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体温より暑い夏

港町もすっかり夏になり外は暑い日が始まった。

とはいえ港町という立地の関係で海風が吹くので思っているよりは涼しい。

そんな海風の存在は暑い夏に吹く清涼感なのだろう。

それでも暑いのに変わりはないのだが。


「しかしこの暑い中で帝に会うなんてね」


「エミールが外の空気を吸ってこいって言うんですよ、このクソ暑い中で」


「だから外の空気を吸ったらショッピングモールに涼みに来たと」


どうやら帝は外の空気を吸ってこいとエミールに言われた様子。


だが暑いのは嫌なので、空気を吸って日差しを浴びたらショッピングモールに来たらしい。


「でも外の空気を吸うのはリフレッシュにはなるよね」


「それはそうなんですけどね、夏なんてクソ暑い日に外に出るのは正気の沙汰じゃないですよ」


「でもこの世界は全然涼しいんだけどねぇ、あたしの世界はクソ暑かったし」


「リツコの世界はそんなに暑いんですか?」


「体温より気温の方が高い程度には暑いみたいだよ」


今の日本は体温よりも気温の方が高くなる程度には暑い。

尤も一部の地域だけが暑いという事ではあるようだが。


それでも日本全域で真夏は35℃は余裕で行く程度には暑いのだ。


「今の日本の真夏は体温よりも気温の方が高くなる日も普通にあるって聞くし」


「それはもはや夏ではなく灼熱地獄か何かではないですか?」


「実際あまりに暑すぎて農作物に被害が出たり、熱中症で病院送りになる人も多いらしいし」


「それ本当に夏なんですか?この世界の夏はこれでも暑いって感じるのに」


「まあ場所によっては40℃記録したりがあるらしいし、日本の真夏は今や地獄だよ」


場所によっては40℃に行くところもあるという日本の夏。

農作物に被害が出たり、熱中症でやられる人が続出する季節。


体温よりも暑い夏、夏歌や小説のタイトルになりそうな言葉である。


「でもショッピングモールはいいね、涼しいしお店もたくさんあるし」


「本当ですよ、帰り道程度なら我慢は出来ますから、涼しさこそが正義です」


「でもこの街は海風があるから、日本に比べたら全然涼しいんだよね、風は正義だよ」


「風が吹いているというのはそれだけ涼しいという事ですか」


「実際日本の夏は気温に加えて湿度がクソ高いから、不快な暑さが襲いかかってくるんだよね」


日本の夏の何がきついか。

それは気温以上に高い湿度にある。


本当に暑い夏ではあるが、ただ気温が高いだけなら全然マシな話だという事だ。


「ここは港町なのに湿度は日本より低いし、風はあるしで全然快適なんだよねぇ」


「日本の夏がどれだけ暑いか伝わってきますね」


「気温が高いだけならマシなぐらいに湿度が高いんだよ、凄い時は90%超えるし」


「湿度90%超えはもはや水中なのでは?」


「実際それぐらい湿度が高いんだよ、おかげで服が張り付いたりするしね」


湿度の高い夏というのは服がベッタリと張り付いたりして不快になる。

場合によっては湿度が90%を超えたりするのは不快感がそれだけ強いという事だ。


この世界の夏はそんな日本の夏からしたら全然快適なのだという。


「日本の夏を知ってるとこの世界の夏は全然快適なんだよね、涼しいって最高だよ」


「日本の夏がどれだけ過酷なのかが凄く伝わってきますね、恐ろしい話です」


「この世界の夏は全然快適で、暮らしやすくて凄い楽なんだよねぇ」


「リツコの世界の夏って人が生きられる環境には聞こえないんですが」


「あまりの暑さに熱中症で倒れる人が二桁出る時点で察してくれっていう話だよ」


そんな過酷な暑さから今や日本では男でも日傘を差す時代になった。

日影があるというのはそれだけ気温を下げてくれるという事だ。


やはり夏の暑さがどれだけ過酷になったという事ではあるのか。


「でも帝は思ってるより暑がりでもないのかな?」


「これでも暑いんですよ、家だとエアコンガンガンなので」


「とはいえこの世界は日本と比べたら全然快適なのは事実だし、快適なのは嘘じゃないよ」


「日本の夏ってどんな暑さなんですかね、話を聞く限り完全に地獄なのでは」


「まあもはや地獄に近い暑さだとは思う、体温よりも暑い夏ってどんだけなんだよっていう」


帝も驚く日本の夏はそれだけ今は過酷になっているという。

とはいえ理津子がこっちの世界に来た当初ですらそんな感じの暑さだった。


今や梅雨なんてあったのかと思う程度には梅雨も感じられなくなっているとか。


「お父さんとかお母さんも子供の時の夏は今より全然涼しかったって言ってるしね」


「年齢的にもその昔の気温の話は嘘ではないんでしょうね」


「うん、日本の夏は今や猛暑を通り越して酷暑だよ」


「酷暑、そんな言葉はこの世界では聞かない言葉ですね」


「そう言っていいぐらいに暑いんだよ、日本の夏は」


猛暑を通り越して酷暑、日本の夏を知っている理津子にとってこの港町は快適そのもの。

気温的にもまさに日本の30年前の夏といった感じではある。


アイスもあっという間に溶けたりしない程度の気温なのは嬉しい限りだ。


「さて、あたしはそろそろ帰るよ」


「私も行きます、外の空気は吸っておかないとですし」


「それじゃ行こうか、日光を浴びるのも大切だしね」


そんな異世界の夏は日本の30年前の夏に近い気候。

30℃辺りの気温の日が多く、日本で言う猛暑日はまずない。


体温よりも暑い夏、その言葉は夏歌や小説のタイトルになりそうだなと思った。


異世界の夏はそれだけ快適なのだから。

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