大食いの理由
こっちの世界の事も学びつつ一応家政婦としての仕事はしている理津子。
とはいえ主導権は理津子に移りつつある気がしなくもない。
そんな中ロザリオは理津子の食欲には相変わらずの顔をしていた。
ドカ盛り飯がお約束になっているわけで。
「なあ、もうこの山盛りの食事やめないか」
「なんで?今が成長期なんだから食べないと駄目だよ」
「とはいえさ、りっちんの基準で作るとこのドカ盛りなのは流石にどうかと思うよ」
アノットも食べる方ではあるが、流石に毎度のようにドカ盛りにする理津子には少し呆れ顔。
ロザリオも成長期とはいえ、元々運動する方でもないので摂取カロリーの問題が。
「そもそも少年、運動音痴じゃんよ」
「でも食べなかったら成長に影響するって読んだよ」
「お前は僕を肥え太った豚にしたいのか」
「漫画みたいな表現で言わない」
「ってかさ、少年確実に肉がついてきてるよね」
実際ロザリオは理津子に言われてやってこそいるが、基本運動音痴だ。
一時間走るとかそんなの絶対無理な体力しかない。
ちなみに理津子はインドア派とはいえ基本的なトレーニングは普段からしている。
「そもそも大食いのリツコ基準で食事を作ればそりゃこうなるだろ」
「成長期にはきちんと食べないと駄目だよ、きちんと食べた方が大人になって痩せるよ」
「マジ?医学的根拠とかあるの?」
「あたしの通ってた大学でその講義の先生と一緒になった時に言われた」
「つまり大学の先生が言うからにはマジって事か」
理津子が大学の学食で食べている時に講義をしていた講師と同席した事があるという。
その当時は理津子も今よりは食べていなかったがそれでも食べる方だった
元々食べる量自体は多いので、それから食事量がさらに増えたらしい。
「でも大学ならもう成長期過ぎてんじゃんよ」
「あたしは元々食べる方だったから、その話は詳しく聞いたんだよね」
「それで僕の食事をこのドカ盛りか」
「あたしは元々食べる方だからね、大食いの理由としては家の食事は基本ドカ盛りだし」
「完全に家庭環境のせいやんけ!」
理津子の家では父親が自称高級ホテルの元シェフなので、味はとても美味しかった。
そこにたくさん食べるんだぞと幼い頃からドカ盛りの日々だった。
ちなみに中学に上がってからは母親に護身ぐらいは身につけるべきと言われ合気道を始めた。
つまりは運動をきちんとしていたからこそドカ盛りの日々でもこのスタイルが出来たのだ。
「確かに成長期なのは認めるけど、それでも流石に多いぞ」
「そうかな?あたしが高校の時とかは体育会系の男子なんてご飯3合ぐらい軽かったよ」
「そもそも少年は体育会系じゃねーっしょ」
「なんにしても成長期には食べる、これが一番の健康法だよ」
「お前、ほんっとうにブレないな、聖堂の女神像かよ」
見事な例えではあるが確かに、その通りではある。
理津子の食事への姿勢は一切ブレる事がない。
何を言われてもドカ盛りを決してやめない不動明王の如くである。
「とにかくこの盛り付けはやめないからね」
「もう外で勝手に食った方がいいんでね?」
「外食するなら食べ放題にでも行く?」
「お前が食べ放題に行くと店の人が泣くからやめろ」
「あたしでも流石にそこまでは食べないからね?」
なんにしても理津子はその姿勢を改める気はないらしい。
家庭環境の事もあってか、食の大切さを分かっているからこそなのだろう。
食べられるという事がどれだけありがたいかを親から教わっているからこそなのだ。
「そもそもなんでそんな頑固なのさ」
「食の大切さは親からみっちり叩き込まれてるからねぇ」
「だからこんなドカ盛りにしてるっていうのか?」
「食べられるのが当たり前だと思うな、だが食べられるからこそたくさん食べろって言われた」
「ドカ盛りはあれだけど、完全に食のエリートじゃんよ」
理津子のドカ盛りも大食いも家庭環境と親の教育があるからこそ。
ロザリオは内心迷惑がっているが、その考えには否定的ではない。
とはいえ毎回のように出されるドカ盛りで体重は確実に増えている。
理津子の姿勢がブレない以上これが変わる事はなさそうである。




