白いソース
すっかり寒さも本格化してきた寒くなる季節。
冬は目の前という事もあり温かい料理をいろいろ試している様子。
そんな中寒い日には温かい洋食なんかもいろいろ作っているようだ。
そして寒い日には美味しい白いソースのあれを作っている様子。
「いい匂いがするわね」
「この匂いはなんだ？何かクリームの匂いか？」
「だと思うよ、牛乳の匂いだと思う」
そんな匂いがするものはなんなのか。
出てきたのは熱々なあれであった。
「お、美味しそうなグラタンだわね」
「うん、今回はせっかくだからグラスパにしてみたんだけど」
「グラスパ？なんだそれ」
「グラタンスパゲティの事だよ、スパゲティにグラタンのソースをかけて焼いたの」
「なるほど、それでグラスパか」
理津子が作ってきたのはグラタンスパゲティ、略してグラスパ。
スパゲティにグラタンのソースをかけてグラタンのように焼き上げたものだ。
熱々のグラタンソースとチーズがスパゲティの麺によく絡む一品である。
「あちち、でもこいつぁ美味いわね」
「うん、パスタとチーズの組み合わせは王道だからね」
「でもこういうのもいいな、寒い日には美味しいし」
「だよねぇ、グラタンは寒い日には美味しいんだけど、作るのは手間もあるから」
「確かにグラタンって作るのは大変だよね」
グラタンは美味しいが作るのは大変なもの。
そんな中でグラスパともなればもっと手間がかかる。
オーブンで焼いている時間も長ければ、ホワイトソースも作るのは大変なのだ。
「でもグラタンっていいわねぇ、手間はかかるけど美味しいもんよ」
「グラタンって言うとやっぱりエビグラタンが定番なんだよね」
「お前の世界だと海老グラタンなのか」
「うん、今回はスパゲティだけど、グラタンに使うパスタは一般的にはペンネなんだよね」
「ペンネ、パスタにも種類があるんだね」
グラタンに使うパスタはペンネである事が多い。
ペンネは形状からホワイトソースがよく馴染むのだとか。
グラタンに使われるのはペンネやエリコイダーリのような太い穴空きパスタが多いとも。
「でもグラタンスパゲティなんてなかなかにシャレてるわね」
「これはこれで美味しいでしょ」
「まあな、マカロニグラタンがグラタンの定番だと思ってたから、新鮮な感じだよ」
「マカロニグラタンかぁ、昔はそれも好きだったな」
「リツコにとってのグラタンってやっぱりペンネとかエリコイダーリなの？」
理津子も昔はマカロニグラタンが好きだったという。
ロザリオにとってのグラタンといえばマカロニグラタンだったらしい。
幼い頃に食べるグラタンはペンネやエリコイダーリよりマカロニが多いのかもしれない。
「でもマカロニグラタンもそれはそれでいいわよね」
「うん、子供の時はあたしも好きだったよ、マカロニグラタン」
「でも本格的なやつだとペンネとかエリコイダーリなんだよな？」
「そうだね、というかこっちの世界でもその呼び方は通じるのか」
「通じると思うよ、お店の商品名とか見てるでしょ」
確かに理津子も店の商品名を見ると自分の世界と同じ名前の食材があるのは見かける。
異世界なのに不思議な感じではあるが、どこの誰が命名したのか。
異世界にも同じネーミングセンスを持つ人がいるのかもしれない。
「寒い日のグラタンはマジで至福の味よね、舌を火傷しそうになる熱さがまたいいんよ」
「実際それで舌を火傷した事は何度もあるけどね」
「舌の火傷って体の他の部分より治るのが早いよな、何か特別な理由とかあるのか？」
「それはあたしには分からないね、でも確かにその通りかも」
「もしかして熱さを感じるものの種類によって違うとか」
舌の火傷は確かに普通に治ってしまうもの。
火傷は一般的には痕が残りそうなイメージがある。
その理由については知らないので答えようがないが。
「でも熱々のグラタンってなんでこんなに美味しいんだろうねぇ」
「不思議だよね、熱いから美味しいって事なのかな」
「まあ寒い日に食べる温かい料理はなんでも美味しく感じるだろ」
「それもそうだね、寒い日に食べる温かい料理、また何か考えようかな」
「これからは冬本番だからね、温かい料理が美味しくなる季節だよ」
これからの冬は海風もありその寒さは強くなる。
港町という土地柄海風がその寒さを強くする。
海沿いの街は海から吹く風によって内陸よりも寒いものなのだ。
「うん、美味しかったぜぇ」
「ありがとね、コーンスープでも持ってくるよ」
「グラタンはやっぱりいいな」
「優しい味ってやつなのかな」
グラタンスパゲティ、略してグラスパ。
熱々のグラタンソースとスパゲティの組み合わせはこれがまた美味しい。
熱々というのは寒い日には体も暖まるからこそである。
寒い日のグラタンは体がポカポカしてくるのだから。
