雨上がりの湿度
夏の暑さにも慣れてきた夏本番の季節。
そんな夏でも雨が降る時は降るものである。
また海側からはたまに大きな嵐が来たりする。
そんな嵐が過ぎ去ったあとには普段は低めな湿度が高くなるのはお約束。
「嵐がすぎると暑くなるもんねぇ」
「雨上がりは湿度も上がるからな、少しすればまた気温も下がるだろ」
「とはいえ雨上がりの湿度はリツコの言ってた通りだよね」
高温多湿の国で過ごしてきた理津子にとってはこの湿度も今さらである。
とはいえやはり雨上がりの湿度は不快感も上がるものではあるが。
「お、美味そうな肉の匂いがするね」
「暑いからこそしっかり食べないとね」
「それにしても相変わらずの量なんだな」
「夏バテ防止には体力をつけないといけないしね」
「夏は何かと嫌な季節だよねぇ」
そんな夏だからこそしっかり食べる必要がある。
夏バテ防止には体力をつける事が何よりも大切だからこそだ。
とはいえ普段に比べるとやはり食欲も落ちるのは夏の嫌らしさか。
「それにしても雨上がりにこんなジメジメするとは、りっちんの気持ちが分かったわ」
「まああたしの住んでた国だと夏の雨上がりは湿度80%超えとか普通にあったしね」
「湿度80%は流石に冗談だろ」
「あたしも家に温度計あったから知ってるけど、台風一過とか80%は軽かったよ」
「嵐がすぎるとそんなジメジメするって凄いんだね」
こっちの世界では海沿いでも湿度はマシな方ではある。
理津子が暮らしていたのはもっと湿度の高い環境。
真夏の台風一過には湿度が90%に近くなるような事もあったぐらいである。
「しっかし湿度の不快感ってやばいわねぇ」
「あたしは慣れたものではあるけど、嵐がすぎるとこうなるんだよね」
「雨が降ったからなんだよな、雨の水が水蒸気になるんだったか」
「湿度って水蒸気とかの影響は大きいからね」
「水が水蒸気に変わるのが湿度って事だっけ」
港町ではあるので海側から嵐が入ってくる事はある。
そのためここでは嵐は海から来るものという認識が強い。
そして嵐がすぎると少しの間湿度が爆上がりになるのである。
「にしてもまさか嵐が来るとは思ってなかったわよ」
「ここって海側から台風が来るとかはあるんだよね、結構強かったし」
「まあたまに来る事はあるからな、特に夏は来る確率も高いし」
「海水温が高くなってるからかな、台風の仕組みってそういう事だし」
「ただ湿度って本当に不快になるんだね」
湿度が高くなると服が張り付いたりする事もある。
元々高温多湿な夏を生きてきた理津子でもやはり湿度は不快なもの。
異世界は湿度は低い方とはいえ嵐が過ぎ去ったあとの湿度の高さは不快なもののようだ。
「湿度が高い環境の経験があるとはいえやっぱ嫌なもんね、湿度が高いってのは」
「湿度計とかないの?あるなら買ってきて設置してもいいけど」
「そういうのは家電量販店に行けば買えると思うぞ」
「なら今度温度計と一緒に買ってこようかな」
「そういうのを設置しておくと何かと便利だろうしね」
理津子からすれば湿度90%に届きそうな環境の経験もある。
こっちの世界にも湿度計などはあるようで、家電量販店で買えるという。
今の湿度が何%なのかは少し気になるようだ。
「でも流石に湿度が90%近くなるっていうのは嘘だと思うけど、マジなん?」
「マジだよ、流石に90まではいかないけど、87とかは見た事はあるね」
「そんな多湿な環境で生活出来るのも凄いものだな」
「あたしの住んでた国の近くの国は熱帯の国はあったけど多湿ではないっぽいし」
「リツコの住んでた国の湿度の高さは独自の環境なのかな」
こっちの世界の湿度は高くても自分の世界と比べたらまだ低いと感じる理津子。
暑さだけならまだいいと思えるのが湿度の不快感だ。
ロザリオやアノットからすればこれでも充分多湿なのだが。
「ふぅ、んまかったぜぇ」
「それはどうもね」
「しかしこの湿度も早く下がって欲しいものだよな」
「雨上がりの不快感ってこういう事なんだね」
先日の嵐が去ったあとの多湿な環境。
理津子からすれば慣れたものではあるが、他からすれば不快なもの。
夏は海側から嵐が来る事がたまにある。
湿度がそれだけ不快なものであるという事は正しいようだ。




