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花を飾る文化

すっかり春も後半戦となり夏は少しずつ近づいてきている。

そんな中理津子はこっちの世界では見ないものがある事に気づく。

この街にないだけなのか、この世界にはないのか。

そのないと気がついたものというのは。


「ねえ、こっちの世界には花屋とかないの?」


「花屋?それって花を売る店って事かね」


「うん、そうだけど、こっちには花屋ってないの?」


アノットとの買い物帰りに甘いものをいただきつつそんな話をする。


こっちの世界では花屋を見ないという話のようで。


「花屋を見ないんだけど、この世界には花を贈る文化とかないのかな」


「うーん、花自体はあるけど花屋ってのは聞かんねぇ、別の世界ならあるのかも」


「この世界には花屋ってないのか、なんか意外な感じではあるかも」


「りっちんの世界には花屋なんて店があったりするんかね」


「うん、祝い事の日なんかは花を贈る事が結構あるからね」


アノット曰くこの世界には花屋はないという。

その関係で花を贈る文化も恐らくはないのだろう。


花自体はその辺に自生しているものの花屋という店はこの世界にはないようだ。


「花屋がないって事は花を贈る文化ももしかしてない?」


「聞いた事はないわね、それに花なんて贈られてもスペースに困るだろうし」


「それは分かるんだけど、花屋がないっていうのも意外な感じだったな」


「りっちんの世界では祝い事の日なんかは花を贈ったりするのかね」


「うん、大きなパーティーとかは花屋に頼んでたくさんの花を用意してもらったりするよ」


花を贈るという文化がないこの世界からしたら珍しく映るのかもしれない。

とはいえ花を愛でるという人はそれなりにいたりする。


花はあくまでも個人で楽しむ趣味として考えられているようなのである。


「花に対する文化ってそういうものなんだね」


「屋敷にもあるけど、家に花壇があったりする事は別に珍しくはないわよ」


「つまり花屋っていう商売のやり方がないっていう事なんだね」


「それにここは港町だから、花屋なんて商売にならないわよ」


「あー、そうか、潮風があるもんねぇ」


花はあくまでも個人で愛でるもの。

なのでホームセンター的な所で花の種が売っている事はある。


なので花を愛でる文化はあっても、花を贈る文化がないという事になる。


「花に関しては何かとあるんだね、まだまだ知らない事はあるなぁ」


「とはいえりっちんの世界の花屋っていう文化は面白いとは思うわね」


「大きなイベントではスポンサーから花輪が贈られたりするしね」


「花はそれだけ祝いの席には欠かせないものっていう事なのね」


「うん、だから花は特別な意味を持ってたりするものなんだよね」


特別な祝い事の際には花を贈るのが定番の文化。

この世界において花とは個人で愛でるものという認識である。


花壇があったり、花がたくさん咲いている庭園を持つ貴族は珍しくないとか。


「花の美しさとかを語る貴族とか、いたりしないの?」


「花はあくまでも趣味の世界だからねぇ、庭園なんかは財力を示すものだし」


「なるほど、そう言われるとなんとなくは分かるかも」


「あくまでも趣味や他の理由で花を育てる人はたくさんいるけどね」


「花は贈るものではなく愛でるものっていう認識なんだね」


花はあくまでも個人の趣味の範囲だという。

とはいえ花に関しては美しいものというより何かしらの事を示すものという役割が強い。


花を育てる理由は趣味や財力を示すため、大きな庭園は貴族としてのステータスなのだろう。


「でも花に対する考え方って何かとあるんだなぁ」


「花はあくまでも愛でるもんであって、贈ったり買ったりするもんではないって事よ」


「そこは異世界っていう感じがするね、花はステータスとしての側面が大きいのか」


「そうそう、だから花は個人的な理由で育てる事が多いもんなのよ」


「花っていうのはそういうものなんだね、あくまでも個人的に楽しむものか」


アノットが言うには花を楽しむのは個人的なものである事がほとんどらしい。

貴族にとって庭園はステータスだし、家庭に花壇がある事は割と珍しくなかったり。


なお花の種は普通に買えるので、育てるのはそんな難しくもないという。


「でも港町だから花を育てるのは珍しいのはその通りなんだよね」


「潮風があるからね、塩害みたいなのは知っとるでしょ」


「うん、それで酷い事になるとかは聞いた事はあるよ」


「屋敷には花壇はあるけど、あれは完全に個人的な趣味なんよね」


「潮風が吹く港町で花壇は難しいっていうのは分かるからなぁ」


花についての考え方は異世界という事なのか。

ただ花を育て愛でる文化だけはあるが、花を買うという考え方がない。


花屋がない理由はそういう考え方から来ているのか。


「さて、帰らなきゃね」


「だね、屋敷の花壇もしっかり手入れしてやりなさいよ」


「せっかく使えるようにしたんだしね、きちんと手入れするよ」


屋敷の花壇は今は多様な花が咲いている。

とはいえ潮風が吹く港町で花を育てるのは簡単ではない。


それでもせっかくなので手入れはしている。


屋敷の花壇にはカラフルな花が今は咲いているのだ。

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