夏祭りをやっている
夏も佳境になり秋も近づきつつあるが相変わらず暑い季節。
そんな中先日商店街での夏祭りの告知を見た。
せっかくなので行ってみようという事になった。
今回はロザリオも珍しく行くと言ってきた。
「賑わってんねぇ」
「まあたまにはこういうのも悪くないしな」
「ロザリオが自分から行くなんて言うの珍しいよね」
そんな夏祭りだが、浴衣があるという事もなく普段通りの私服である。
とはいえ異世界の夏祭りというのも興味深くあるようで。
「お、来たね、こっちだぜぇ」
「お待たせ、それにしても夏祭りなんてやってたんだね」
「毎年やってるけどな、告知とかに気が付かなかっただけじゃないのか」
「かもしれないね、とりあえず見に行こうか」
「うん、行こう」
異世界の夏祭りとは言うものの理津子の世界のそれと大きく変わらない。
違う点があるとすれば食べ物がメインであり、くじ引きなども詐欺ると罰金を取られる。
ちなみに食べ物系の出店は主に商店街の人達が出店しているらしい。
「んまー、やっぱこういうとこで食うものは不思議と美味しいよね」
「まあそういうのは雰囲気もあるよね、値段に関しても場所代みたいなところはあるし」
「神輿なんかも担いで回ってるしな、夜にやるのは涼しくなる時間だからだし」
「あたしの世界でも夏祭りって夕方から夜だったしね、涼しい時間帯って大切だよ」
「でもこういう夏祭りって東の国のスタイルなんだよね」
今回やってる夏祭りは東の国のスタイルらしい。
理津子が見覚えがあるのもそういう事である。
とはいえ当たりのないくじ引き屋みたいな店は出ていないようだ。
「お、これ型抜きじゃん、やってきていい」
「型抜きはこっちの世界にもあるのか、別にいいけど」
「…あいつ目がマジだったけど」
「これは泣くやつかなぁ」
「アノットってあれで結構器用だもんね」
そんな型抜きに挑戦したアノット。
結果は言うまでもなくアノットの完全勝利である。
店主の人も勘弁してくれと言わんばかりだった。
「がっはっは、勝ったな」
「手加減してあげなよ、主人の人涙目だったよ」
「お前、変なところで負けず嫌いだよな」
「でもこっちの世界にも型抜きがあったとは、知らなかった」
「リツコの世界にもあるんだね、型抜き」
国の法律で当たりのないくじ引きなどは詐欺罪が成立する。
なので遊戯系の出店は型抜きやチープなおもちゃなどが景品のくじ引きなど。
くじ引きの景品は一番いいものでもそこまで損はしないが得もしない感じである。
「そういやりっちんの世界でもこんな感じの祭りはやるんよね」
「あたしの住んでた国ではね、外国に行けばその国独自のお祭りとかもたくさんあるけど」
「国が変われば祭りも多様っていうのは異世界でも変わらないって事か」
「しかし日本風の夏祭りをやるとは、主催者誰なんだろう」
「話では神界人の東方の神様達らしいよ」
夏祭りの主催者は神界人の東方の神様の人達らしい。
なので神様が祭りの主催者なのだという。
とはいえこっちの世界の神様は種族の一つというだけであり、特別な存在でもない。
「にしても東の国の人って神様まで祭り好きなんかしら」
「まあ好きだと思うよ、お祭りって基本的に神事みたいなところがあるし」
「そんなものなのか、そういえばお前の故郷って多神教なんだったな」
「うん、だからお祭りは基本的に神事っていう側面が強いと思うよ」
「神様をどう見るかも国によって違うって事か」
理津子の世界の祭りとこっちの世界の祭りは違うのかもしれない。
とはいえ東の国の人は祭り好きなのは共通なのか。
神様もその辺は変わらない様子。
「でも夜の祭りっていいわよねぇ、風流だわ」
「それはあるよね、夜にこうして賑わうのも夏祭りだからこそって感じがするし」
「まあたまには悪くないよな、僕も少しは外に出ないとだし」
「少年もガチの引きこもりっていうわけでもないよね」
「出不精なだけで外には普通に出るよね」
ロザリオもガチの引きこもりではなく出る時は出るタイプである。
基本的にはインドア派ではあるので、積極的に出ないだけなのだ。
なので誘われれば嫌々ながらも出たりする。
「また何か食おうぜぇ」
「だね、今夜はここでお腹いっぱいになろうか」
「まあたまにはいいよな」
「うん、食べよう」
そんな夏まつりの出店でお腹いっぱいになった様子。
商店街が出店しているのでいろんな食べ物がある。
夏祭りの食べ物は雰囲気と場所代が大半である。
高いのではなく雰囲気と場所代込みの値段なのだ。




