表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
342/343

目利きと値切り

すっかり秋本番になり、冬も少しずつ近づきつつある港町。

冬になると海風も冷たくなり寒さが身に染みるようになる。

そんな中アノットと買い物に行った時に思わぬ特技を見た様子の理津子。

その思わぬ特技というのは、交渉術だったようで。


「アノットって値切りなんて出来たんだね」


「ふふん、これでも目利きにゃあ自信があんのよ」


「目利きかぁ、あたしも出来なくはないけど、そこまでしないかも」


アノットの目利きによる値下げ交渉。


それは露店などで見られるようではある。


「でも値切りってお店からしたら嫌がられたりしないの?」


「相場よりぼってるなら適正価格で買おうってだけよ」


「そういう事なの?まあ確かに物価は変動するものではあるけれど」


「そもそも傷物の野菜とかは適正価格でも高いぐらいだしね」


「確かに、あたしの世界でも傷物の野菜とかは出荷どころか廃棄してたね」


アノット曰く露店なんかは傷物の野菜なども混ざっている事があるという。

そうしたものは本来は市場に出回らずに廃棄されてしまう。


つまり適正価格でも本来は高いぐらいらしい。


「そういうのを見つけるのも目が肥えてるっていうか、大したものだよね」


「ネズミにかじられた野菜とかは本来売っちゃいかんのよ、どんな病気がついてるかだし」


「確かに分かる、そういうのは肥料にしちゃった方がいいんだよね」


「まあ露店のものなんてのはそれこそ本来の相場が分からんものばかりだしね」


「露店で売ってる野菜や肉なんかは安心とは言えないって事だもんね」


露店で売られている食品にはリスクが付いてくる。

なのでそういう所では本来は買わないのが基本だ。


とはいえ珍しい野菜などはそうした店で買うしかなかったりもする。


「値切りのコツとかあったりするのかな」


「コツねぇ、しいて言うなら傷はないかとか、熟しきってないかとかそういうとこかしら」


「なるほど、長く売れてないと熟しきったりもするもんね」


「あと雑貨とかなら傷はないかとか、本物の金や銀かどうかとかになるわね」


「そういうところを見抜けないとぼったくられるって事か」


アノットも細かいところまで見る目は持っている。

とはいえ露店は許可が必要なので、許可を取っているなら明らかな粗悪品はないだろうとのこと。


なので許可を取ってない露店ならそもそも買わない方がいいとも。


「値切り以前に許可を取ってるかどうかっていう事からになってくるのか」


「そうね、無許可でやってる露店なんかは大体アウトなとこばっかよ」


「なるほど、でも値切って買ったこういう雑貨もデザインだけはいいよね」


「珍しい異国の雑貨とかがあったりするしね、掘り出し物はあるのよ」


「掘り出し物、確かに価値が分からなければ貴重なものでも二束三文になるもんね」


アノット曰く露店には稀に本当に貴重なものが売られていたりする事があるという。

どんなに価値があるものでも、価値を知らなければ二束三文で売ったりする。


人とはそういうものであり、だからこそ稀に極めて貴重なものがあったりするという。


「でも異国の雑貨とかは確かに面白いかも」


「露店をやってるのって基本的に実店舗を持たない行商人とかが多いしね」


「そういう人なら許可を取らないとは考えにくいって事でもあるよね」


「そうね、異国のものを仕入れる行商人なんかは見てもいいかも」


「行商人かぁ、そういう人も商売として露店を出す事はあるわけだもんね」


アノットが言うには、行商人なんかは実店舗を持たずに露店を出す事も珍しくない。

なので許可を取っていないような行商人は基本的にぼってくると考えてもいい。


売り逃げするような悪徳行商人も中にはいるという事らしい。


「行商人にも様々なんだね、悪い人も当然いるわけで」


「そういう事よ、まああたしも流石にチェーン店で値切ったりはしないから安心なさい」


「そこはきちんと払うっていう事なんだね」


「流石にそこまで傍若無人に振る舞ったりはしないっての」


「ならいいんだけどね、アノットも常識は弁えてるし」


アノット曰く値切りが通じるのはあくまでも行商人などが相手の場合に限るという。

支払いが機械化されているチェーン店などはそもそも値切り自体出来ない。


だからこそ行商人などは足元を見たりして値切り交渉をする事も出来るという。


「この雑貨って異国のものなのかな」


「だと思うわよ、たぶん空界の羽根飾りね」


「空界の羽根飾り、有翼人とかが暮らしてる世界だっけ」


「そう、空界の羽根飾りは多様な羽根のものがあって人気なのよ」


「確かにこれも綺麗だもんね、納得かも」


アノットが言うには空界の羽根飾りらしい。

空界の羽根飾りは人気が高いともいう事の様子。


やはり空を飛ぶ種族が暮らすだけあるからなのか。


「さて、帰ろうか」


「帰ったら食事にしなきゃね、今夜は何にしようかしら」


「メニューも考えないとだしね」


そんなアノットの交渉術。

露店を出す行商人などが相手の場合には積極的に行くという。


足元を見るというのはアノットらしいとも言えるのか。


目利きも値切りも出来るアノットはやはり優秀なようである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ