パンを焼く楽しさ
夏の暑さが少しずつ強くなり始めた季節。
それもあり食材の保存はしっかりとする事を徹底する。
それでも日本に比べれば湿度が低いだけマシなのか。
作ったものはその日の内に食べてしまう事にする。
「暑くなってきたねぇ」
「夏は引きこもるのが大正義だからな」
「ロザリオは元々引きこもりじゃん」
そんな中パンの焼けるいい匂いがした。
理津子はパンを焼いていたようである。
「お、美味しそうなパンじゃない」
「うん、ちょっと惣菜パンをいろいろ作ってみたんだけど」
「惣菜パンってお前の住んでた国のパンのジャンルの一つか」
「そんな感じだね、おかずパンとかそんな感じ」
「とりあえず食べようよ」
惣菜パンをいろいろ作ってきた理津子。
挑戦は好きだし、美味しくなりそうなものはなんでも試してみる。
そうして多くのレシピを編み出してきたのだ。
「にしても惣菜パンってのは面白いもんよね、こういうパンの食べ方もあるんだってさ」
「そうだね、まあ白パンがメインだからこういうパンが発達したのかも」
「お前の住んでた国は白パンが主流なんだよな」
「うん、外国だと保存食としての黒パンが主流だからね」
「なるほど、そういうところも文化の違いを感じるかも」
惣菜パンというのは日本独自のパン文化でもある。
外国の人からしたら珍しく見えるらしいが、普通に美味しいと言う人も多い。
パンは元々西洋から入ってきた食べ物であり、それが日本独自に進化した感じか。
「惣菜パンってのは要するにおかずになるパンっていう事でいいんかね」
「そんな感じかな、お好み焼きパンなんかもあるよ」
「なんでもパンにするんだな、その辺は凄いというか」
「ピザ生地で焼いたお好み焼きとかあるぐらいだしね」
「なんでもやるんだね、とりあえずやってみる感じなのかな」
お好み焼きパンというのも意外と美味しいもの。
お好み焼きはジャパニーズピッツァなどとも言われていたりする。
ピザとは違うが、似ているような感じはあるのかもしれない。
「でもお好み焼きってあれパンの仲間だったりするんかね」
「パンの仲間だとは思わないけど、パンみたいな食感ではあるよね」
「お好み焼きはパンの仲間なのか?それは違う気がするが」
「まあいいんじゃないかな、ピザのようなものだと思えば」
「ピザもパン生地とクリスピー生地のやつがあるよね?」
ピザ生地はパン生地とクリスピー生地がある。
ちなみに理津子はパン生地の方が好きなのだとか。
耳までチーズたっぷりのやつが好きらしい。
「でもパンの可能性は感じるわね、ホットドッグとか焼きそばパンとか」
「コッペパンは何かを挟んでこそ美味しいパンだと思ってるしね」
「確かにそのままじゃ味気ないもんな、コッペパンは」
「うん、だからホットドッグにしたりたまごサンドもコッペパンサンドで作ったりね」
「コッペパンサンドのたまごサンドも意外と美味しいよね、こういうのもありかも」
コッペパンサンドの形のサンドイッチも美味しいもの。
たまごサンドもコッペパンサンドで食べるのもまた美味しい。
惣菜パンの多くはコッペパンが使えるのだという事である。
「コッペパンサンドの汎用性の高さは凄いもんだわね」
「定番はやっぱりホットドッグだよね、ソーセージとケチャップとマスタードで」
「僕は辛いのは得意じゃないんだが、ホットドッグのマスタードは不思議と食べられるんだよな」
「それはたぶんハニーマスタードだからじゃないかな、同じ理由でスイートピクルスもあるし」
「つまり甘みが足されてるから、ただ辛いだけとか酸っぱいだけでもないって事なのかな」
ハニーマスタードやスイートピクルスはそれが苦手でも意外と食べられてしまうもの。
ただ辛いだけではなく甘みが足されているというのはやはり食べやすくなるのだろう。
ハニーマスタードもスイートピクルスもそれを苦手とする人にも食べやすさを与えてくれる。
「ハニーマスタードってはちみつを混ぜたマスタードの事よね?」
「そうだよ、普通のマスタードはディジョンマスタードっていうね」
「はちみつか、どうりで食べやすいと感じるわけだな」
「まあ甘いのが苦手な人もいるけど、甘みを足すと食べやすくなるのは多くの料理にあるよね」
「確かにね、甘みを足すと辛さが抑えられるし」
マスタードもピクルスも普通のものは苦手な人はいる。
だからこそハニーマスタードやスイートピクルスなら平気という人もいる。
粒なしか粒ありかで好みが分かれるのもマスタードの特徴かもしれない。
「うん、満足満足」
「惣菜パンはやっぱりおかずなんだよねぇ」
「パンをおかずにするっていうのは珍しい発想だよな」
「でもそれが美味しいんだよね」
そんなパンの発展も国によって違うもの。
惣菜パンはやはりおかずなのだという事なのか。
コッペパンの汎用性の高さは本物でもある。
そのままでは味気ないコッペパンもサンドにすると多様なものに変化するのだ。




