メリクリ!
すっかり冬の海風が身に染みる寒い冬。
そんな中理津子はクリスマスの料理をいろいろ作っている。
なお異世界にクリスマスはないので、勝手にやっているだけである。
やりたいからやっているだけの異世界クリスマスなのだ。
「んー、いい匂いね」
「クリスマスってやつだろ」
「まあこっちの世界にはクリスマスなんてないけどね」
そんなクリスマスに作るものはいろいろある。
料理もあるが、ケーキなどのお菓子類が多くなりそうだ。
「お、来た来た、待っとったぞ」
「うん、いろいろ作ったからとりあえず食べようか」
「七面鳥にケーキ、あとはなんだ」
「パネトーネとかパンドーロ、あとはシュトーレンとかかな」
「ふーん、とりあえず食べようよ」
そんないろいろ作ったので早速いただく事に。
クリスマスだから気合を入れるのは理津子らしいとも言える。
美味しいものを食べる日というイメージなのが理津子のクリスマスである。
「うん、美味いねぇ、このシュトーレンってバターの香りが凄いわね」
「バターにドボンして作るお菓子だからね」
「そんな作り方するのか、シュトーレンってカロリーモンスターなんじゃ」
「まあ普段から食べるものでもないしいいと思うよ」
「ならいいとは思うけど、バターにドボンはなかなか衝撃だよね」
パネトーネやパンドーロはイタリアのクリスマスで食べるものである。
クリスマスというのも国によって食べるものが異なったりする。
他にもいろいろ料理を作っているのは理津子らしい多国籍な感じである。
「これはなんだね、何かのパイ?」
「ミートパイだね、こっちはコテージパイだよ」
「そういう料理っていろんな国によって異なるものなんだろ」
「うん、あとはローストビーフとかラザニアとか」
「ローストビーフってその少しピリッとした感じのソースで食べるんだね」
ローストビーフにはグレイビーソースがよく合う。
また和風なわさび醤油ソースなんかも意外と合うものである。
ローストビーフはクリスマスとはそこまで関係ないようなそうでもないような。
「端っこのやついただき、肉でもパンでも端っこって美味いわよね」
「アノットは分かってるね、実際端っこが人気でそれを頼む人もいるからね」
「そんなものなんだな、でも確かにパンとか肉とかの端っこって美味いよな」
「あたしも端っこがあるとどうしても食べたくなるしね」
「でもローストビーフってこういう日には食べたくなるのかもね」
ローストビーフは肉塊を使って作りそれをスライスして食べるものだ。
そんなローストビーフの端っこは人気で、わざわざそれを頼んだりもする。
理津子もローストビーフやロールケーキや食パンの端っこが好きらしい。
「ケーキも美味いわね、りっちんのお菓子作りも上手くなったわねぇ」
「アノットの教えのおかげだよ、お菓子作りもかなり上達したからね」
「それにしてもこのパネトーネとかパンドーロも美味しいな」
「でしょ?あたしも最初に食べた時から気に入ってるんだよね」
「ケーキはケーキで美味しいしね、クリスマスケーキっていいかも」
クリスマスケーキというのも国による文化でもある。
尤もクリスマスケーキは日本の文化的なところが大きいらしい。
それ以外の国でもケーキに近いものはあるが、ケーキとは少し違ったりとかなんとか。
「やっぱ美味い飯が食えるって幸せだわ、りっちんのご飯美味しいしね」
「それはどうもね、あたしも料理は好きだから」
「にしてもこのケーキ美味しいな、クリームがバタークリームなのか」
「生クリームでもよかったんだけどね、たまにはこういうのもいいかなって」
「いろいろ工夫はしてるんだね」
理津子もいろいろ工夫はしている様子。
お菓子作りはアノットの教えもあるが、母親が和菓子作りが得意なのもあるのか。
和菓子に使われる技術がちょくちょく見受けられたりする。
「んー、料理も言うまでもなく美味しいけどケーキもいいわねぇ」
「いろいろ作ったかいがあったね」
「ケーキもいろいろ工夫してるんだな、美味しさの理由はそこか」
「クリスマスぐらいは気合い入れたものを作りたくなるってものだよ」
「美味しいケーキや料理、あとはパン類が多いのかな」
クリスマスは元々西洋の文化なのでパン類が多いのはあるのか。
日本のクリスマスは日本独自のクリスマスという感じでもある。
日本の懐の深さから作り上げられたクリスマスとも言えるのか。
「ふぅ、満足だったねぇ」
「もうすぐ年末年始だからね、そっちもいろいろ準備しないと」
「一年もあっという間だったな」
「年末年始とかも楽しみにしてるからね」
そんなクリスマスは美味しいものをたんまりといただいた。
理津子にとってのクリスマスは美味しいものを食べる日である。
美味しい料理は理津子にとってそれだけ特別なもの。
親の背中を見て育つとはそういう事なのかもしれない。




