朝に弱い
夏の暑さも少しではあるが落ち着き始めた秋の日。
とはいえまだ少し暑さは残る時期でもある。
そんなまだ暑い日にサインとお茶をしている様子。
たまには休むというのも大切なのだ。
「ふぅ、たまにはこういうのもいいかもね」
「ええ、美味しいものです」
「それにしてもサインから誘ってくるなんて珍しいね」
サインから誘ってきたのは少し休みたかったからというのはある。
科学者というのも休みは必要なのだから。
「それにしても誘ってきたのが昼間なんて、もしかして寝てた?」
「寝てたというより朝に弱いんですよ、起きるのが10時過ぎとかザラなので」
「へぇ、サインって朝に弱いんだ」
「はい、なので目が覚めたこれぐらいの時間に誘ったんです」
「でも朝に弱い人っているよね、あたしにも分かるというか」
サイン曰く朝に弱いらしく、目覚めた時には10時過ぎとかも普通らしい。
なので朝はなかなか起きられない体質なのだという。
サインもそうした体質のため、どちらかというと夜型の人間らしいとも。
「サインは低血圧だったりするのかな、低血圧の人って朝に弱いし」
「どうなんでしょう、そこはなんとも」
「まああたしも朝はそこまで強い方じゃないし、朝はしんどいよね」
「リツコも朝に弱いんですか?」
「朝に弱いというか、眠りが浅いって言われた事があるからね」
それもあり理津子は以前ドワーフの酒店で買ったよく眠れる酒を飲んでいる。
あれからぐっすり眠れるようになったというのは本人の談。
なのでよく眠れるようになりスッキリ起きられるようになったらしい。
「それにしても朝に弱いっていうのは何かと辛いね」
「そうなんですよね、なので夜にいろいろやる事が多くなってしまって」
「朝に弱いって言うけど、睡眠はきちんと取ってるんでしょ」
「ええ、24時には寝てますよ」
「それでもそれぐらいの時間なんだ」
サインも研究をしている以上生活リズムを規則正しくとはいかないもの。
出来る限り睡眠時間は確保しているものの、どうしても不規則な生活になりがちだ。
それに朝に弱いというのが加わり日中の活動時間もさらに短くなっているとか。
「生活リズムを規則正しくっていうのは思ってるより難しいものだよね」
「ええ、規則正しい生活が出来る人は尊敬してしまいますよ」
「あたしもそこまで規則正しくとはいかないしなぁ」
「私は朝に弱いせいで、学会とかに遅れる事もありますし」
「朝に弱いっていうのは何かとあるよね、生活していく上でも」
サインは朝に弱いからこその問題もいくつかある。
何かに出席する際に遅れた事も珍しくないという。
目覚ましなどをかけたところで簡単に起きられるなら苦労しないのが朝の弱さである。
「でもサインが朝に弱いっていうのは意外だったかも」
「多少無理してでも起きているんですが、それでもなかなか上手くはいかないものなんですよ」
「まあそんなものだろうね、あたしも朝はそんな強くなかったから、起きるの辛かったし」
「ただ人体は日光を浴びないと体が目覚めないので、せめて日光は浴びないとですよ」
「窓を開けて日光を浴びるってそういう事だもんね」
サインも日光を浴びるという事の意味は理解している。
あとは目を覚ますためにオレンジジュースを一杯飲む事から朝を始めているらしい。
サインなりの目覚めの方法という事なのだろう、きっと。
「いい目覚めの方法ってないものだよね、意外と」
「私はオレンジジュースを一杯飲む事をやっていますが」
「オレンジジュース、そういえばドラマとかで朝にオレンジジュースがよく出てたな」
「朝はとりあえず果物を食べるといいというのは私のやっている事ですね」
「果物、ジュースなんかでもいいのかな」
サインは朝にオレンジジュースを一杯飲む事から始めている。
果物、特に柑橘系は目覚めには結構効くという。
あくまでも本人の経験則でしかないが。
「でもお互い朝に苦労してるのは変わらないものだねぇ」
「そうですね、朝に弱いというのは生活が不規則になりがちですよ」
「サインもあたしも朝に弱いせいで苦労してるって事か、なんか仲間かも」
そんなカフェで甘いものを食べつつ朝に弱いという事を語り合う。
朝に弱い人の苦労というのは何かとあるもの。
生活リズムが不規則になりがちなのも仕方ない。
人の生活というのは難しいものだと科学者でも頭を悩ませるものなのである。




