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多国籍な街

秋に突入したものの暑さはもう少し続きそうな港町。

そもそも季節の上では秋になっただけですぐに気温が下がるわけではない。

なので本格的に秋の涼しさが来るのはもう少し先になる。

そんな港町は貿易港という事もあり、そこにいる人は多様なものだ。


「やっと終わった、そんな定期的に血を取られるとは」


「異世界人は定期的に検査しないといけないのよ、病気とか持ち込まれると困るし」


「まあこの世界自体異世界交流で成り立ってるもんねぇ」


この世界は異世界人がまた別の異世界を行き来する世界だ。


なので異世界人は定期的な検査が義務付けられているという。


「でもレミリアも製薬会社の社長なのに、病院とも連携してるとは」


「血液の専門家としてね、だからこの手の検査は専門なのよ」


「それにしてもここは港町だから、多様な人を見るよね」


「貿易港なのもあるけど、異世界とのゲートが設置されたターミナルでもあるもの」


「それでいろんな世界の人を見るのか」


この港町は貿易港という事に加え異世界と繋がるゲートがあるターミナルでもある。

ちなみにターミナルに指定されている街は主に各国の大都市になる。


なおターミナルは時期によっては長期メンテナンスで一時閉鎖になったりするとか。


「多様な人が往来してると、それだけ未知の病気が入り込むリスクもあるんだなぁ」


「だから検査を拒否する人は入国出来ないし、入国してから拒否したら強制送還なのよ」


「その辺は徹底してるなぁ、移民の問題とも繋がってそうというか」


「実際移民に関するトラブルはどこの国にもあるのよ、だから特例は一切認めないの」


「それぐらい徹底しないと何か起きるって事なのか」


レミリア曰く移民は帰化するまでは人権はほぼないようなものらしい。

二等民としての扱いや、違反に対する厳罰など移民に関するルールは様々だ。


帰化してから三年国に住む事で始めて一等国民になれるという。


「ある意味表向きは明るいけど、独裁国家なのかな?帝国って少年も言ってたし」


「そうね、移民に関するルールは他国もこの国と大きな差はないわよ?」


「異世界から人をいれるっていうのはそういう事をしなきゃいけなくもあるって事かぁ」


「それは当然この世界に限らず、向こうの異世界も同じようなものよね」


「そういえばレミリアは魔界出身の吸血鬼だもんね」


そもそものレミリアが魔界出身の吸血鬼である。

それが人界で製薬会社の社長をしているのは、帰化して一等国民として認められているから。


起業などは帰化した上で一等国民と認められてはじめて出来る話なのだ。


「つまりレミリアはこの人界に帰化して何年なの?」


「大体30年ぐらいかしらね、魔族の年齢は実年齢の半分が人間の年齢と思えばいいわ」


「魔族は長命な種族だったんだっけ、そういえば」


「それでもエルフや神族よりは短命よ、長生きしても200歳ぐらいだから」


「そういう話は移民に対する徹底っぷりが感じられるなぁ」


異世界同士の交流が盛んな世界だからこそ異世界人への扱いは厳しくせざるを得ない。

それは人界に限らず他の異世界も共通であり、また他国においても共通の話だ。


要するに交流が盛んだからこそほぼ全ての国においてやり方は独裁のようになるという。


「政治の方針が独裁国家に近くなるのは異世界との交流があるからこそか」


「そういう事ね、まあ異世界との交流があるってそういう事よ」


「未知の病気や、その世界の人達で固まったりしちゃう事があるからだね」


「ええ、だから帰化して三年その国に住まない限り異世界人には人権はほぼないわよ」


「あたしもその辺は守ってるけど、そもそもこの世界とは違う世界だしな」


理津子はこの世界と交流のある異世界とはまた別の異世界から来ている。

なので帰化するというのもまた難しい話になってくる。


なので帰化こそしないがロザリオの家、貴族の家政婦として就労ビザで生活している。


「あたしは就労ビザではあるけど、少し特別なビザだとは聞いてるよね」


「ええ、帰化しない代わりにきちんと更新すれば就労ビザでも生活には困らないわよ」


「あくまでも起業とかの自分で何かを始めるのに必要なのが帰化してから三年の居住か」


「そういう事よ、起業もそうだけど組織の重要な役職に就く事が出来ないだけではあるし」


「つまり帰化しない場合はあくまでも出稼ぎ労働扱いで、生活自体は普通に出来るのか」


就労ビザではあくまでも出稼ぎ労働という扱いである。

ただし貴族の家に住み込みになったりする場合は少し特別な就労ビザが発行される。


貴族の家で働くというのはそれだけ特別扱いを受けられるというシステムのようだ。


「さて、それじゃ帰るね」


「次の検査の時は連絡するから、きちんと確認するのよ」


「うん、それじゃ」


移民の話はそれこそ独裁国家に近い政策になるのは世界も国も関係ない。

なお帰化して三年とは、その国に住んでいる事が確認されなければカウントされない。


国で暮らしている事が確認された日数が三年分の日数になってはじめて一等国民になる。


移民の話は独裁国家のような政策を取らねば国は乱れるのだろう。

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