まずは試作する
クリスマスがすぐそこまで迫っている冬の寒い日。
そしてクリスマスが終わればそのまま年末年始になる。
とはいえこっちの世界は自分の世界とは一年の日数も違う。
なので自分の世界よりは一週間程度年明けも遅くなる。
「りっちんもすっかりクリスマスムードね」
「クリスマスって宗教的なイベントなんだよな」
「話を聞く限りはそうだよね」
クリスマスに作るものは大体決まっているので、それを試作している様子。
本番の前に試作をしてみるのも大切である。
「お、美味そうね」
「うん、パネトーネとパンドーロとカンノーリの試作品ね」
「試作品なんだな」
「流石にこれを作るのははじめてだからね、試作はしておかないと」
「とりあえず食べてみようよ」
パネトーネやパンドーロなどの試作品。
レシピの通りに作ったので不味いという事はないはず。
自分でもはじめて作るものの味はよく分からないので。
「うん、こいつはなかなかに美味いね」
「だね、試作品にしては上出来だと思う」
「クリスマスっていうのは家族で過ごす日みたいなものなんだろ」
「そんな感じだね、あたしの住んでた国だとケーキとかチキンが主な料理だったけど」
「国によって食べるものが違うって事か」
クリスマスに食べるものは各国で違うものだ。
だからこそ異国のクリスマスメニューをやってみようと思った。
美味しいというのは大切なのである。
「でもクリスマスっていうのは宗教イベントなんっしょ」
「うん、あとはサンタクロースが共にプレゼントを届けるとかがあるね」
「サンタクロース?なんだそれ」
「赤い服を着た小太りのおじさんだよ、まあ近年は衣装だけが流行ってた感じはあるけど」
「赤い服を着た小太りのおじさん?それがサンタクロースなの?」
赤い服を着た小太りのおじさん、表現としてはまあ間違ってはいない。
ただサンタクロースというのは衣装だけが勝手に流行ってしまった感じはある。
二次元創作でエロサンタが溢れかえったのは言うまでもない。
「サンタクロースがプレゼントを届けるってのは、そういうイベントなの?」
「うん、子供の枕元にこっそり届けるみたいなのが一般的に言われてるやつだね」
「つまり寝てる子供の枕元に密かに届けるって事なのか」
「だから親がサンタクロースの役をやるっていうのは結構ある話なんだよね」
「サンタクロースって実在の人なの?架空の人なの?」
サンタクロース自体はサンタクロース協会というものがある以上実在の人ではある。
とはいえ実際にサンタクロースの役をやるのは親という事も多い。
靴下を下げておくというのも昨今はあまり聞かなくなった気がする。
「つまりそのサンタクロースっていうのは親が寝てる子供の枕元に行くって事なん?」
「ただサンタクロースはサンタクロース協会があるから、実在の人ではあるんだよね」
「協会なんてものがあるのか」
「まあトナカイが引くソリで空を飛んで子供達の下に行くっていうのは一般的な話だよ」
「トナカイが引くソリ?それは流石に作り話だよね?」
サンタクロースと言えばトナカイが引くソリで空を飛んでいるという絵だ。
尤もそれが実際の話かといえばそんな事もなく。
サンタクロースはあくまでもシンボルであり、その役をやるのは身近な人なのだろう。
「トナカイが引くソリで空を飛ぶってのはまたずいぶんなファンタジーね」
「それはあくまでもイメージなんだよね、サンタクロースはあくまでもシンボルだから」
「実在の人物でこそあるが、その人が全世界を飛び回るとかではないんだな」
「うん、あくまでもシンボルであってサンタクロースは身近な人がやるみたいなのは多いね」
「なるほど、クリスマスのシンボルキャラクターみたいなものなんだね」
サンタクロースはあくまでもシンボルであり、実際にプレゼントを届けるわけではない。
ただサンタクロースは実在の人物であり、有名な存在でもある。
なので実際にプレゼントを届けるのは親がやるというような事が多いのだ。
「うん、美味かったぜぇ」
「よかった、なら当日までにもう少し試行錯誤かな」
「クリスマスの話は興味があるしな」
「異世界の宗教の話って興味深いよね」
とりあえず試作品は概ね好評の様子。
クリスマスまでには確実に仕上げていくつもりだ。
尤も日数などの関係もあり、クリスマスと年末年始は自分の世界よりはあとになる。
理津子にとってのクリスマスとは美味しいものが食べられる日なのだから。




