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世界を繋ぐ

理津子も自分の世界の事は気になっていた。

相談したサインが今日来てくれるそうだ。

屋敷で待っていると、家のベルが鳴る。

どうやらサインがやってきたようだ。


「いらっしゃい」


「久しぶりですね、頼まれたもの持ってきましたよ」


「とりあえず中に入ってくれ」


そんなサインを家の中に招き入れる。


サインは何やらアンテナのようなものを持っているが、これが連絡を取るものなのか。


「それで用件なんだけど」


「リツコの世界と連絡を取りたいんですよね」


「ああ、無事だけでも伝えておいた方がいいから」


「分かりました、とりあえず準備をしますから少し待っててください」


「うん、分かった」


そう言うとサインは持ってきた機材を組み立て始める。

見た目からして明らかにアンテナである。


異世界と電波でも繋ごうというのか。


「組み立ては終わりました、リツコのスマホを貸してもらえますか」


「あ、うん、はい」


「どうも、ではチューニングを始めますね」


「本当に出来るのか」


「…世界の電波の取得を確認、これで繋がるはずですよ」


そう言って理津子にスマホを返す。

とりあえず理津子も家の番号にかけてみる事に。


「出るかな、出るといいけど」


「機界の技術って凄いんだな」


「この世界自体異世界との交流がありますから、これぐらい軽いです」


「なるほど、それもそうか」


「あ、もしもし、お母さん?久しぶり」


どうやら無事に繋がった様子。

サインが言うにはこの屋敷の中ならカバーしているので、好きな場所で話していいという。


「理津子、心配していたんですよ、今どこにいるんですか?」


「あー、えっと、新しい働き先を見つけたからそこに住み込みで…」


「働き先?変な仕事じゃありませんよね?」


「それは大丈夫、別に変な仕事じゃないから」


「そうですか、一応警察には相談はしていませんから、大事にはなってませんよ」


どうやら下手に騒ぎを大きくしたくないのか、あえて警察には連絡していないらしい。

それに親も理津子の事は分かっているのか、その信頼が窺える。


「とりあえず大学には私から連絡します、働き先はどこなんですか」


「あー、なんていうかな…住所は言えないけど、家政婦の仕事だよ」


「家政婦ですか?お給料は出ているんですか?」


「うん、きちんともらってる」


「分かりました、大学の方にはこちらから休学届を出しておきますね」


親にはなんとなくではあるが、話は伝わっている様子。

休学届も代わりに出してくれるようで、一安心だ。


今後の事も話しておく事に。


「それとアパートの大家さんにも連絡しておいてもらっていい?」


「分かりました、ではそうしておきます」


「あとお父さんは?心配とかしてない?」


「一応心配はしていましたよ、でもあの人ですからきっと信じていますよ」


「そっか、分かった、それじゃそっちの事は任せるね」


そう言って母親は大家さんや父親などにもきちんと話はしてくれる様子。

地元からほとんど出ないという理津子の母親だが、そういうところはしっかりしている。


最後にきちんと謝って通話を切る。


「どうでしたか?」


「うん、きちんと話したよ、向こうの事は任せてよさそうだった」


「そうか、ならよかったな」


「うちのお母さんもあれで結構古風な一面もあるからなぁ」


「いい親を持ったんですね」


理津子の母親は今の時代には珍しい感じの人ではある。

そんな母親だが、理津子の父親とお見合いで出会い結婚した。


性格も結構違うその夫婦だが、不思議と気が合っているのだと理津子は言う。


「お母さんって今の時代にそんな人がいるんだっていうような人なんだよね」


「なんか環境が凄いな、理津子の周りは」


「でも私もそんな両親の娘なんだなって思うところはあるけどね」


「血は争えない、って事でしょうか」


「うん、それは確実に自分でも分かるぐらいに感じてる、でも一安心かな」


とりあえずは家族に無事を伝えられた様子で安心の理津子。

ちなみにアノットは疲れたとか言いつつ爆睡していた。


これで心置きなくここで働く事が出来る。


心配のタネも一つ減った事で、理津子も一安心である。

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