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世界を学ぶ

こっちの世界での生活にも慣れてきた理津子。

とはいえ自分の世界での常識は通じないという事を痛感している。

食材なんかも似ている食材は豊富にあるが、旬が違ったりという事がある。

それも覚えてきてはいるものの、ついつい自分の世界でのクセが出たりするようで。


「うーん、今夜は何にしようか」


「僕は食べられればなんでもいいぞ」


「りっちんってさ、料理上手だけどたまに旬じゃない高い食材に手を伸ばすよね」


アノットの指摘は尤もである。


理津子の世界でも旬のものはある程度安くなるが、旬を外したものは高めなのだ。


「それは仕方ないよ、覚えてきたとはいえあたしの世界とは違うし」


「リツコの世界だとかぼちゃは冬の食材なのか?」


「そうだよ、かぼちゃの旬は秋から冬だね」


「こっちだとかぼちゃの旬は春なんだよね、春かぼちゃは絶品だぜぇ」


「魚なんかも似た魚はたくさん見るけど、旬が違うからついつい高いのを買おうとするし」


基本的には理津子にとってはここは異世界である。

当然似ているものがたくさんあっても自分の世界の常識は通じない。


とはいえ同じようなものもあったりするので、違い自体は大きなものはないようだが。


「秋刀魚もあたしの世界だと秋の魚なのに、こっちだと夏の魚なんだね」


「りっちんの世界と似てるけど違うって事だよね?」


「そうそう、日付とかもこっちは一年が370日だし」


「それってどこが違うんだ?」


「あたしの世界だと2月は基本28日まででうるう年は29日までなんだよね」


世界が変われば常識も変わる。

この世界の一年は370日なのだとカレンダーを見て知ったらしい。


それに加え年末の大晦日に大掃除はなく年始、年明けに大掃除をするという。


「習慣とかも似てるんだけど、微妙な違いとかだから覚えればいいだけではあるんだけど」


「でもさ、似てるけど微妙な違いってのも面白いよね」


「あと法律とかも意外性があったりして面白いと思ってる」


「例えば何かあったか」


「こっちってルールは意外とユルイんだけど、罰則が凄く重いって気づいたんだよね」


理津子は自分の世界だとルールは厳しめな感じだった。

こっちではルール自体はかなりユルイ。


その一方で罰則が重くなっているので、そういったところから自由の責任を感じたと。


「法律とかもネットで調べたんだけど、罰則の重さが目に留まったからさ」


「まあそこは平等の精神よね、ルール違反をしたら金持ちも平民も罰するっていう」


「法律とかルールがユルイから罰せられる事自体は少ないけど、その反面の厳しさだし」


「皇帝が言うには創造性を育むためにこんな感じにしたらしいって聞いたな」


「あー、そう言われるとこのユルイルールと重い罰則もなんとなく納得かも」


この国のトップ、つまり皇帝が進める方針なのだとか。

創造性を育むためにルールをあえてゆるくして、その一方で罰則を重くする。


それは理津子の世界ではなかなか出てこない発想だと思った。


「やっぱりあたしの世界の常識が通じないって感じるなぁ」


「この世界が多種族だからこそでもあるんでね?ともあたしは思うぜ」


「そっか、多種族だからこそ細かくルールを作ると荒れちゃうもんね」


「寧ろ多種族じゃなきゃ出来ない考えだと僕は思うぞ」


「世界の違いは食べ物はもちろんだけど、人の考えにも出るんだね」


こっちの世界に慣れたとはいえ、新鮮な経験はまだまだ多い。

それは自分の世界では出来なかった経験だし、考えでもある。


似ているが違う部分がたくさんある世界、そんな世界だと。


「そういえばこっちの世界って戦争とかあったりしないの?」


「戦争?歴史書を開けば過去には何度も起きてるよ」


「それはあるんだ」


「でも多種族になって別世界の軍隊に勝てるわけない、とかで今はこんな感じだな」


「なんとなく分かる気がした、空界の軍隊とやり合うとか無理、みたいな感じなのかも」


そういった感じに世界の違いを感じ取り学び吸収する。

理津子は元々新しいものは触れてみたくなる性格なのだ。


家が食堂だった事もあり自分で勝手に料理を作ったりもした。


理津子はこの世界をきちんと学んでいるようなのはロザリオも感心しているのだから。

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