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串に刺さない

すっかり春の陽気になり海から吹く風も気持ちいい季節。

そんな中サインから食事に誘われたので、つきあう事に。

今回はどこに行くのかという事だが、どうやら焼き鳥屋の様子。

なお想像とは少し違うようだが。


「ここがその焼き鳥屋?」


「はい、ここの焼き鳥は美味しいんですよ」


「サインが言うなら確かなんだろうね、よし、行こう」


そのまま店に入り適当な席に座る。


カウンター席なんかもあるようで、せっかくなのでカウンター席に座る事に。


「何を頼もうか、いろいろあるけど」


「私はとりあえずももから、あとつくねを」


「ならあたしは鶏皮とももをまずはもらおうかな」


「ももは鉄板ですよね、鶏肉の基本です」


「それは分かる、日本でも鶏肉はもも肉が多いし」


そうしていると注文した焼き鳥が出てくる。

だが理津子が想像していたものとは少し違う様子。


それは鉄板で焼いた串に刺さっていない焼き鳥だった。


「ここの焼き鳥って串に刺したものじゃなくて、鉄板焼きなのか」


「焼き鳥は鉄板焼きのものが普通なのでは?」


「まあここは異世界だし分かるんだけどさ」


「リツコの世界では焼き鳥というのは串に刺して焼くものなんですか?」


「一般的にはそんな感じ、炭火焼き鳥とか美味しいんだけどね」


この世界における焼き鳥とは基本的には鉄板焼きのものを指すらしい。

なので串に刺して焼く焼き鳥はこの世界にはないようである。


焼き鳥とは鉄板で焼いた鶏肉、そういうものらしい。


「次は何を頼もうかな、種類はあたしの世界とそこまで変わらないみたいだけど」


「私はぼんじりとむねをお願いします」


「ならあたしは砂肝とカシラをもらおうかな」


「意外と通ですね、料理が好きなだけはあります」


「そういうサインもぼんじりを頼む辺り、分かってるね」


こっちの世界でも焼き鳥の部位に関しては理津子の世界と大差ない様子。

ただ違いと言うなら軟骨がこちらの世界にはないようではある。


軟骨がない事以外は焼き鳥の肉の種類はほぼ変わりはないようだ。


「うん、美味しい、やっぱりカシラは美味しいものだね」


「ぼんじりも希少な鶏肉というだけあって美味しいですね、流石です」


「それにしても焼き鳥は鉄板焼きの事を言うのかぁ」


「リツコの世界の焼き鳥は串焼きのものの事を言うんですね」


「そうだよ、それを炭で焼くのが一般的な焼き鳥かな」


日本において焼き鳥とは基本的には串焼きの事を言うもの。

鉄板焼きの焼き鳥も存在するが、焼き鳥と言えば串焼きのイメージが強い。


なので焼き鳥とは串焼きのイメージが染み付いているものである。


「でも鉄板焼きの焼き鳥も好きだけどね、そういうのが名物の県もあるし」


「串に刺して炭で焼くものというイメージはあるんですよね?」


「それはある、焼き鳥屋っていうと串焼きのものを食べるイメージでもあるし」


「ふむ、日本という国における焼き鳥は串焼き、なるほど」


「でも鉄板焼きもいいね、食べ安さならこっちの方が上かも」


なお日本では鶏肉の話になると鳥インフルエンザの話も出てきたりする。

それにより鶏を全て殺処分しないといけないなどの話だ。


鶏肉が美味しく食べられるというのは意外とありがたいのだろう。


「鶏肉の話だと、あたしの世界は鳥インフルエンザの問題とかあったなぁ」


「鳥インフルエンザ?鶏が感染する病気とかですか?」


「そう、感染が確認されたら養鶏場の鶏を全部殺処分するしかないみたいな病気ね」


「全部殺処分って、そんな恐ろしい病気なんですか、鳥インフルエンザって」


「鳥インフルエンザは人間に感染したらお終いって言われる程度には怖いらしいし」


鳥インフルエンザは人間に感染する事が何よりも恐れられる病気である。

だからこそ感染が確認されたら養鶏場の鶏は全て殺処分される。


それは理津子も散々見聞きしてきた話だ。


「こういう美味しい鶏肉が食べられるっていいよねぇ」


「鳥インフルエンザというのがどれだけ恐ろしいかも伝わりますね」


「この世界でもそういう病気が出てこないっていう保証もないとは思うしね」


「病気はどこから入ってくるか分からないですからね」


「未知の病気は決まって外から入ってくるものだしね」


そんな鳥インフルエンザの恐ろしさを理津子は知っている。

理津子が血液検査などを受けたのはそんな未知の病気を持ち込んでいないかについてでもある。


未知の病気は決まって外から入ってくるものなのだろうからこそ。


「それにしてもここの焼き鳥美味しいねぇ」


「鉄板焼きの焼き鳥もそうですけど、この焼き鳥はタレが何よりも美味しいんですよね」


「あー、だから美味しいのか、肉が美味しいのは当然としてもタレも美味しいのか」


「ええ、特注のタレを使っているそうですから」


「特注のタレ、レシピは気になるけど、まあそこはお店の秘密か」


そうしてしっかりと満足するまでいただいた様子。

この世界において焼き鳥とは鉄板焼きの事を指す。


異世界なのだからまあ納得ではある。


「それじゃ次は甘いものでも行こうか」


「いいですね、では甘いものです」


「よしっ、甘いものにレッツゴー」


そんな異世界の焼き鳥の話。

この世界において焼き鳥とは鉄板焼きの事である。


日本の焼き鳥のイメージとは違うが、これはこれで美味しい様子。


肉の種類も大きな違いはなかったようだ。

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