生卵が恋しい
冬も始まり外はすっかり寒くなってきた。
そんな中寒い日はすき焼きが恋しくなる様子の理津子。
とはいえこっちの世界ではすき焼きには欠かせないあれが食べられない。
その関係で卵かけご飯なんかも食べられないのだ。
「いい匂いがするわね、卵の匂いかしら」
「そういえば卵をたくさん買ってきてたな」
「だとしたらお昼は卵料理かな」
そんな理津子が作っていたのはいろんな卵料理。
こっちの世界でも卵は物価の優等生ではある様子。
「美味しそうな卵料理だわね」
「卵を安売りしてたから、ついたくさん買っちゃったんだよね」
「まあいいんじゃないか、卵料理は好きだし」
「卵はいろいろ使えるのも大きいしね」
「とりあえず食べようか」
いろいろ作ってきた卵料理。
とはいえ理津子は卵料理の他に気になっているものがある様子。
卵といえば日本人には欠かせないあれもある。
「うん、美味いわね、やっぱ卵はいいわ」
「プルコギの卵とじとか結構好きなんだよね」
「肉と野菜炒めを卵でとじてるのか」
「そうそう、こっちはお麩と玉ねぎの卵とじね」
「卵とじにしてもいろいろあるんだね」
卵とじはいろんな料理に使えるのが強いと理津子は言う。
濃いめの味付けの料理に卵をかけて一緒に炒める。
そういう食べ方もアレンジレシピとしてはいいらしい。
「卵料理はアレンジも豊富だからいいのよね、あたしもよくやるし」
「でもこっちだと生卵が食べられないからなぁ、卵かけご飯が恋しいよ」
「お前の世界だと生卵なんか食べるのか?腹を壊さないのか?」
「日本だと生卵は普通に食べるよ、卵かけご飯は日本人の定番だからね」
「卵かけご飯って、ご飯に生卵をかけて食べるものなの?」
異世界である以上当然卵の衛生の問題は出てくる。
なので当然生卵は食べられないので、卵かけご飯も食べられない。
ついでにすき焼きなんかも食べられない。
「にしても生卵を普通に食ってるって凄いわね、日本って国は」
「それだけ卵が綺麗っていう事でもあるんだけどね」
「でも生卵ってそれだけ危険なものなんだろ?本来は」
「本来はね、日本以外の国だと生卵なんて食べられないって聞いてたし」
「生卵って普通に考えて危険なものなのに、それだけ清潔って事なんだね」
生卵を食べられる国はそれだけ少ないという事。
異世界でも生卵は当然食べられないので、なおさら恋しくなる。
すき焼きを作りたいが、生卵が食べられない以上それはすき焼きではないと思っている。
「生卵が食べられる国っていうだけでも日本の凄さが分かる話よね」
「すき焼きを作りたいんだけど、生卵が食べられないからねぇ」
「すき焼きには生卵が必要なのか?」
「うん、すき焼きは肉や野菜を生卵に絡めて食べる料理だからね」
「だからすき焼きはこっちだと食べられない料理なんだ」
すき焼きは生卵が欠かせないと理津子は言う。
だから異世界ではすき焼きは食べられないと理津子は言う。
生卵が食べられないというのは日本人の理津子にはなかなかにきついのである。
「りっちんは生卵に飢えてたりするんかね」
「まあ飢えてるかもしれない、卵かけご飯が食べられないのは寂しいんだよ」
「卵かけご飯、米に生卵をかけるだけでそんなに美味しいのか?」
「美味しいよ、一般的には醤油なんだけど、あたしはめんつゆをかけるのが好きかな」
「生卵に醤油をかけて食べるのか、それだけでも興味深いかも」
卵かけご飯は一般的には醤油をかけるもの。
そんな中理津子は卵かけご飯にはめんつゆをかけて食べるのが好きなのだという。
理津子なりの美味しい食べ方があるという事なのかもしれない。
「でも卵かけご飯ってシンプルな食べ方にも感じるわね」
「まあ熱々の白米に生卵をかけてそこに好みの味付けで食べるしね」
「生卵が食べられるだけでも凄いって感じるのにな」
「あたしはラー油とかごま油をそこに垂らして食べるのが好きなんだよね」
「味を一つ足す感じの食べ方なんだね」
理津子曰く卵かけご飯はめんつゆをかけ、そこにラー油やごま油を垂らすのが好きという。
ちなみに理津子はご飯に卵を乗せてから崩すのではなく、溶いた卵をかける派なのだとか。
溶き卵にめんつゆをかけ、それをかけたご飯にラー油やごま油をかけるのが理津子流だ。
「卵はやっぱいいもんだわね、安くて美味しいし」
「こっちでも物価の優等生だとは思わなかったけどね、栄養価の割に安いし」
「卵って明らかに安いんだよな、あれで儲けは出てるのか?」
「あたしの世界だと、今は昔よりは値上がりしたって聞くけどね」
「卵ってそれだけ値段の割に優秀な食べ物なんだね」
卵は物価の優等生と言われる食べ物。
とはいえ日本だと今は卵は前に比べてかなり高くなった。
卵が物価の優等生だったのは過去の話か。
「美味しかったぜぇ」
「よかった、卵料理は卵をたくさん使ってこそだよね」
「卵とじとか、それだけでもバリエーションは豊富なんだな」
「卵とじは炒めても煮てもイケるからかもね」
そんな卵料理は大人も子供も好きな人は多いもの。
しかし生卵が食べられない事に理津子は異世界だと感じている様子。
卵かけご飯やすき焼きが食べられないのはやはり辛いのだろう。
生卵が美味しく食べられる日本の凄さを改めて感じていた。




