寒い日に食べるアイス
すっかり冬の寒さが本格化してきた。
外に出るのにも上着がないと寒い程度には寒さが強くなった様子。
港町という事もあり、冬の海風がさらに寒さを感じさせる。
そんな寒い日だからこそ室内で食べたいものがあるので、作ってしまった様子。
「何作ってんのじゃろ」
「寒い日に食べたいものって言ってたよな」
「寒い日に食べたいものってなんだろうね」
そんな寒い日に食べたいものというのは冷たいあれなのである。
作ってきたのはシンプルなあれである。
「寒い日に食べたいものってアイスなんかい」
「寒い日に暖房の効いた部屋で食べるアイスは美味しいからね」
「そんなものなのか?」
「それに寒い日に食べるアイスは美味しいものなんだよ」
「でも美味しそう、食べようよ」
寒い日に食べるアイスは美味しいものだと力説する。
寒空の下で食べるのもまた美味しいものなのだ。
なお室内で暖房ガンガンに効かせて食べるアイスの美味しさはガチである。
「うん、んまい、りっちんもお菓子作り上手くなったねぇ」
「アイスも作れるようになったし、今度はシャーベットとかも挑戦してみようかな」
「でも寒い日に冷たいものを食べたいなんて変わってるんだな」
「冬は毛布に包まって食べるアイスは背徳の味なんだよね」
「背徳の味ってまた凄い表現だね」
冬に暖かい部屋で食べるアイスは美味しいもの。
寧ろアイスは冬に食べるからこそ美味しいとまで言う。
とはいえこっちの世界は理津子の世界に比べると多少は暖かいようで。
「にしてもなんで寒い日に食べるアイスが美味しいって言われるん?」
「そこはあたしに聞かれてもよく分かんないね、昔からそういう人が多かったから」
「自分でもよく分かってないのか」
「でも実際に寒い日に暖房ガンガンに効いた部屋で食べるアイスは美味しいんだよね」
「暖かい部屋で冷たいものを食べるから美味しいのかな」
詳しい理由についてはよく分かっていない。
ただ冬に暖かい部屋で食べるからこそ美味しいと感じるものなのだろう。
今日も室内では暖房ガンガンに効いている。
「でもこういうシンプルなバニラアイスが一番美味しいもんね」
「でしょ?シンプルなものって結局はそれが一番美味しいってなるしね」
「原点回帰みたいな話か?」
「そんな感じかもね、ハンバーガーもダブルチーズバーガーが一番みたいな話」
「シンプルなバニラアイスが最後には一番美味しいのか」
シンプルなバニラアイスが最後には一番美味しいという事に落ち着く。
料理もそんな感じで、シンプルなものに最後は落ち着くのかもしれない。
寒い日に食べるバニラアイスは美味しいのだ。
「にしても寒い日にアイスなんて、りっちんの世界の人は変わっとるんね」
「寒空の下で食べるのも美味しいんだよ」
「寒空の下でアイスを食べるのはどうなんだ」
「寒い日にコンビニでアイスを買ってお店の前ですぐに食べるのも美味しいからね」
「リツコの世界の人は変わり者なんだね」
実際アイスは寒い日に食べた方が美味しいとまで言われる。
冬であってもアイスの売上は実はそんなに落ちないと聞いた事がある。
つまり冬にアイスを食べる人が相当数いるという事なのだろう。
「冬にアイスがなぜか美味しいっていうのマジなん?」
「冬でもアイスの売上が大きく落ちたっていう話は聞いた事がないからね」
「冬に冷たいものを食べたくなるみたいな話でもあるのか?」
「それはよく分からないけど、冬でも冷たい飲み物が結構売れたりするからね」
「つまり寒くてもアイスとか冷たい飲み物は全然普通に売れるんだ」
冬は温かいものの方がいいのは確かだ。
とはいえアイスや冷たい飲み物が普通に売れているのも事実。
それは寒い日に食べるアイスは美味しいし、冷たい飲み物も美味しいという事なのだろう。
「寒い日に冷たいものって事は暑い日に熱いものもありって事なん?」
「暑い日に鍋をやるみたいな人達もいるしね」
「寒い日とか暑い日とか人は不思議な生き物だな」
「寒い日のアイスと同じで、暑い日の熱い食べ物も割とある話だしね」
「夏にそういうものを食べるのもそうだけど、冷暖房が効いてる室内でが前提だよね」
夏に熱々の鍋を突く、寒い日に冷たいアイスを食べる。
それは冷暖房が効いている室内だからこその美味しさなのだろう。
夏に冷房の効いていない部屋で食べる鍋はただの苦行である。
「はぁ、こういうのもんまかったぜぇ」
「それはどうもね」
「寒い日に食べる冷たいものって不思議と美味しいんだな」
「なんか不思議な感じだったかも」
そんな寒い日に食べるアイスは不思議と美味しいもの。
寒い日でもアイスは売れるし冷たい飲み物も普通に売れる。
寧ろ寒い日に食べるから美味しいまである。
アイスというのは不思議な食べ物である。