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お酒に慣れない

夏の暑さも少し落ち着いてきた夏の後半。

日本では立秋を過ぎたようで暦の上では秋である。

とはいえ暑さはもう少し続くので油断は出来ない。

夜になれば多少は涼しくなるのは助かるところだ。


「ふぅ、落ち着くわねぇ」


「はい、おつまみ、それにしてもワインっていいね」


「りっちんもすっかりワインの美味しさに目覚めてるみたいね」


ロザリオとセルベーラが寝静まった夜の静寂。


理津子はアノットとワインを嗜んでいる様子。


「りっちんってお酒は苦手な方だったとかあるんかね」


「うーん、ワインは美味しいって感じるから、種類によると思うよ」


「なるほど、お酒の種類によるっていうならなんとなく納得ね」


「うん、ビールは少なくとも美味しいって感じなかったしなぁ」


「でもワインは美味しいって感じるんかいな」


理津子曰くビールを美味しいと感じた事はないという。

とはいえここで飲むワインはどれも美味しいと感じるらしく、お酒の種類によるという事か。


なので美味しい酒と不味い酒の感じ方は人によるという事なのだろう。


「りっちんはワインとかウイスキーみたいなのは美味しいって感じるのよね?」


「うん、そういうのは美味しいと思うよ」


「でもビールは美味しいって感じない、味覚の問題かね」


「うーん、でもエールは結構美味しいって感じたかな、ラガーは美味しくなかったね」


「だとしたら甘口の酒は美味しいって感じるんかしら、辛口の酒なんかはどうなんかしら」


理津子はエールはそれなりに美味しいと感じた様子。

だがラガーを美味しいと感じた事はないという。


恐らくゆっくり飲むタイプの酒は美味しいと感じるのだろう。


「甘口の酒は美味しいと思ったりするんかしら」


「そこはなんともだけど、甘口のお酒は好きだよ、辛口も飲めなくはないかも」


「なるほど、だとしたら苦い感じの酒が苦手って事なのかしら」


「かもしれない、ラガーは苦いだけで美味しいって感じなかったし」


「やっぱ苦い酒が苦手っぽいわね」


理津子は苦い酒が苦手な傾向にあるという事か。

ラガーは苦手だがエールしそうでもない。


日本のビールは基本ラガーなので、それが苦手だったという事なのか。


「でもりっちんはお酒にはまだ慣れてないっぽいわね」


「それは仕方ないよ、こっちに来るまでお酒に苦手意識があったし」


「そればかりは仕方ないんかしらね」


「でも少しは慣れてきたよ、今はワインも美味しいって感じるしね」


「そういうところは経験値を積んだっていう事なんかしらね」


今はワインも美味しいと感じる理津子。

ワインやウイスキーは美味しいと感じるがビールは美味しいと感じない。


そのビールもエールなら飲めるが、ラガーは今でも苦手なままのようである。


「でもお酒に対して慣れってあるもんよ、イメージと味が違うってあるしね」


「確かにね、あたしも最初はぶどうジュースみたいな味をイメージしてたし」


「お酒ってそれこそ飲まない人は全く飲まないもんだしね」


「そうなんだよね、家だとお父さんもお母さんもお酒は宴席でぐらいしか飲まなかったし」


「家族揃ってお酒を飲まない人なんね、りっちんの家って」


理津子の家は父親も母親も宴席ぐらいでしか酒は飲まないという。

酒自体は飲めるものの、普段からよく飲んだりはしない。


付き合いなどで飲む事もあるものの、家庭での飲酒はほぼないという。


「でもお酒自体は好きになったりしたのかしら」


「元々嫌いではなかったけど、美味しいお酒に出会えなかっただけかもね」


「美味しいお酒に出会えば、酒の美味しさにも目覚めるって事なのかしらね」


「かもしれない、飲み会って言うと基本ラガービールをとりあえず生だったし」


「トリアエズナマってなんなのよ」


とりあえず生、日本における酒を飲む時のお約束みたいなもの。

ただ理津子は苦手なラガービールでもさらに生ビールを苦手にしていた様子。


家庭でも父親と母親がビールを飲む時は瓶ビールだったのだという。


「ビール、それもラガービールが苦手っぽいわね」


「しかも生ビールがなおさら苦手なんだよね、家でも飲む時は瓶ビールだったし」


「瓶ビール、そういう意味では好みがさらに細分化されてるのか」


「ラガービールの中でも生ビールが特に苦手なんだよ、あたし」


「そういうのは育った環境も大きいんかしら」


理津子の家は大衆食堂である。

昼間は学生、夜は仕事帰りの社会人が主な客だ。


そこでよく出ていたのは瓶ビールだったからというのはあるのかもしれない。


「とりあえずお酒のよさが分かったようなら、少しは成長かしらね」


「かもしれないね」


「仕事終わりの酒は美味しいわね、うふふ」


そうしてお酒の美味しさを理解し始めている理津子。

生ビールが特に苦手というのは本人の味覚なのか。


瓶ビールならラガーでも多少は飲めるらしい。


理津子はラガービールを特に苦手にしているようだ。

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