やはり花より団子
春の陽気も本格化してきた暖かな日。
先日エミールに誘われた通り帝の神社で花見をする事に。
料理はアノットとの共作でいろいろ持ち込んできた。
ロザリオと帝はお互いインドア人間で気が合うのか、今ではすっかり仲良しに。
「ふぅ、やっぱり桜の花は綺麗でいいね」
「ハイ、この美しさは他の花では味わえマセンよ」
「少年はすっかり帝と仲良しだよね」
ロザリオと帝は少し離れた所で料理をいただきつつ話に花を咲かせている様子。
それを見守りつつ理津子もエミールと一緒に花を愛でている。
「アノットとセルベーラも向こうにいるのか」
「各々好きに楽しめばいいデスよ、別に無理に一緒に楽しむ必要もないデスから」
「それにしてもここの桜は天然物か、あたしの国だとクローンの桜が一番馴染みがあるんだよね」
「クローンの桜デスか?」
「うん、クローンの桜の木が一般的だから、各地で同じタイミングで一斉に開花するの」
日本の桜で一番名が知られているのは恐らくソメイヨシノであろう。
ソメイヨシノはクローンの桜であり、だからこそ各地で一斉に花開く。
他の桜の木も当然あるものの、知名度的にはやはりソメイヨシノなのだ。
「そういえばあたしの住んでた国だと、桜が開花すると雨が降るって言われるんだよね」
「そういうジンクスのようなものがあるのデスか?」
「そんな感じ、桜が開花すると雨が降る桜流しって呼ばれる現象らしいよ」
「へぇ、興味深い話デスね、桜が開花すると雨が降るというジンクスデスか」
「必ずそうなるわけではないんだけど、桜が開花すると高確率で雨になるんだよね」
桜が開花すると雨が降るというジンクス。
それは桜流しの雨と呼ばれる現象の事なのだとか。
桜を見られる期間が短くなるというのはどこか不思議な感覚になる現象でもある。
「実際あたしの住んでた国って不思議なジンクスとか自然現象があったりするんだよね」
「それは神の祝福や怒りといったものなのかもしれマセンね」
「他にも皇帝の即位の儀の日には最初は曇ってるのに、姿を見せると虹がかかるとかあったよ」
「それは凄い話デスね、その皇帝は神の化身みたいな伝承でもあるのでショウか」
「その皇帝は国の祖である太陽神の子孫とも言われてたりするからね」
日本という国には不思議な現象やジンクスが多い。
それは古くから伝わっていたりする事もあったりするのがまた面白い。
実際どう説明するといいか分からない減少は多々あったりするのだ。
「まあ桜が開花すると雨が降るっていうのも、あたしの国にある不思議の一つだよね」
「リツコサンの住んでいた国は神様のいたずらみたいな話が多いのデスね」
「あたしの住んでた国って無宗教って思ってる人も多いけど、実際は多神教だと思うしね」
「多神教、神様が複数いるという考え方デスか」
「そうそう、だから外国の宗教の神様もそんなたくさんいる神様の一人でしかないみたいな」
日本は無宗教と思っている国民も多いが、実際は多神教の国と言ってもいいだろう。
だからこそイベント事は宗教を跨いで行われる事が普通にある。
外国の宗教の神様もそんなたくさんいる神様の一人でしかない、理津子も割とそう思っている。
「まあ桜流しの雨なんて言われるけど、実際桜が開花すると雨の予報が出る事は多いしね」
「桜流しの雨、不思議なジンクスのようなものがあるのデスね」
「そういう不思議な自然現象みたいな話はたくさんあるんだよね、説明はしにくいけどさ」
「ふむ、やはり神の国という考えであれば割と納得かもしれマセンね」
「自然現象に関しては不思議なジンクス的なものは多いしねぇ」
他には左翼政権になると大きな天災が来るみたいなジンクスもあったりする。
詳しく説明はしにくいので必ずしもその通りとも限らない。
とはいえ桜が開花すると雨が降るみたいな不思議な話は多々あるのもまた事実だ。
「まあ実際お天道様が見てるから悪い事はするなみたいな考えが染み付いてる国だしねぇ」
「そういう無自覚に神様を信じているみたいなところはあるのデスね」
「うん、無宗教って言う人は多いけど、そんな事はないと思うよ」
「生活に宗教が溶け込みすぎていて、宗教だという自覚そのものがないとかデスかね」
「そんな感じなんだろうね、あたしもそういう事は教わって育ってるし」
日本人は無宗教ではなく神道というのは割とある認識だろう。
それが生活に浸透しすぎているので、宗教という自覚自体がないのだ。
生活に溶け込むレベルに浸透しているという事なのだ。
「でもやっぱり桜の花はいいね」
「ハイ、春にしか見られない美しさデスよ」
「葉桜になるのは来月ぐらいかなぁ」
そんな花見はやはり花より団子。
ロザリオと帝はその好きなものに話に花を咲かせる。
アノットとセルベーラもなんだかんだで楽しんでいたようではある。
桜が開花すると雨が降るという不思議なジンクスが日本にはある。




