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取るだけ取ったもの

こっちの世界は平和そのもので、異世界とはいえ楽に暮らしている理津子。

そんな中何やら、鋼材などを買ってきた。

アノットやロザリオも何をするのかと思って見ている。

そしてまたなぜと思うものを知る。


「よっと、これでいいかな」


「お前、鋼材なんて買ってきて何をするつもりだ」


「少し大人の工作だよ、少年」


大人の工作と言われてもパッと来ない。


とりあえずマスクを渡されるロザリオ。


「これ溶接のマスクだよな?まさかここで溶接するのか」


「ガレージがあったのに気づいたからね、片付けたらスペースぐらいはあるし」


「それで何を作る気だよ」


「焼き鳥焼き機」


「お前、それぐらい他にも何かあるだろ…」


まさかの溶接で焼き鳥焼きを焼く機械を作るという。

だがそういうものはこちらでも資格がないと駄目なもの。


ちなみに理津子は溶接工を始め、料理に関係する機材を作れる資格持ちだ。


「これでも溶接工の資格持ってるからね」


「お前、いろいろおかしいだろ、なんでそんな資格持ってるんだよ」


「お父さんが自分でそういうの作るから資格持ってて、あたしも取ったの」


「…それ役に立ったのか?」


「何度か簡単なものは作った事はあるかな、本格的なのははじめて」


父親が資格を持っていたので自分も取ったという理津子。

異世界モノにありがちな現代知識の無双とは行かないが、活用はしている様子。


寧ろ平和的な現代知識の使い方ではある。


「お父さんって自分で何でも作っちゃう人だったからさ、凄いよ」


「お前の家族はどうなってるんだ」


「うーん、お母さんは結婚してから陶芸をはじめてかなり上手くなったって言ってたかな」


「変な方向にスペックが高いのはなんなんだ」


「それであたしも溶接工とか、他にも資格はいくつか持ってるよ」


家族の影響がここにも見られる理津子。

とはいえ反抗期らしい反抗期もなかったのかと思うロザリオ。


ただ平和だなと感じさせる話でもある。


「焼き鳥はやっぱりきちんとしたもので焼くのが一番美味しいからね」


「食に貪欲すぎるだろ、お前」


「まあ溶接はフル防備しないと危険だから、こうして装備ごと買ってきたんだけどね」


「僕は中で魔法の研究してるから、出来たら教えてくれ」


「もったいないなぁ」


そう言ってロザリオは屋敷の中へと戻ってしまう。

それと入れ違いにアノットがやってくる。


その用意にロザリオと同じような顔をする。


「りっちん、ガレージで何するつもり?」


「溶接で焼き鳥焼き機を作るんだけど」


「…は?溶接?」


「これでも溶接工の資格持ちだからね」


「りっちんさ、お主はなんでそんなよく分からない方向にスペックが高いのさ」


反応に関しては分からなくはない。

親の影響でそういった資格を取ったというのも反抗期なんてなかったと言わんばかり。


こいつは本気だと思わせてくるのも理津子らしさか。


「お父さんが取っておくと便利だって言ってた資格は大体取ったかな」


「溶接工は取っても便利じゃなくね?」


「そっちのやつは調理の道具とかを自分で作るために取ったんだけど」


「調理の道具とかを自分で作り出しやがったこいつ」


「お店で買えないようなやつは自分で作るしかないんだよね」


一応そういったものはオーダーメイドで作ってはもらえる。

とはいえ理津子曰く、自作出来た方が好みのものが作れると父親に言われたらしい。


ちなみに日曜大工なんかも出来たりする。


「りっちん、あたしよりスペック高くね?」


「そうでもないと思うよ?あたしはアノットみたいな綺麗な盛り付けとか苦手だし」


「あー、そういや豪快に盛り付けてるもんね」


「テレビとかで映えるような盛り付けっていうの?ああいうのは苦手なの」


「意外とスペックに反して細かい事が苦手っていう事か、豪快だもんねぇ」


理津子は綺麗な盛り付けとかは苦手なのだという。

つまり学生やサラリーマンが食べるような料理が得意という事。


料理自体は得意で一通り作れるが、高級レストランのようなものは苦手なのだ。


「それじゃ完成したら美味しい焼き鳥焼いてあげるね」


「期待してるぜぇ」


そんなわけで溶接を始める。

しばらくして立派な焼き鳥焼き機が完成したらしい。


それで焼いた焼き鳥はやはり違ったとの事。


理津子は綺麗な盛り付けが苦手という事も今さらながら気づいたようだ。

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