エリートの証
こっちの世界にも勉強をしつつ慣れてきている理津子。
そんなこっちの世界は街に国から派遣された騎士や兵士が駐在している。
その騎士や兵士は警察のような役目で、治安維持をしているのだとか。
そんな兵士も当然武装をしているわけではあり。
「ねえ、街で見かける兵士とかって国から派遣されたんだよね」
「そうだぞ、あの騎士や兵士は警察と同じだからな」
「下手に騒ぎ起こすと詰め所行きだからねぇ」
そんな理津子も兵士達の武装とかは気になっていた。
近代的な武器があるこの世界においても槍や斧を使うのは珍しくない。
「そういえば兵士の武装って槍とか斧が多いけど、剣とか近代武器じゃないの」
「お前、馬鹿なのか?剣はエリートの証だし近代武器は訓練を積まないと使えないぞ」
「近代武器はそれで分かるけど、剣がエリートの証ってどういう事?」
「んー、分かりやすく言うと剣は扱いが難しい武器なんよね」
「剣の扱いが難しい、それって簡単に斬れないとか?」
アノットが言うには剣は熟練レベルになってやっとまともに扱える武器という。
その理由は武器としての使いにくさにある。
ロザリオも剣を持つ騎士などは優秀な人だと一目で分かるようで。
「剣がエリートの証って結局どういう意味?」
「剣ってまずリーチが短いっしょ?んで素人が適当に振ってもまともに斬れないのよ」
「つまりきちんと狙いを定めて振らないと駄目なんだ」
「国の兵士や騎士は大体は槍や斧の扱いを習う、剣は出世欲のある奴の武器だよ」
「扱えるってだけでステータス、みたいな感じなのかな?」
剣は扱いが難しく、いきなり使える武器ではないのだそう。
そのため国の兵士や騎士はどこの国でもまず槍や斧の扱いを習うのだとか。
剣はそれらの隊長レベルでやっとまともに扱える武器なのだそうな。
「剣を扱える人ってのは槍や斧を持っても大体強いよね、それが剣だもん」
「そうなんだ、剣ってそんな難しい武器だったんだね」
「少なくとも剣を軽く扱える人は相当な鍛錬を積んだ上官クラスの人間だぞ」
「剣ってもっと初心者向きの武器のイメージだったけど、現実は違うのか」
「剣が初心者向きって、そんな世界があったら軍隊必要ないレベルだよね」
剣はリーチの短さに加えきちんと振らなければまともに斬れない。
しかも斬れないどころか簡単に刃こぼれするし折れる。
手入れが大変な事に加え、高いスキルが要求される武器が剣なのだ。
「まあ剣を扱えるってのはステータスよ、軍隊なんかじゃ憧れの的になるよね」
「へぇ、それだけ凄いんだね」
「なんにせよ剣が扱える人間は槍でも斧でも強い、それぐらいのスキルが求められるぞ」
「そういえば…確かになんとなく納得した気がする」
「ちなみに剣は勲章的な意味もあるぜぇ、国の偉い人からもらった剣は勲章なのよ」
理津子が思ったのは剣は想像よりも遥かに高度な武器という事。
つまり兵士や騎士の武装で位が大体分かるという事でもある。
剣を持つ兵士や騎士はそれだけで優等生なのだという事も。
「あと剣はメイン武器よりサブの武器としての方が役割は大きいよね」
「確かに槍とか斧より小さいし、鞘もあるもんね」
「そうなんだよな、だからサブの武器として訓練する国は結構ある」
「狭いところでも戦えるのが剣の強み、って事でいいのかな」
「大体そんなところね、だから剣ってのはメインウェポンにする人は珍しいよね」
広いところでは槍や斧の方が強い。
その一方で剣は携帯性に優れ、狭い場所でも強いのがメリット。
そのためサブの武器として剣を持つ国の軍隊は多いそうだ。
「剣についての認識は改めないと駄目かなぁ」
「少なくとも初心者でいきなり剣を選ぶとか自殺行為だしな」
「それだけ高度なスキルがいる、兵士や騎士の見分けにも使えるか」
「そうね、剣を持ってるのは優等生かエリートか上官クラスの人だぜ」
「分かりやすいね」
剣という武器の認識は理津子の世界とはだいぶ違うという事。
実際の剣はそれだけ難しいという事。
エリートの証というのも納得である。
「おやつに何か作るから、少し待っててね」
「腹が膨れないもので頼む」
「甘いものね」
理津子の世界の創作では剣はポピュラーな武器でもある。
だが現実は高度なスキルを要求される。
つまりそれが使えれば何を使っても強いという事。
武器のメリットデメリットである。




