ラーメンの好み
春も近づきつつあり気温も少しずつ上ってきた季節。
そんな中新しいラーメン屋の開店のチラシを以前もらってきていた様子。
それもありせっかくなので食べに行ってみる事にした。
異世界にもラーメンはあるが、理津子の世界のラーメンとは多少異なるようだ。
「ここか、とりあえず並んでみようかな」
「あれ、リツコではないですか」
「サインじゃん、サインも来てたのか」
列の少し前にサインを見つけたようだ。
とりあえずそのまま列に並び店に入って注文をする事に。
「何にしようかな」
「ここは豚骨系のお店ですからね」
「そうみたいだね、だとしたら濃い目の味がいいのかな」
「好みで選べばいいかと思いますよ」
「なら濃厚豚骨ラーメンにしよう」
そのままサインと一緒に注文をして出てきたラーメンをお互い綺麗に完食する。
食べ終えたら店を出て近くの公園で少しリラックスする。
ラーメンの好みはお互いにあるようだが。
「それにしてもサインはラーメンが好きなんだね」
「ええ、特に塩ラーメンが何よりも好きなんです」
「サインは塩派か、あたしは醤油ラーメン派なんだよね」
「リツコは昔ながらの味が好みみたいな感じなんですね」
「それはあるかも、凝ったラーメンよりシンプルな醤油ラーメンが好きなのはあるし」
サインの好みは圧倒的に塩ラーメン。
その一方で理津子は醤油ラーメンが好きで、昔ながらの中華そばのようなものが好き。
ラーメンというのは無難なものから幅の広いものまである。
「勝手な偏見だけど、塩ラーメンと味噌ラーメンって特別に美味しいってない気がする」
「そうですか?塩ラーメンも美味しいものは美味しいですよ」
「なんていうか、塩と味噌は美味しさの幅が狭い感じかな」
「つまり圧倒的に美味しいというものがないイメージですか?」
「うん、醤油と豚骨はなんていうか、ここは美味しいっていうお店もあるイメージかな」
理津子曰く塩と味噌は大体どこのお店も美味しいが、特別に美味しい店がないイメージとか。
その一方で醤油と豚骨はここのお店は圧倒的に美味しいものがあるというイメージらしい。
もちろん塩と味噌も不味いという事もなく、あくまでもどこで食べても美味しいイメージだと。
「あたしはラーメンの味はどれも好きだけど、醤油はいろんな種類があったからなのかも」
「リツコの世界にはそんなに醤油があったんですか?」
「うん、地域によって流行りのラーメンは違うけど、醤油ベースが圧倒的に多いかも」
「なるほど、だから定番の味といえば醤油ラーメンなんですか」
「そうだね、まあ塩と味噌はどこで食べても美味しいけどそれ以上がないイメージなのかも」
サインは塩ラーメンが好きなのでそれには不服もある様子。
ただ理津子曰く醤油の種類が豊富という事は、使う醤油によって美味しさも変わるという事。
豚骨もまたスープの濃淡が味に大きく影響するからなのだろうと。
「サインが塩ラーメンを好きなのは否定しないけどね」
「塩ラーメンはどこで食べても美味しい、でもそれ以上がないと言いたいんですね」
「あたしの住んでた国だとご当地ラーメンもたくさんあったけど、醤油が圧倒的な数だしね」
「リツコもラーメン好きですけど、そういう感じ方をしているという事なんですね」
「うん、醤油と豚骨は地域性が出るイメージはあるんだよね」
つまり塩と味噌は特別な地域性のようなものが出しにくい味なのかという事か。
味噌も種類は多いものの、理津子の世界の味噌ラーメンの起源を考えると分からなくもない。
もちろん塩と味噌を否定するつもりは一切なく、美味しいという気持ちはあるのだが。
「塩ラーメンと味噌ラーメンも突き詰めればもっと美味しくなるのかな」
「なるのではないですか?やってみればいいと思いますよ」
「そうだね、まあ美味しいラーメンって結局は原価恐ろしく高くなるけど」
「お店のラーメンは原価率考えるとよくあれで出せているなとなるやつですか」
「そうそう、まあ全てのラーメンが好きだけど、ピンからキリまでなのは醤油と豚骨なのかも」
理津子なりの考え方は味の振れ幅という事なのだろう。
どれも美味しいけど、特別に美味しいというものが少ないのが塩と味噌。
美味しいものは多いが、ピンからキリまであるのが醤油と豚骨というイメージらしい。
「それじゃあたしはそろそろ帰るね」
「ええ、また機会があれば一緒に食べに行きますか」
「ならその時は誘ってよね」
そのまま屋敷へと帰っていった理津子。
サインも定期的に塩ラーメンを食べに行く程度にはラーメン好きである。
理津子のラーメンへの感じ方は味の振れ幅なのだろうと。
その振れ幅を感じさせるのもまた料理を得意とするからなのかもしれない。




