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春が近い

こっちの世界も春が近づき寒さが落ち着いてきた。

とはいえまだ寒い日は続くので、油断は出来ない。

そんな春も近いという事もあり、春の食材も出回り始めている。

春より少し早く手に入るものもあり、それを使って何かしようと考える。


「りっちん、そんなに青い梅の実を買ってどうするん」


「梅ジュースでも仕込もうかなと思ってね」


「梅ジュースねぇ、そういや大きなガラス容器とかがあったわね」


理津子も少し早い梅の実を確保し、梅ジュースを仕込もうという気らしい。


梅ジュースにはたっぷりの氷砂糖も必要なので、それも買い込んでいた。


「でも梅ジュースって美味しいわよね、飲んだ事はあるから分かるわ」


「必要なら梅酒とかも作っていいかなって思うんだけどね」


「お、いいねぇ、あたしはどちらかというと梅酒が欲しいわ」


「アノットはお酒は結構嗜むよね」


「まあねぇ、仕事柄酒を飲めないとやってられなかったのもあるし」


アノットもかつては国直轄のスパイ部隊であるメイド隊のエースだ。

それもあり酒を飲めるというのは仕事柄求められたのだろう。


今でこそ屋敷のメイドだが、スキルの高さからも窺い知れるものがある。


「そういやりっちんって梅干しなんかも漬け込んでたよね」


「うん、やってるね、漬物はどっちかというとお母さんの趣味だったやつなんだけど」


「確かりっちんのお母さんって和菓子屋だっけ?」


「実家の事は詳しくは知らないけど、そんな感じらしいね」


「どちらかというと和の家だったんかね、りっちんのママさんって」


理津子も両親の結婚の経緯から実家の事はよく知らない。

ただそれを見る限りそうした技術を見てきたのは分かる。


実際理津子の母親は和菓子教室をしていたという事もあるからだ。


「でも漬物かぁ、りっちんのママさんの直伝ってやつかね」


「かもね、特に梅干しは美味しかったのはあるし」


「でもその梅干しもかなり酸っぱかったわよね」


「はちみつとかは使わないシソと梅だけの梅干しらしいからね」


「だからあんな酸っぱかったんね」


理津子が漬物を漬けているのは母親の影響なのだとか。

それもあり梅干しはもちろん、他にも多様な漬物が作れる。


梅干しも古きよき梅干しといった感じらしい。


「でも梅の実が出回ってる辺り、港町って感じよね」


「だね、海の向こうにある国のものって事なんでしょ」


「らしいわね、この街に東の国の文化が点在してるのも港町だからだし」


「アノットは梅干しとか好きなの?」


「んー、そこまで嫌いってわけでもないわね、酒の肴にもいいし」


アノット曰く梅干しは酒の肴にもいいという。

なのでワイン片手に梅干しを食べたりもするのだとか。


梅干しはそうした食べ方もあるというのはアノットなりの酒の楽しみ方なのか。


「りっちんもお母さんの影響で梅干しが好きよね」


「それはあるかもね、おにぎりもなんだかんだで梅おにぎりが好きだし」


「梅干しって苦手な人も多いけど、やっぱ味よねぇ」


「あの酸っぱさは結構人を選ぶと思うしね」


「まああたしは梅干しでワインを楽しむとかも好きだぜ」


アノットも結構なグルメである。

好き嫌いはそこまでないのはかつての職業柄か。


とはいえ梅干しを抵抗なく食べられるのはお酒の楽しみ方を知っているからなのかもしれない。


「梅干しってそのまま食べなくても美味しく食べる方法はあるよね」


「そうそう、梅でジャムを作ったりソースにしたりとかもあるしね」


「梅の美味しい食べ方っていろいろあるし、りっちんのレシピも参考になるわよ」


「梅は花が咲くのはもう少し先なんだけど、実が採れるのは今ぐらいなんだよね」


「りっちんの漬けた梅干しは美味いから、酒が進むってもんよ」


理津子も漬物に関しては父親より母親の影響が大きい。

家でも母親が梅干しを漬けていたし、他にも漬物を漬けていた。


父親は料理のプロだったが、母親も和菓子や漬物は得意だったという。


「んでまた梅干し漬けるん?」


「今回買ったのは全部ジュースにするけど、また別に漬けるつもりだよ」


「なら楽しみにしてるぜぇ」


「アノットはこっちの世界の美味しい食べ方とか教えてくれるから助かってるよ」


「ふふん、美味しい食べ合わせとかはこのアネット姉さんに任せんしゃい」


アノットも食べ合わせなんかには詳しかったりする。

異世界という事もあり、食べ合わせなどは教えてもらっているわけだ。


美味しい組み合わせなんかも発見するのが楽しいものだ。


「さて、帰ったらジュース仕込もうか」


「美味しいの期待してるぜぇ」


「任せておいて」


帰ったら早速梅ジュースを仕込む事にする。

梅ジュースは大量の氷砂糖が必要なので、それもセットで買ってきた。


原液を希釈して飲むのが梅ジュースの飲み方でもある。


そしてそれとは別に梅で他にもいろいろ作る事にした。

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