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宅配サービス

こっちの世界の料理や食材についても勉強を続ける理津子。

そんな中何やら頼んだものが届いたようだ。

頼んだものは宅配サービスの食事。

レストランや食堂などがやっているというサービスだ。


「お昼にするよ」


「今日は宅配なのか、お前たまに手を抜くよな」


「まーりっちんからしたらこれも勉強っしょ、たまにはこういうのもいいさ」


今回頼んだのはファミレスの宅配の様子。


メニューはガーリックチキンのランチだ。


「あ、ご飯なんだ、私も食べるよ」


「うん、セルベーラの分もあるから」


「宅配って何気に美味いんよね、一人暮らしには頼もしいもんさね」


「アノットが言うとまんざらでもないよね」


「こいつは自堕落な生活しかしないからな」


とりあえず宅配のランチをいただく事に。

出来たての温かいものが届けられるので、当然美味しいわけで。


これも様々な世界との技術協力があるからこそ為せる技である。


「ん、美味しいねこれ、やっぱ宅配は安定してるわぁ」


「確かに美味しいね、想像よりずっと美味しいや」


「宅配をやってるようなところはチェーンだからな、クオリティは保証してるよ」


「チェーン店のよさっていうのは味が常に一定なところだからね」


「でもリツコも勉強って言いつつ宅配とかお惣菜に走るところがあるよね」


確かに言い分としては何もおかしくはない。

理津子自身料理は得意だし、作るのも好きだ。


だがたまに手を抜くのは毎日作るのは疲れるという事なのだろう。


「りっちんさ、料理好きなのは伝わるけど宅配とかお惣菜に走るのってなんで?」


「幸いこの家はお金もあるからね、たまの骨休めも兼ねてるだけだよ」


「そりゃ毎日料理作らせてたら疲れるもんな」


「そういう事、お金があるからこそ余裕を持てるんだよ」


「疲れたら駄目だもんね」


理津子曰く料理というのは面倒と感じるようになったら終わりなのだという。

料理を好きな人が料理嫌いになる理由の多くは料理をする事を面倒と感じた時だとか。


つまり嫌にならないように続けられてこそ料理は楽しいのだそうだ。


「にしても料理はやっぱ肉よねぇ、野菜なんか食ってられんわ」


「アノットはお菓子があれば死なない生き物だと思ってた」


「アノットは料理自体は上手いしな、ただ野菜はそんな出さないのが似てる」


「でもお父さんも言ってたけど、野菜は火を通した方が圧倒的に美味しくなるんだよね」


「リツコのお父さんって元料理人なんだっけ」


理津子の父親は自称ホテルの元シェフだが、それだからこそ感じたものもあるのだろう。

ちなみに理津子の父親も毎日料理を作る事はなく、たまに宅配を頼んでいた。


チェーン店の努力はどれだけ凄いものかというのもしっかりと分かっていた様子。


「でもさ、プロの料理人だからこそチェーン店とか大衆食堂の凄さって分かるんでない?」


「お父さんもそれは言ってた、どこで入っても一定の味が保証されるのは凄いんだって」


「それは店側がどれだけ研究を重ねて客を満足させようかと試行錯誤した結果だな」


「そうそう、だからチェーン店や大衆食堂の味は家庭では真似出来ないって」


「ホテルの元シェフがそこまで認めるのは本物って事だよね」


退職後に大衆食堂を始めた理津子の父親。

それは味に自信があるのは当然として、それを食べた経験もあるのだろう。


理津子もそんな影響は受けていて、店の味がどれだけの努力があるか分かっているのだ。


「まあそもそも店のチャーハンは家庭じゃ火力が違うから出来ないって言うしね」


「それもあるんだけど、どこのお店でも常に一定が保証されるって凄い事なんだよね」


「チェーン店は外れが少ないから、冒険したくない人には一番いいんだよな」


「そうなんだよね、旅行とかで行った先で個人経営のお店は冒険って言ってたよ」


「当たるかもしれないし、盛大に外れるかも、だね」


個人経営のお店はギャンブル、それは料理人だからこその答えとも言える。

だが当たった時の喜びが大きいのは個人経営のお店だ。


チェーン店は冒険をしたくない人にはそれがベストではある。


「さて、ごちそうさま、容器は洗ってゴミに出すからまとめといてね」


「はいよ」


「たまにはこういうのもいいな」


「うん、美味しかった」


チェーン店の凄さについては料理人だからこそ分かるものがある。

料理が好きな理津子はそれを真似する事の難しさも知っている。


常に一定の味が保証されるのは凄い事なのだとも。


料理の奥深さはまさにそういうところである。

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