丁寧に揚げました
すっかり春本番の暖かさとなった異世界の春。
港町は海風もあり少し涼しめではある。
なお港町だけに塩が安く買えるというのは強いようだ。
そんな中安くたくさん手に入ったという事で、お菓子を作り始めた様子。
「油の匂いがするねぇ」
「お前、嗅覚がいいよな」
「元スパイ部隊のエースっていうだけあるのかな」
そんな話をしていると理津子が完成品を持ってくる。
それはじゃがいものいい匂いだったようで。
「ふむ、こいつはいい匂いのするポテトチップスね」
「うん、じゃがいもが安かったから」
「それでポテトチップスか、塩の匂いもするな」
「のり塩とはちみつバターを作ってみたんだけど」
「とりあえず食べようよ」
理津子が作ってきたのはポテトチップス。
じゃがいもが安くたくさん手に入ったので、作ったらしい。
味付けはのり塩とはちみつバターだそうだ。
「うん、こいつは美味いね、青のりのいい香りもする」
「のり塩はあたしの住んでた国だと定番の味なんだよね」
「島国だとは言ってたよな、お前の住んでた国って」
「そうそう、あとは期間限定の味もたくさんあったなぁ」
「へぇ、そんなたくさんの味があるんだ」
季節限定などを含めるとたくさんの味のポテトチップスがある。
とはいえやはり最後には定番に行き着くようでもある。
ちなみにはちみつバターは理津子のお気に入りの味らしい。
「にしてもこのはちみつバターのポテチクッソ美味しくない?なにこれ」
「それはあたしのお気に入りの味なんだよね、美味しいでしょ」
「お前の住んでた国だとはちみつバターなんて味まであるのか」
「味はたくさんあるよ、地域限定だと醤油味のものとかもあるし」
「その地域の味みたいなものまであるんだね」
九州醤油みたいな地域限定の味があるのも日本という国の面白さ。
その地域独自の味があり、通販などで買えたりもする。
ネットの発達は地域限定の味にアクセスしやすくなったとも言える。
「このギザギザカットののり塩味は面白いわね」
「こういう風にカットしてあって厚切りなのが美味しいんだよね」
「厚切りのウェーブカット、ポテトチップスにもいろいろあるんだな」
「濃いめの味付けによく使われるんだよね、ウェーブカットって」
「確かに波状になってると濃い味はよく馴染みそうだね」
ちなみに理津子の好きなポテチはピザなポテトなのだという。
定番ののり塩が一番好きとはいうが、それとは別にピザなポテトも好きらしい。
またはちみつバターは見かけるとかならず買う味なのだとも。
「しかしはちみつバターのポテチがこんなに美味しいとは、ワインが欲しくなる味だわ」
「はちみつバターだとビールよりワインだよね」
「でもポテトチップスではちみつバターみたいな甘い味付けっていうのは意外だったな」
「あたしの住んでた国だとチョコポテチとかがあるからねぇ、甘いのも抵抗はないのかも」
「チョコポテチって、そんなものまであるの?面白いね」
本当にあるのがチョコポテチである。
塩味とチョコレートの甘さは実は意外とマッチしたりする。
塩気とチョコレートの甘さは実はベストマッチなのだ。
「チョコポテチなんてもんまであるとは、りっちんの国は食べ物で挑戦するわねぇ」
「これ美味しいの?みたいな組み合わせの食べ物って多いからね」
「そういう挑戦的な事をするのは面白く感じるな」
「漬物とクリームチーズの組み合わせが美味しいみたいな国だしね」
「へぇ、そういう話は面白いかも」
そういう意外な組み合わせが美味しいという事をやっているのも日本という国である。
なので食べ物で遊んでいるのではなく挑戦していると受け取れる。
美味しいを探求し続ける国民性なのかもしれない。
「チョコポテチやらはちみつバターポテチやら、甘い味とポテチの組み合わせは意外だわ」
「でもそれが美味しいんだよね、不思議な事に」
「甘いものと塩気を組み合わせるっていうのはありそうでない発想な気はするな」
「洋菓子でもソルトクッキーとかがあるし、思ってるよりは美味しいんだよね」
「甘いものと塩の組み合わせかぁ、いろいろやるものなんだね」
そういう思わぬ発想から美味しいものをたくさん生み出してきた国でもある。
お菓子作りであっても決して手を抜かない、プロがガチで研究して生み出している味である。
あんバターなんてものまであったりする国なのだから。
「ふぅ、美味しかったぜぇ」
「それはどうもね」
「今度作る時はまた変わった味で作ってくれ」
「いいね、それでリクエストするよ」
そんなポテチのエトセトラ。
甘いものと塩気は意外と合うという話でもある。
理津子曰くはちみつバターは幸せの味がするという。
ポテトチップスは意外な味が美味しかったりするから面白いのだ。




