


「うん、試し焼きにしては綺麗に焼けたかな」


「シンプルな感じなんだな」


「まあきちんと焼けるかのテストもあるしね」


「早く食べようよ」


そんなわけでピザを切り分ける。

手慣れた感じに理津子がピザをカットしていく。


モッツァレラとトマトソースのいい匂いが食欲を刺激する。


「んー、こいつは美味いね、流石はりっちん」


「一応焼いた経験ぐらいはあるからね」


「でもシンプルでもこんな美味しくなるものなんだな」


「シンプルな料理って誤魔化しが効かないから、料理人の腕が分かるんだよね」


「確かに変に調味料で味付けしたりしないもんね」


シンプルな料理は誤魔化しが効かない。

それは料理が好きな理津子はよく分かっている事。


だからこそ今回のマルゲリータもそんな料理の一つでもある。


「そういやさ、りっちんピザとピッツァって言ってたけど、どう違うのさ」


「うーん、分かりやすく言うと国の違いなのかな」


「国の違い?発祥の国の違いとかか?」


「うん、ピザはアメリカでピッツァはイタリアなんだってお父さんは言ってたよ」


「つまり国によって同じ料理でも名前が違うのかな」


理津子曰く、ピザは生地が厚めのものでアメリカ発祥。

一方のピッツァはイタリア発祥で薄めの生地を使った料理なのだとか。


ちなみにイタリア人はそこは敏感らしい。


「ふーん、だとしたらこいつはピッツァなんでないの?」


「まあそうなんだけどね、私の国だとそういうのは曖昧だから」


「理津子の国だとピザとかピッツァとかあまり気にしないんだな」


「イタリアンレストランとかだとピッツァだけど、宅配はピザだからね」


「お国柄ってやつなのかな」


理津子もそういうのはあまり気にしないタイプなのだろう。

とはいえ料理が好きな身としてはそういうのは勉強している。


そのため一応意識はしているようだ。


「んでさ、国によって名前が違う料理って発祥のせいなの?」


「発祥というか、その土地とか国による文化や習慣の違いだと思うよ」


「確かにこっちでも国によってそういうのはあるもんな」


「例えばだけど、名前は同じでも海沿いの街と内陸の街だと別物の料理とかあるから」


「そうなんだ、発祥の国は同じでも国や土地によって違うものもあるんだね」


クラムチャウダーなんかはアメリカ発祥ではあるが、地域によって異なったりする。

それもあり同じ料理に見えて似て非なるものはあるのだと理津子は言う。


それが料理の面白さだと理津子は楽しそうに話す。


「だとしたら面白いねぇ、そういやあたしも潜入してた際にそういう注文されたね」


「だから料理っていうのは国であり文化なんだよ」


「国であり文化、その土地の食材とかを使うとかもあるからなのか」


「そう、港町や海沿いの国は魚料理の文化があったりするよね」


「ここも港町だから魚はいろいろ買えるもんね」


魚が買えるのは理津子にとっても嬉しいらしい。

理津子は肉はもちろん好きだが、魚も当然好きなのだ。


だからこそ魚が安く買えるこの港町はありがたいらしい。


「ピザ美味しかったぜぇ、あたしも今度焼いてみようっと」


「それはどうも」


「でもたまにはいいものだな」


「今度ナン焼いてあげるから、それでカレー食べようよ」


「いいね、食べてみたい、ナン」


そんなわけで試し焼きは好評だった。

今度はナンを焼いてみようという事を考える。


ナンで食べるカレーも美味しいのだ。


「それじゃ片付けてくるね」


「りっちん、楽しそうだね」


「あいつすっかりこの世界を楽しんでるな」


「適応力高いよね」


そんなわけでピザの試し焼きは好評に終わった。

次はナンを焼こうと画策する理津子。


店で食べるようなインドカレーを作るつもりらしい。


凝ったりはしないが、美味しく作るのが理津子流である。

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