表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
287/344

無限に食えるもの

すっかり秋本番になり涼しさも本格化してきた。

それもあり夜はすっかり冷えるようにもなってきた。

そんな中アノットは夜はワインセラーのワインを楽しんでいる様子。

そこで理津子に酒の肴を頼んでくる事も多い。


「そんじゃおやすみね」


「ああ、お前も早く寝ろよ」


「それじゃおやすみ」


ロザリオとセルベーラが寝たあとアノットは地下からワインを持ってくる。


そして夜の楽しみが始まる。


「ふぅ、んまいわねぇ」


「相変わらずワインを飲んでるんだね」


「お、りっちんでないの、仕事は終わったんかね」


「うん、大体はね終わったよ」


「なら一緒に飲まんかね」


アノットに誘われるものの、そこは断る。

とはいえ酒の肴ぐらいは作れる理津子。


おつまみでいいなら作るけどと言ってきてくれる。


「飲まないならいいけど、まだ起きてるんでしょ」


「うん、それなら何かおつまみでも作ってあげようか」


「いいんかね?仕事は大体終わってるんでしょ」


「別に構わないよ、少し待っててね」


「はいよ、何作ってくれるかは分からんけど楽しみね」


キッチンに行って余っていたキャベツを千切りにする。

それをボウルに入れて調味料と混ぜ合わせて深い皿に盛り付ける。


日本では割と定着している無限キャベツである。


「いい匂いがするわね、キャベツ?」


「うん、無限キャベツだよ、お酒の肴にはいいかなと思って」


「ふむ、こいつは千切りキャベツに調味料加えて混ぜたもんなんか」


「そうだよ、お酒の肴には最適でしょ」


「確かにこいつは美味いわね、マジで無限に食えるわよ」


無限キャベツ、まさに無限に食えるキャベツである。

ごま油や塩など簡単なものしか使っていないのも大きい。


理津子は酒は積極的に飲まないものの、酒の肴自体は好きなのだから。


「この無限キャベツってやつ、めっちゃ美味しいやん」


「簡単に作れるからレシピ教えてあげようか?」


「いいの?なら頼もうかしら」


「うん、今書いてあげるね」


「無限キャベツ、りっちんの世界には面白い食べ物があるもんなのね」


アノットも気に入った無限キャベツ。

その無限っぷりはまさに止まらない美味しさである。


さらに香りもいいので、食欲にもダイレクトに訴えかけてくる。


「にしてもキャベツがこんなに美味しくなるなんてどんなからくりなんよ」


「シンプルに千切りにして調味料と混ぜ混ぜするだけの簡単なレシピだよ」


「それだけでこんなに美味しくなるもんなのねぇ、ビビるわ」


「はい、レシピ、簡単に作れるよ」


「おう、サンキュ、マジで簡単なレシピなのね」


アノットのスキルなら作るのは簡単なものが無限キャベツ。

日本なら無限キャベツの素的なものも売っているが、自作はそんなに難しくはない。


とはいえプロが作ったものにはやはり勝てないものである。


「でもりっちんってお酒は飲まない人よね」


「誘われれば飲むけど、自分から飲もうとは思わないかなぁ」


「飲めないっていうわけではないんよね?」


「うん、飲めるには飲めるけど、そこまで強い方でもないしね」


「お酒を美味しく飲めるのは大人の証とも言えなくはないかもしれんけどね」


酒を美味しく飲めるのは大人になったということ。

アノットは仕事の関係で酒を飲む事も多かった。


なので意外と酒豪な一面もあったりする。


「あたしは酒は仕事の関係で飲む事が多かったからねぇ」


「それってメイド隊の仕事の関係とかかな」


「そそ、基本的にはスパイだから、酒を飲む事も割とあったしね」


「そういう仕事だとお酒を飲む事は自然と多くなるのか」


「酔わせて情報を聞き出すとかは割と一般的な手口だしね」


アノット曰く情報を集めるために酔わせるという事は割とやったという。

酒を飲んで上機嫌になると口は軽くなるものなのだという。


なのでお酌などの相手をして一緒に飲んで相手を酔わせる手口は普通なのだとか。


「まあお酒に関してはそれに強いっていうのはスパイの必須スキルよね」


「お酒に対しても何かとあるんだなぁ」


「でもりっちんってお酒は飲めるのに、積極的に飲まないのよね」


「日本だと国が規制を強くしてきた関係でストロング系のお酒とかが増えたのもあるからね」


「つまり劣悪な酒が増えたっていう事でいいんかしら」


第三のビールやストロング系の酒、さらにはノンアルビールのようなものも作られている日本。

それは国が酒に対する規制を強くしているのも関係しているのか。


理津子が酒を好まない理由はそこなのかもしれない。


「この無限キャベツやばかったわ、レシピありがとね」


「簡単に作れて無限に食べられるからね、白菜とかでもいいよ」


「キャベツに限らずって事ね、こいつはいいわ」


そんな無限キャベツの魔力は凄い。

半玉のキャベツを一人で平らげるという事も簡単に出来てしまう。


まさに味付けの勝利とも言える簡単な肴である。


無限キャベツは名前の通り無限なのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ