世界の違い
自分の世界での扱いがふと気になった理津子。
サインに連絡をして相談をしてみる事にした。
連絡を入れたところ、後日来てくれるという。
なんとかなるようなので、それを待つ事に。
「なあ、リツコの世界ってどんな世界なんだ」
「ん?こっちとそんな変わらないと思うよ」
「そうなの?意外と似た世界ってあるんかね」
大きな違いは種族の豊富さぐらいで、他はそこまで大きな差はない。
ただ魚の旬が違ったりと微妙に違う部分はあったりするようだ。
「この国で言うならあたしの世界のヨーロッパみたいな感じかな?」
「その国がこの国と似てるんだ」
「まあ海外に行った事ないから、上手くは言えないけど」
「でも意外と似てるって事は技術とかはそこまで差はないんかね」
「うーん…でもあたしの世界で古いものがこっちでは最新だったりとかあるよ」
それについては携帯電話でも感じていた。
理津子の世界ではスマホが最新機器だが、こちらではガラケーが最新機器だ。
他にもキッチンも理津子の世界では古くなっているものが使われていたりする。
理津子が感じたのは、無駄な機能なんていらないという事なのだろう。
「そういえばそのリツコの世界のスマホってこっちとは違うのか?」
「かなり違うと思うよ、これ一つでゲームもお買い物も電話もテレビもネットもあるし」
「うわ、そんな機能詰め込んだもんが当たり前なの?面倒な世界だわぁ」
「こっちでも機能自体は同じものを確認してるけど、携帯には入ってないし」
「そりゃ電話にそんな無駄に機能を詰め込むとか技術者に負担かけるだけだしな」
実際に以前購入して今使っている携帯電話も通話とメールを始め連絡機能ぐらいしかない。
ただ違いといえば、携帯電話でネット電話が使える事はある。
あとはチャット機能は搭載されていて、連絡する事が主目的として作られている。
ちなみに電子決済やネット、ゲームといったものはそれそのものは存在している。
「そういえば電子マネー持っておいた方がいいかな?」
「必要なら申請していいよ、お金ならあるから」
「ならしておこうかな、何がおすすめなんだろ」
「電子決済ってデカい買い物には使えんっしょ、それならそんな使わんし」
「でも小さな買い物には便利なんだよね、コンビニとかはほぼ電子決済だったから」
この世界にも電子決済はあるしクレカもある。
ロザリオに相続された資産もきちんとした場所に保管されている。
そこから生活に必要な金額を家に持ち出しているのだ。
ちなみに親からクレジットカードは譲り受けているが、あまり使っていないという。
「でもそう考えると、意外と世界に違いってないのかもね」
「ただ考え方は違うよね、リツコの詰め込みまくったスマホとか」
「無駄な機能なんかいらない、こっちの世界はそういう考えが強そうだね」
「そもそもそんな事したら、それをなくした時に困るだろ」
「あー、だからか、それも考えてるなら納得かも」
実際理津子の世界ではスマホを紛失してパニックになった人も見ている。
大学の学生にスマホ依存の女生徒がいて、紛失した際に凄くパニックになっていた。
こっちの世界では携帯電話に機能を詰め込まないのはそういう事も考えての事か。
とりあえず電子マネーの申請をしておく事にした。
「あ、それとこれ、僕はそんな使わないから、リツコの好きに使っていいよ」
「これクレカ?いいの?」
「構わないよ、僕よりリツコの方が有効に使ってくれそうだから」
「分かった、ならそうさせてもらうね」
「少年って意外と無欲なんかね」
ロザリオからクレカを渡される。
ロザリオは大して使わないので、理津子なら有効に使ってくれるだろうと。
これで買い物とかはだいぶ楽になりそうだ。
ただ現金も何かあった時のために持ち歩く事にはする。
「でも考え方の違いはあるけど、食文化とか技術とか意外と差がないんだね」
「世界なんて様々だよ、多様な世界と交流してるから人界はそうなのかもね」
「あー、確かに獣人とか吸血鬼とかいたからね」
「人界は技術の世界だからね、技術の事なら機界の次に発展してるのさ」
「世界も様々、納得かも」
そうして夜は更けていった。
電子マネーの申請も忘れずにしておいたので、後日送られてくるだろう。
ちなみにこの世界には鉄道や航空機もあるが、理津子の世界とは作りが違う。
シンプルイズベスト、この世界の根底にある考えなのだろう。