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雨季と傘

こっちの世界も夏が近づき暑さが本格化してきた。

海風があるので涼しげとはいえ、それでも暑い季節はやってくる。

そんなこっちの世界にも雨が集中的に降る雨季があるという。

なお話では理津子の世界で言う五月末から七月の頭辺りまでが雨季らしい。


「雨だねぇ」


「この季節は雨季だからな、何かと外には出たくない季節だよ」


「雨が降ると体の手入れも面倒だしね」


そんな雨の日なので、屋敷でまったりとしている。


理津子も雨の日なので、洗濯物などは部屋干しだ。


「おっ、美味そうなおにぎりね」


「今日は室内での家事も多いから、簡単にお腹を満たせるものね」


「そうだな、雨の日は何かと大変だろうに」


「とりあえず食べようか」


「だね、美味しそう」


そんな雨の日なので昼食は簡単に済ませる事に。

そんな雨の日だが、こっちの世界の場合は梅雨ではなく雨季という。


港町という土地の関係で、雨が降る時は一気にドカンと降るのだ。


「雨の日は引きこもるに限るわね」


「最近は雨がよく降るけど、梅雨みたいなのがあるの?」


「梅雨っていうのはお前の世界での呼び方だろ?ここでは雨季だぞ」


「雨季、港町だと雨雲を遮る山もないしねぇ」


「だから降る時はドカンと降るんだよね」


港町なので雨が降る時は土砂降りになる事も珍しくない。

その一方で晴れる時はカラッと晴れ渡る。


雨季は天気が不安定にもなるのだと。


「雨の日に外に出るのは物好きでしかないわよね」


「そういえばこっちの世界にも傘ってあるよね?あたしは使ってるけど」


「傘ぐらいあるぞ、尤も小雨程度なら傘を差さない人間が大多数だけどな」


「そうなんだ、あたしは小雨でも傘を差すのに慣れてるからなぁ」


「リツコは小雨でも雨が降ってたら傘を差すんだ」


こっちの世界では小雨程度では傘を差さない人が大多数だ。

傘もあるにはあるが、理津子の世界に比べるとそこまで持っている人も見ない。


なので傘を差すというのは雨が強くなってはじめてという感じなのだとか。


「りっちんは傘は普通に差す人なんね」


「あたしの住んでた国だとそういう人が多かったしね」


「とはいえ雨の日に外に出るのも億劫だろ」


「寧ろ雨の日に出かけるんじゃなくて、出かける日に雨が降る感じなのかもね」


「つまり出かける日にピンポイントで雨が降る感じかな」


それは要するに雨男や雨女と呼ばれるそれである。

不思議な話ではあるが、出かける日にピンポイントで雨が降る人はいる。


外に出る日に雨が降るのに、出ない日は当然のように晴れたりなどだ。


「出かける日にピンポイントで雨が降るって、もはや一種の特技なのでは」


「雨男とか雨女みたいに言われる人はいるんだよね、出かける日に限って雨になる人とか」


「それは単なる偶然だろ、寧ろそんな事が出来たら科学者に捕まって研究されるぞ」


「また怖い事を、でも天気予報で出かける日だけ雨でその前後は晴れになるとかあるしね」


「雨男雨女って凄くない?もはや呪術の一種なんじゃ」


雨男雨女の話は実に不思議な話である。

出かける日に限って雨が降るとはどんな理屈なのか。


理津子の世界でもそれには諸説あり、前世が関係しているなどと言われる事もあった。


「雨の日に出かけるんじゃなくて、出かける日に雨が降る、まあそうなのかしらね」


「実際あたしも雨女に近いらしいって言われたよ、出かける日は結構雨になってたし」


「毎回っていう訳でもないんだろうけど、そういうのはどういう理屈なんだよ」


「あたしに聞かれてもねぇ、特に本屋に行く日に雨が降ったりすると頭抱えるし」


「本屋に行く日に雨はどう考えても嫌な話じゃないの」


本屋に行く日に雨が降る。

紙の本を買ってビニール袋をもらうのはお約束。


雨男雨女とは出かける日に狙い撃ちするかのようにピンポイントで雨を降らせるのだ。


「ふぅ、美味かったぜぇ」


「それはどうもね」


「雨の日は無理に外に出なくていいからな」


「雨の日に出かけるんじゃなくて、出かける日に雨が降る、不思議な話だね」


そんな雨の話は何かとある。

傘は本降りになるまで差さないのが異世界では普通にあるのだと。


その一方で雨男雨女という概念は異世界にもあるのか。


その人が出かける日は高確率で雨、不思議な話である。

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