クリスマス何作ろう
こっちの世界もすっかり冬の寒さが到来した様子。
その一方でもう間もなくクリスマスだし、あっという間に年明けである。
なのでクリスマスに何か作ろうかとも考える。
なおこっちの世界はクリスマスはないし、一週間が七日でもない。
「りっちん、なんかカタログ買ってきとったね」
「お菓子とかのやつだよな」
「そういえばリツコの世界だともうすぐクリスマスなんだっけ」
とりあえず適当に何か食べながら計画を考える。
クリスマスは美味しいものを作るのは確定ではある。
「お、美味そうなチーズケーキ」
「試作品だけどね、クリスマスに何か作ろうか考えてるんだけど」
「クリスマスってお前の世界の宗教的な祝い事だったよな」
「うん、まああたしの住んでた国だと宗教色はそこまで強くないけどね」
「それで何を作るの?」
とりあえずチキンは作るとして、あとはパンやお菓子をメインにしようと考える。
考えているのはシュトーレンやパネトーネ、パンドーロやカンノーリなど。
こっちでは七面鳥が手に入るので、チキンよりはターキーか。
「お菓子とかパンメインって言っても何かあるん?」
「シュトーレンとかパネトーネ、パンドーロとかカンノーリとかかな?」
「名前だけだとよく分からないが、どんなやつなんだ?」
「甘い感じのパンかな、シュトーレンは液体にしたバターにたっぷり漬け込んだやつだよ」
「なんか凄く甘そうだね」
今ではお菓子作りなども覚えたので、そうしたものにも挑戦出来る。
過去にネットで見てから一度食べてみたいと思っていたものでもある。
なのでせっかくだから挑戦しようと思った次第である。
「でもなんか楽しそうね、美味いってんなら期待しちまうぜぇ」
「うん、そのためにはパイ生地とか小麦粉、あとはバニラとかが必要か」
「甘いものは嫌いじゃないから、別に好きに作ればいいと思うぞ」
「なら期待しててよね、パン作りなんかも今は結構自信あるし」
「すっかりお菓子作りにも慣れてきたよね」
理津子も今ではお菓子作りもすっかり慣れてきたようである。
元々はクッキーぐらいしか作れなかったとは思えない成長ぶりだ。
やはりアノットの教えはとても上手かったようである。
「でもそれってなんとなく美味しそうね、お菓子とかパンで楽しむのもいいかもね」
「まあこっちの世界はクリスマスはないから、勝手にやってるだけなんだけどね」
「そもそもクリスマスの宗教が存在しないんだから当然だな」
「そうなんだよね、異世界だから宗教的なイベントは全部ないもん」
「そこはリツコの世界との大きな違いなのは当然と言えば当然だよね」
クリスマスも正月もそうだが、宗教的なイベントは全部こっちには存在しない。
その代わりという感じではあるが、クリスマスに当たる日は年末扱いである。
なので家族と一緒に過ごすというような休みの日になっている。
「でもあたしもすっかりこの屋敷の家族の一員になったって事でいいんかしら」
「いいと思うよ、あたしからしたらアノットはいい先生って感じだし」
「なんだかんだで人に教えるのも上手いし、仕事自体は有能な奴だからな」
「怠け癖があるけど、スキルは高いもんね」
「アノットは勤勉とは真逆の存在だけど、スキルは高いもんね」
アノットも元々の雇い主であるレミリアに押し付けられた感じではある。
とはいえなんだかんだで仕事はしてくれるし、スキルも高い。
怠惰な性格なだけでスキルは普通に高いのだ。
「んでメインは決まったって事でよろしいかい」
「うん、とりあえずターキー、あとはお菓子とかパンをメインにしようと思うよ」
「ならその日を期待してるからな」
「とりあえずは材料を揃えないとね、早めに買っておかないと当日に間に合わないし」
「シュトーレン、パネトーネ、パンドーロ、カンノーリ、わくわくするね」
とりあえずは材料は早めに調達する事に。
理津子の世界における外国のクリスマスにも興味は結構あったのも事実。
なのでイタリア風なパンやお菓子を作ろうと思い立ったのである。
「必要なもんとかあるなら手伝うから、いつでも言いなすっていいぜ」
「うん、ありがとうね」
「クリスマスはよく分からないけど、美味いものが食えるなら期待してるぞ」
「特別な日っていう事だもんね」
そんなわけでクリスマスの予定は大体は決まる。
ツリーもなければ、クリスマスでもないが、勝手に祝うというだけの話だ。
異世界である以上自分の世界の宗教的なイベントは全部存在しない。
あくまでも年末の休みの日というだけの話だ。




