牛丼を食べる
最近はすっかり涼しくなり完全に秋の陽気になってきた。
そんな中理津子は新装開店するという店に並んでいた。
先日開店クーポンをもらったので、せっかくだから来てみようとなった。
するとそこでサインに遭遇した様子。
「まさか異世界にも牛丼屋があったとは」
「牛丼のような肉類は獣界の人がよく売っていますからね」
「肉類は獣界なんだね、野菜とかもそうだったよね」
そのまま順番になり店に入店する。
そこでサインと一緒に席に着き注文をする事に。
「何にしようか、やっぱり牛丼屋だし牛丼だよね」
「流石に開店初日にそれ以外を頼む勇気はないのでは」
「まあそれもそうか、あたしはあたま大盛りにしよう」
「リツコさん、結構肉食系ですよね」
「まあお肉は好きだしね、こっちに来る前も牛丼は結構よく食べてたし」
理津子は意外と牛丼屋にも行っていたという。
美味しくて安いというのはやはり大きいという事なのか。
なお牛丼屋に行っても頼むのは牛丼ではなく定食やカレーが多かったらしい。
「お、きたきた、美味しそうじゃん」
「ではいただきますか」
「それにしても牛丼屋ってやっぱり牛丼を食べるものなんだよね」
「寧ろ牛丼屋で牛丼以外に何を食べるっていうんですか」
「あたしの世界だと牛丼屋でもカレーとか定食とか、他の肉の丼も扱ってる事が多いよ」
こっちの世界の牛丼屋はやはり牛丼を食べるものなのは言うまでもない。
理津子の世界では牛丼屋はカレーや定食や他の肉の丼も扱っている事が多い。
なので基本的に牛丼屋というよりは定食屋に近い店という認識が理津子にはある。
「あたしの世界の牛丼屋って、牛丼以外も肉類のメニューは結構扱ってたからね」
「つまり牛丼屋ではあるものの、カレーや定食も扱う飲食店なんですか」
「うん、牛丼屋だけどカレーの方が美味しいお店とかもあったぐらいだし」
「それは牛丼屋なんですか、カレー屋なんですか」
「牛丼屋だとは思うよ、でも定食やカレーを食べる店って認識もあったかも」
理津子曰くそれはどこぞの松のお店の事なのかもしれない。
牛丼屋のカレーは美味しいと理津子も思っていたようである。
牛丼屋というからには肉の扱いは優秀だからこそなのか。
「まあ牛丼も美味しいけどね、牛丼はそれだけ国民食に近いものはあったし」
「牛丼は安くて美味しくて素早く食べられるのが売りですからね」
「そうなんだよね、作業着の人が入ってきて頼んですぐに出てきて食べて出ていくみたいな」
「牛丼はやはりそういう素早く栄養補給出来る料理というイメージは強いですよね」
「うん、元々そういう料理だったと思ってるしね」
牛丼は素早く栄養補給が出来る男の飯、そんなイメージも今は昔の話。
女の人でも入りやすくなったり、メニューが増えたりと進化も続いている。
こっちの世界の牛丼屋はやはり牛丼が売りのようではあるが。
「でもこの牛丼、思ってるより全然美味しいね」
「獣界は畜産や酪農が盛んな世界ですから、肉はそれだけ美味しいんですよ」
「なるほどね、肉の事には詳しい人も多いのか」
「ええ、獣界の肉は安いものから高いものまで多様に出荷しているので」
「獣界の肉が美味しい理由が分かった気がする」
サイン曰く獣界の肉はそれだけいい環境で畜産をしているからという。
高い肉から庶民向けの肉まで幅広く扱うのはやはり流石である。
この牛丼屋も獣界人がオーナーなので、それだけ美味しいのだから。
「牛丼もいいよね、こういうのを食べるとなんか落ち着く気がする」
「リツコは牛丼なんかも好きなんですね」
「まあね、あたしの世界だとレトルトの牛丼の具なんかもあるから」
「へぇ、それは便利なものがあるんですね」
「レトルトの牛丼の具もお店が監修してたりするから、普通に美味しいんだよね」
そんな牛丼を綺麗さっぱり平らげる。
理津子は牛丼はあたま大盛りで食べるのが定番なのだという。
やはり牛丼は牛肉を味わいたいからなのだとか。
「ふぅ、満足したねぇ」
「リツコさん、あたま大盛りでも綺麗に食べてますよね」
「まああれぐらいなら軽いよ」
「肉が好きっていうのも分かった気がします」
「あたま大盛りで食べるのこそ牛丼の一番美味しい食べ方だよ」
理津子は牛肉には七味唐辛子派であり、紅生姜は乗せない派である。
ここは異世界なのでそういうのは置いていなかったようではあるが。
異世界では流石に牛丼屋とはいえ七味唐辛子や紅生姜は置いていないようだ。
「それじゃ次に行く場所は決まってるよね」
「食後のデザートですね」
「そういう事、行こうか」
そのまま食後のデザートも食べに行く事に。
理津子もサインも食後はそこまでしっかり行く派だ。
異世界の牛丼屋は安いのに肉の質もそこそこいいという事に驚いた。
なおそれでも理津子の世界よりは高いようではあった。




