海鮮には醤油
最近はすっかり冷え込むようになってきた秋の港町。
そんな中旬ではないものの、それでも美味しい海産物は多い。
理津子はそんな海の幸をいろいろ見つけるのもまた楽しいとか。
今回買ってきたものは何かというと。
「磯の香りがするわね」
「何か海の幸を買ってきてたな、何を作ってるんだ」
「でもいい匂いがするよ」
何を作っていたかといえば、出てきたのは山盛りのカキフライ。
どうやら牡蠣をたくさん買ってきていたようである。
「美味しそうなカキフライだわね」
「安かったからついたくさん買っちゃったんだよね」
「いい匂いだな、これは美味しそうだ」
「それじゃ食べようか、熱いから気をつけてね」
「うん、それじゃいただこうか」
揚げたてのたくさんのカキフライ。
そこに何をつけるかといえば、理津子は醤油をかけ始める。
ロザリオはソース、アノットはタルタルソースで食べている。
「りっちんはカキフライには醤油かけて食べる人なんね」
「うん、アジフライとかもそうだけど海鮮系の揚げ物は醤油で食べるのが好きなんだよね」
「そういうのは好みの問題だからとやかくは言わないけどな」
「カキフライはやっぱり醤油が美味しいんだよね」
「海鮮系の揚げ物は醤油の方が美味しいのかな」
理津子曰く海鮮系の揚げ物は醤油が美味しいのだという。
カキフライに限らずアジフライなどの魚のフライなんかも醤油で食べるタイプだ。
魚などの海鮮には醤油が何よりも合うという事を知っているのかもしれない。
「でもカキフライがたくさん出てきて、こりゃウマーだわ」
「まあ牡蠣は加熱して食べるに限るよね、生牡蠣とか怖すぎるし」
「生牡蠣なんか食べるのか?」
「日本だと割と生牡蠣を食べてるけどね、まあそれでノロウイルスになる人もいるけど」
「ノロウイルス?食中毒とかそういう?」
ノロウイルスの怖さは牡蠣を食べる上では避けられないもの。
実際生牡蠣でノロウイルスに感染し、トイレがお隣さんになった人はそれなりにいる。
それもあり理津子は基本的に生牡蠣は食べないという。
「ノロウイルスって食中りみたいなもんって事でいいんかしら?」
「分かりやすく言うと吐き気と下痢が酷い事になるやつだね」
「食事中にそういう事を言うな」
「実際ノロウイルスに感染するとトイレから出てこられなくなるぐらいにはお腹がね」
「人間は大変だね、そういう病原菌の怖さがあるなんて」
アンドロイドのセルベーラはノロウイルスに感染するような事はない。
人間はそういう所が怖いものではある。
なので理津子もノロウイルスの怖さはよく知っているのだろう。
「でもカキフライに醤油か、それはそれで美味しそうだわね」
「海鮮系の揚げ物はソースとかタルタルも美味しいけど、あたしは醤油派かな」
「僕は揚げ物は基本的にはソースだな、カキフライにもソースだぞ」
「そこは人の好みだし、好きなものをかければいいと思うよ」
「でも海鮮系の揚げ物ってソースもタルタルも美味しいよね」
海鮮系の揚げ物、特にカキフライはそれにマッチするものも多い。
理津子は醤油、ロザリオはソース、アノットとセルベーラはタルタルが好きな様子。
カキフライには何をかけても美味しいからいいのだ。
「でもカキフライに限らず海鮮系の揚げ物って合うソースは多いわよね」
「それは思う、ソースも醤油もタルタルソースも合うもんね」
「塩気があるものがよく合うって事なんだろうな」
「カキフライは甘みが強いものだから、塩気がそれに合うのかもね」
「でもカキフライは旬じゃなくても美味しいものだね」
理津子もカキフライは好きな揚げ物の一つだという。
海鮮系の揚げ物では特にカキフライが好きなのだとも。
牡蠣は火を通して食べるに限ると思っているからなのかもしれない。
「はぁ、このカキフライにはお酒が欲しくなるわね」
「お酒の肴にもいいもんね、カキフライは」
「僕は酒は飲まないからそういうのは分からないな」
「日本だと揚げ物にはラガービールが定番なんだけど、あたしにはそれはよく分からないや」
「ラガービールか、この国だとビールって言うとエールの事を言うよね」
揚げ物にはビール、日本ではそれは定番の組み合わせである。
とはいえこの国においてビールと言えばエールビールの事を言う。
ラガービールも他国に行けばあるという事らしいが。
「はぁ、美味しかったわ」
「それはよかった」
「こいういうのはまた作って欲しいな」
「なんだかんだで揚げ物は美味しいもんね」
そんな山盛りカキフライはあっという間に消えていった。
海鮮の揚げ物には醤油が美味しいという理津子。
カキフライに醤油とはそれはそれで美味しいものだ。
揚げ物に醤油、それは決しておかしな事ではないのだから。




