仕込んでたものが出来た
季節はすっかり夏になり港町にも夏の風が吹き始めた。
こっちの世界にも雨季はあるが、6月頃ではないという事らしい。
そんな夏の風が吹き始めた事もあり、気温も上がり始めた。
とはいえ海風がある事から、思っているよりは暑くないのだ。
「そろそろ出てくる季節かね」
「春頃に仕込んだ梅ジュースか、夏は梅はいいって聞くな」
「梅ジュース、美味しいよね」
そんな以前仕込んだ梅ジュースが運ばれてくる。
ついでにお菓子もいくつか作ったようで。
「お、やっぱり出来てたんね、梅ジュース」
「うん、ついでに梅大福なんかも作ってみたよ」
「大福ってあんこを包んだ餅の事だよな」
「そうそう、梅大福は美味しいからね」
「とりあえず食べようよ、いただきます」
梅ジュースのついでに作ったのは梅大福の様子。
梅の実を一つ丸ごと使った大福だ。
少し酸っぱいがその酸味がまた美味しいのだ。
「うん、これは美味しいわね、梅大福って美味しいわ」
「梅大福は梅の実を一つ丸ごと使うのがコツなんだって、お母さんが言ってたよ」
「お前の母親って和菓子作りが得意なんだったか」
「うん、和菓子教室なんかもやってるって言ってた」
「それだけでも大したものだよね、それにあんこは美味しいし」
あんこは意外と好評の様子ではある。
ただ豆を甘く煮るというのはこの国にはない発想らしいとの事。
東の国にはそういう食べ物もあるらしいという事ではあるが。
「でも梅の実残してたの?」
「ううん、この梅の実は新しく買ってきたやつだよ」
「旬はあるけど、季節関係なく買えるものではあるしな」
「それで作った梅大福だね、甘くて美味しいでしょ」
「梅大福といい梅ジュースといい梅って美味しいんだね」
梅を使った和菓子は理津子にとってもお気に入りのものらしい。
とはいえ西洋の国にも梅、プラムを使った食べ物はある。
日本の梅の食べ物の他に洋風なプラムのお菓子なんかも好きなのだとか。
「梅ジュースは美味しいくていいわ、まあ希釈しないと甘すぎるけど」
「甘党のアノットでも希釈しなかったら甘すぎるって感じるのか」
「そもそも氷砂糖をどれだけ使ってるんだこれ」
「でも夏の暑い日は梅っていいんだよね、クエン酸は暑い日にはいいんだよ」
「夏は梅干しをよく食べてるよね、リツコって」
理津子も夏は梅干しをよく食べているという。
梅干しは暑い日にはそのクエン酸が体によく効くのだという。
実際日本では暑い日にはレモン系の飲み物や梅系の飲み物がよく売れるのだ。
「んー、美味しいわぁ、梅っていいわね」
「梅に関してはお菓子にするとその甘さと酸っぱさがいいバランスになるんだよね」
「確かに少し酸っぱいぐらいの方が美味しいよな、梅って」
「そうなんだよね、だから梅のお菓子って少し酸っぱいのがお約束なんだよ」
「でもお菓子は甘いだけがお菓子じゃないんだよね」
実際日本だと梅干し味のポテトチップスが売っていたりする。
それも夏に期間限定として定番にになっている味でもある。
夏には梅干し味のポテチは今では定番ではある。
「そういや梅干しも漬けてたわよね?」
「うん、夏に備えてね、梅干しはやっぱりシソを使って酸っぱいやつが美味しいんだよ」
「酸っぱさが強い方が好きなんだな、梅干しに関しては」
「うん、あと市販の梅干しではあるけど、それで作った梅ポテチもあるよ」
「梅ポテチなんかも作ったんだ、梅って本当にいろいろ使えるね」
市販の梅干しではあるが、それを使った梅干しポテチ。
その酸っぱさが塩気とまたよく合うのだと理津子は言う。
ポテチの塩気と梅干しの組み合わせは実はいいものなのだ。
「梅ポテチも美味しいわね、梅ジュースが甘いからなおさらパクパクですわ」
「凍らせて粉末にした梅干しの酸っぱさとよく合うんだよね」
「でも梅ジュースはいいな、甘いんだけど酸っぱさもしっかりあるのがいい」
「原液はまだ結構残ってるけど、飲みすぎないでね」
「うん、でも梅ジュースはこの時期の定番だよね」
梅ジュースは夏の定番の飲み物。
梅に限らずレモンなども夏には定番の味の一つになる。
クエン酸は夏の暑い日には欠かせないものの一つなのだから。
「でも甘いものと塩気の組み合わせって意外に感じるけど、美味しいのよね」
「そうなんだよね、大福にも塩大福なんてものまであるぐらいだし」
「塩大福って、あんこと塩っていう事でいいのか?」
「うん、そうだよ、あとチョコレートポテチとか柿の種チョコとかあるし」
「チョコレートポテチ、柿の種チョコ、美味しいのかな」
日本にはチョコレートポテチや柿の種チョコなんかがある国だ。
塩気と甘さの組み合わせは今に始まった事でもない。
甘さと塩気の組み合わせは実はいい組み合わせなのだろう。
「うん、美味しかったぜぇ」
「それはよかった、また梅の実が手に入ったら作ろうかな」
「でも甘さと塩気って実はいい組み合わせなのか?」
「意外と合ってたもんね」
そんな梅ジュースは美味しく出来上がっていた。
また梅のお菓子というのも美味しいものである。
塩気と甘さの組み合わせは実は美味しいという事である。
甘い味に塩気の味を加えたお菓子は思っているより美味しいのだ。




