トマトの美味しい使い方
最近は雨季のため外に出る時間も少なくなりがち。
そんな中での貴重な晴れ間の日にはまとまった買い物なども済ませている。
買い物帰りに知り合いにもたまに遭遇するのは、考える事は同じなのか。
そして帰り際に出会ったのはエミールだった。
「エミールも相変わらずみたいだね」
「ハイ、帝様もこの時期は外に出たくないと言っていマスから」
「帝は変わらないなぁ」
そんなエミールも帝には内緒で買い物帰りに買い食いをしたりしている。
その辺の自由があるのは巫女と言いつつも友人関係という事なのか。
「それでエミールのそれってトマト?ずいぶん買ったね」
「帝様は生のトマトが苦手なのデス、火を通したトマトは食べられるのデスが」
「トマトが苦手なのか、帝って」
「ハイ、ケチャップやトマトソースパスタなどは食べられるのデスが」
「つまり生のトマトが駄目って事なの?」
エミールが言うには帝はトマトが苦手らしい。
とはいえケチャップやトマトソースパスタは普通に食べられるらしい。
つまり生のトマトが苦手という事で確定のようだ。
「ならトマトカレーとかどうかな、生のトマトではないから帝も食べられるでしょ」
「トマトカレーデスか?」
「うん、生のトマトっていうわけでもないから、作るのも結構簡単だしね」
「でもレシピが分かりマセンね、カレーは作れるのデスが」
「なら作り方を教えてあげるよ、少し待ってて」
そんなわけでトマトカレーのレシピをエミールに教える事に。
ついでに鶏肉も買っていたようなので、チキントマトカレーにするといいと伝える。
エミール曰く帝はトマトの加工品は食べられるが、生のトマトが駄目なのだとか。
「それにしても生のトマトが駄目か、トマト嫌いも多いけど生は特に多い気がするね」
「ハイ、私は生のトマトも好きなので冷やしたトマトをかじったりするのデスが」
「あー、分かる、夏場はキンキンに冷えたトマトとか美味しいよね」
「とはいえ苦手なものを無理に食べさせるのもいいとは思わないのデスよ」
「まあ無理に食べさせるとよけいに嫌いになるからねぇ」
エミールはトマトが好きなので、夏は冷やしたトマトにかじりついたりするらしい。
理津子もトマトは食べられるので、夏は冷やしトマトが定番だったとか。
トマト料理も父親から結構覚えているようでもある。
「エミールは生のトマトは全然イケるんだね」
「ハイ、好きデスよ、トマト料理自体は結構作りマスから」
「加工してあれば帝もトマトは食べられるって事だもんね」
「ハイ、生でなければ結構食べてくれマスよ」
「でもトマト料理かぁ、トマトって意外と多くの料理に使われてるからね」
トマトを使った料理は普通に多様なものである。
あくまでも原型がなくなるまで煮込んであったりするため分かりにくいだけだ。
なのでトマトの加工品が平気な人が多いのはそうしたところにあるのだろう。
「でも生のトマトが駄目っていうのは分かるかも、あたしのお母さんも苦手だったし」
「リツコサンのお母様も生のトマトが苦手だったのデスか?」
「うん、お父さんはいろいろ作るから食卓には出てきたけど、食べてはくれなかったね」
「それでも夫婦仲は良好なのデスか?」
「うん、まあ食事は結構自由だったのはあるしね」
理津子曰く理津子の母親も生のトマトが苦手だったという。
とはいえ食卓には生のトマトが出てくる事もあった。
なお家には父親の株主優待によるトマトジュースがよく置いてあったそうな。
「そうだ、トマトカレーのついでに美味しいトマトジュースの作り方も教えてあげるよ」
「それは助かりマス」
「えっと、はい、これが美味しいトマトジュースの作り方」
「意外とシンプルなのデスね」
「トマトジュースはシンプルなぐらいの方が美味しいからね」
理津子もトマトジュースは好きで、キンキンに冷えたトマトジュースが好きらしい。
なお理津子は生のトマトには砂糖をかけて食べる派なのだとか。
父親が美味しい食べ方として砂糖をかけて食べていたという。
「おっと、そろそろ行かなきゃ、またね」
「ハイ、ではまた何かレシピでも教えてクダサイね」
「うん、それじゃね」
そんな美味しいトマトの食べ方や使い方は様々である。
生のトマトが苦手な人は異世界でもやはりいるものか。
帝も生のトマトは苦手だが、加工品は平気なのだという。
エミールは夏のトマトを何よりも好むらしい。




