森の国観光~帰国~
森の国の観光を思う存分楽しんだ理津子達。
宿をチェックアウトして帰りの鉄道の時間までお土産なども選んでいた。
屋敷に残してきたアノットの事は少し気がかりではある。
あの性格なので荒れ放題になっていないかという事も。
「もうそろそろこの国ともお別れかぁ」
「観光とか旅行ならまた行けばいいだろ」
「その時は連れてってね」
そんな話をしていると国境駅行きのバスが国境駅に到着する。
鉄道の時間からして屋敷に帰りつけるのは夕方辺りか。
「今度はもう少し遠くの国にも行ってみたいな」
「遠くの国か、島国とかもあるし雪国も砂漠の国もあるぞ」
「へぇ、そういう国もあるんだ」
「この世界はそうだよね、私の世界はほとんど開発されちゃってたな」
「機界ってそういう世界なんだね」
世界によって環境などは当然違ってくる。
ロザリオ曰くこの世界はそういった様々な世界との交流で発展したという。
セルベーラも自分の世界との違いは楽しいという。
「そういえばあたし達もセルベーラの世界みたいな別の世界に行けるの?」
「行けるよ、ただ国の行き来に比べると審査とか凄く厳しいけどね」
「ふーん、だとしたらそういう世界にも行ってみたいかも」
「別の世界って本当に環境が大きく違うから、戸惑うと思うぞ」
「それはなんとなく分かるけど…あ、来た」
そんな話をしていると鉄道が駅に入ってくる。
清掃が終わった後そのまま乗り込み帝国へと鉄道は出発する。
そこでも世界についての話などを聞いてみる事に。
「実際別の世界ってこことは全然違う風景なんだよね」
「うん、機界なんかは自然はないし、木とかは全部人工物だよ」
「なるほど、それはそれで興味があるかも」
「でもエミールなんかは獣界人だよな、こっちに来るのも理由があると思うぞ」
「そういえば帝なんかもそんな事言ってたっけ」
行き来は自由に出来るのがこの世界の基本だ。
とはいえ自分の世界を飛び出すのは相応の理由がある。
技術協力や何かしらの理由があるなどはあるのだとロザリオは言っている。
「でもそういった人達もきちんと暮らせるならそれはいい世界なんじゃないかな」
「そうだね、ご飯も美味しいし」
「セルベーラはそういう理由なんだ」
「移住とかする人もそこそこいるから、別の世界の人っていうのも珍しくないし」
「理由はあるんだろうけど、移住が簡単っていうのは大きいかも」
そんな話をしている間に鉄道は帝国の駅に到着する。
そこからはバスに乗って港町へと帰る事になる。
世界の話はまた別の機会に聞く事にした。
「もう少しで帰宅か」
「またどこか行こうね」
「そうだね、どこかリサーチしてみようかな」
「僕はあまりそういうのは好きじゃないんだけど」
「少年は引きこもりだったもんね」
だが理津子が来てからはロザリオも変わったとは思う。
それは単に理津子に振り回されているだけなのかもしれないが。
それでも以前に比べたら口数は増えたし、感情も出すようにはなったのだろう。
「少年は少し明るくなったんじゃない」
「そうか?僕にはよく分からないよ」
「あたしが来たばかりに比べると感情とか豊かになったよね」
「リツコがドキドキさせてるせいじゃない?」
「そんな事ないよね?」
そんな話をしているとバスは港町へと到着する。
バスを降りて屋敷への帰路につく。
屋敷の中は少し心配だが。
「ただいまー」
「お、お帰り、りっちん」
「屋敷の中は汚してないだろうな」
「失礼な、流石に汚い屋敷じゃ寝れないから掃除ぐらいしとるわ」
「とりあえず中に入ろうよ」
そんな心配は必要なかった様子。
確かに屋敷の中は掃除は行き届いていた。
その綺麗な屋敷にアノットのスキルの高さを改めて実感する。
「お土産も買ってきたよ」
「お、これは森の国の名物のお菓子じゃん、サンクス」
「お前の場合は食べ物じゃないと怒りそうだからな」
「人をなんだと思ってんの」
「まあまあ、アノットの好きそうなものだしね」
そんな談笑もしつつ夜は更けていく。
夕食は簡単に済ませて、その日の夜はぐっすりだった。
明日からはまたいつもの日々。
今度は別の街などにも言ってみたいと思う理津子なのだった。




